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活用広がるRPA、AIと組み合わせたら何ができる?

日刊工業新聞

2019.08.18

 RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の活用が広がっている。データ入力などの単純な定型業務をロボットが代行するため、業務を大幅に効率化できる。人口減少による労働力不足の対応や長時間労働の解消などを目的とする働き方改革の実現には自動化が不可欠。企業や自治体はITの力を使い、あの手この手で人手を介する業務の削減を目指している。

働き方改革実現に不可欠
 SCSKは、自社開発の業務改善ツール「CELF(セルフ)」で社内外の非効率業務の自動化を進める。セルフは米マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」に類似したツールだが、社員自らがアプリケーション(応用ソフト)を作成できるのが特徴。専用のデータベースと接続しているためファイルの共有や同時書き込みも可能だ。2016年8月に発売し、18年4月にはRPA機能を搭載。RPA機能付きのセルフは120社、500ライセンスを提供している。1台当たり年間3万5000円(消費税抜き)という低価格が魅力で、中小企業の導入も進む。



 SCSKは社内でもセルフを活用する。セルフのトライアルライセンスを発行するという業務を自動化している。企業からトライアルを希望するメールが届くと、システム環境の割り当てと識別符号(ID)を希望者に配布する。同時にトライアルを希望する企業の台帳作成をセルフが自動で行う。同社は「人間では1日3―4時間を割く業務をセルフによりゼロにできた」という。トライアルの依頼のたびに入力・発行という手間がかかる作業を自動化ツールで削減した。

データ入力のミス撲滅
 日立システムズは、デスクトップ型とサーバー型の二つのRPAを導入することで定型業務の自動化を進める。特に営業のバックオフィスや事務管理部門でRPAを活用する。システムの認証や入力業務、完了連絡を自動化することで、月間300時間の業務を削減したほか、データ入力に関するミスを撲滅した。人事総務本部ダイバーシティ推進センタの金森さつきセンタ長は「社内でもいろいろなところに活用されてきた」と話す。

 これまでは定型業務専用ツールだったRPAを人工知能(AI)と組み合わせることで非定型業務に利用しようとしているのがNTTデータだ。同社はRPA「ウインアクター」を手がけ、約3000社が導入している。

 RPAの非定型業務への利用として実用化が目前に迫るのは、自治体が保有する大量の紙帳票を「AI―光学式文字読み取り装置(OCR)」で読み込み、RPAで自動処理する取り組みだ。NTTデータはLGWAN(行政専用閉域ネットワーク)を活用し、自治体が保有する大量の紙帳票を基幹システムに登録する「AI―OCRソリューション」を10月から正式に提供を始める。


(画像はNTTデータ。AI―OCRは手書き帳票をデジタル化できる)


 AIベンチャーのAIinside(東京都渋谷区)のツール「DXSuite」を活用し、収集した大量の文字データから文字の特徴をディープラーニング(深層学習)で認識する。漢字やカタカナ、数字などの混在のほか、文字枠なし、印影の重なりなどがあった場合もAI―OCRは精度良く読み込める。東京都町田市や福島県郡山市など複数の自治体と検証した結果では、約7万5000以上も文字を読み取って正読率は約93%だった。

 NTTデータがNTTドコモと共同開発する「AI電話」もRPAとAIスピーカーを組み合わせる新たなサービスだ。例えば、ある会社員が取引先の企業の担当者に電話をかけた場合にAIが応答し、担当者の名前をAIが判断することで通話を実現する。留守の場合でも担当者の予定表をRPAが確認し、つながりやすい時間帯を提示することもできる。また、金融機関による未収納者への連絡もRPAが統合業務パッケージ(ERP)内の関連リスト情報を確認し、AI電話から自動で発信することが可能になる。

導入支援サービス増加
 これまでRPAの活用は定型業務が多い大手企業と大規模な自治体が中心だったが、今後は中小企業や市町村でも導入が進む。

 新潟県長岡市は18年9月から2カ月間、勤怠管理など一部の業務にRPAを試験導入した。その結果、導入部署の業務時間が合計で年間2000時間以上減らせる見込みがついた。19年度は当初予算に967万円を計上し市役所全体でのRPA導入に着手。9月から順次運用が始まる。

 同市がRPAを試験導入したのは、人事課や市民課など九つの課で、勤怠管理や保育園への補助金支払い、各種入力業務など36の業務で使用。導入して2カ月間で健康診断の事後処理や市民税関連など6課の25業務で自動化のめどがついた。

 自治体や中小企業向けにRPA導入を後押しするサービスも増えている。ママLife(長野市)はRPA導入支援事業に参入した。育児中の女性をはじめとする在宅ワーカーを対象にソフトウエアロボットの製作を担う人材を育て、希望者を登録。中小企業などを対象にRPA導入の受託件数で19年に50社を目指す。人手不足が深刻な中、生産性を高めたい企業と、職を求める在宅ワーカーをつなぐ。

 RPA人材の育成としては、まず長野県飯綱町からの受託事業としてセミナーを開講した。個人を対象に自治体がRPAのスキル向上に取り組む初めての講座。受講生12人が9月末まで計12回の研修を通じ、ソフトウエアロボットで業務を自動化するためのシナリオを作成する技術を学ぶ。他の自治体などとも連携し、20年度内に計50人の育成を目指す。

 オプテージ(大阪市中央区)は、シナリオを教え込ませたロボットを、複数の企業や自治体で共同利用する仕組み作りを進めている。RPA導入にかかる手間を軽減し、現場での導入ハードルを下げる。19年度中に本格展開を目指す。


(画像は長岡市提供。長岡市が職員向けに開いたRPAの成果報告会)


 RPAを導入する場合、業務内容に応じたシナリオを教え込ませてロボットを作成する作業が必要になる。ただ、シナリオは企業や自治体ごとにそれほど大きく異なるものではない。そこで、教え込ませる作業自体を共通化できないかという発想で同社が進めているのが「デジタルレイバー マーケットプレイス」だ。

 ある業務内容に合わせたロボットを作成し、クラウド上に置く。それを各現場で共有すればRPAの導入コストを大きく削減できる。ソリューション事業推進本部の名畑龍史マネージャーは「中小企業でRPAが浸透しないのはロボットを作る人材がいないから。その障壁を取り払いたい」と狙いを明かす。
日刊工業新聞2019年8月16日



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