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【図解】契約書への印鑑の押し方、印紙の貼り方

日本情報マート

2019.06.24

 契約書には、さまざまな意味で印鑑が押されます。どの印鑑を使うか、どこに押すのか、何カ所押すのかは、それぞれルールが決まっています。

 そもそも、なぜ契約書に印鑑を押す必要があり、契印と割印にはどのような違いがあるのでしょうか。また、印鑑を押す際に一緒に作業することが多い印紙は、必ず貼らなければならないものなのでしょうか。印鑑や印紙に関するちょっとした疑問を明らかにしていきましょう。

1 なぜ、契約書に印鑑を押すのか?

1)印鑑にまつわる名称

 「印鑑とはハンコ(判子)の正式名称である」と理解している人もいるようですが、厳密には違います。正しくは、私たちが印鑑やハンコと呼んでいるものを総称して「印章」、印章を紙などに押しつけて映ったものを「印影」と呼びます。

 ちなみに、印鑑とは印章のうち、登記所や銀行などに届け出た特定の印章(印影)のことを指しますが、この記事では分かりやすく説明するために、全般的に「印鑑」と表現しています。

2)なぜ、印鑑を押すのか?

 契約書に印鑑が押されていなくても、契約当事者の署名があるなど、契約内容について了解しているという意思表示さえあれば契約は成立します。商法でも署名(本人が自筆で自分の名前を記すこと)と記名(パソコンの印字など、署名以外の方法で自分の名前を記すこと)押印は同等とされています。

 とはいえ、印鑑が押されていない契約書が十分なものかといえば、そうでもありません。日本には印鑑を重視する文化があるので、印鑑が押してあることをもって、「確かに私はこの内容で契約書を交わします」という意思表示が強まると考えられています。署名でも効力はありますが、併せて印鑑を押すことで、より正式なものになるというイメージが持たれているのです。

 また、契約は相手方ありきのものですから、相手方が印鑑を押しているのに、こちらは押さないというのでは、契約の効力以前の問題として、相手方との信頼関係構築が難しくなることもあるでしょう。

2 印鑑の基本

1)印鑑には格がある

 通常、会社は何本かの印鑑を使い分けています。例えば、見積書は「パソコンでの印字と社印」の組み合わせになっているのをよく見かけます。この組み合わせに問題があるわけではありませんが、契約書の場合で考えると少々軽い印象を受けます。

 印鑑には格があり、契約書に押す印鑑はそれなりのものであるほうが好ましいのです。

2)登録印・認印

 登録印とは、登記所に登録した印鑑のことで、印鑑証明書を取得できるものです。会社では、登録印や実印、代表印などと呼ばれ、契約書でも利用されます

 規模が大きな会社で代表者が複数いる場合は、複数の登録印を所有していることもあります。 なお、その印鑑が登録印であるか否かは、印鑑証明書によって明らかになります。そのため、契約書に印鑑証明書を添付することもあります。

 また、認印とは、登録印以外の印鑑のことです。認印は、例えば、宅配便の受取書や簡単な申込書など日常取引等の押印の際に使われるもので、印鑑としての格は低いといえるでしょう。認印としてよく使われる印鑑は、シャチハタ(インキ浸透印)や三文判です。

3)銀行印

 銀行印とは、口座開設手続きなどの際に銀行に届け出ている印鑑のことで、その用途は銀行との取引に限定するのが基本です。

 多くの金融機関と取引している会社は、複数の銀行印を所有して使い分けていることもあります。登録印と同じように銀行印は重要なものなので、紛失時のリスクを低減するなどの狙いもあります。

4)社印

 社印とは、会社名だけを印影とする印鑑のことで、角印や社判などと呼ばれることもあります。社印が押してあれば、少なくとも会社がその文書を正式なものとして認識している場合が多いといえるでしょう。

 しかし、登録印や銀行印ほど利用者が限定されるわけではないため、相手方から見ると、どの程度の権限を持つ人が、どのような手続きを経て押したのかが分かりません。このように、印鑑の格が必ずしも高くはないため、契約書ではほとんど利用されません。

3 【図解】契印・割印などの印鑑の押し方いろいろ

 契約書にはさまざまな意味合いで印鑑が押されます。契約当事者が署名や記名の横に押す「契約印」の他にもいろいろな種類があるので、以下で整理してみましょう。

1)契印

 契印とは、2枚以上にわたる契約書について、それが一体の文書であることを明らかにするために押すものです。2枚以上の契約書の場合、各ページを開いて、それぞれのページにまたがるように押します。

契印の押し方を示した画像です

 また、契約書が多数枚に及び、背が白色の製本テープなどでとじられている場合は、その製本テープ(帯)と契約書本体の境目に印影がかかるように押します。

契印の押し方を示した画像です

2)割印

 割印とは、2通の契約書が同時に作成されたことを明らかにするために、それらの契約書を少しずらして重ね、全てに印影がかかるように押すものです。3通の場合は、契約書を少しずつずらして重ね、それぞれに印影がかかるように押す方法があります。この場合、各契約書には、印影の上3分の1、中3分の1、下3分の1が押されることになります。

割印の押し方を示した画像です

3)消印

 消印とは、印紙を使用済みの状態にして再利用を防止するために、契約書に貼った印紙と契約書の双方に印影がかかるように押すものです。慣例上、1枚の印紙に対して契約当事者がそれぞれ消印を押すことが多くなっていますが、「印紙を使用済みにする」という目的に照らせば、契約当事者のいずれか一方が消印を押せば十分です。なお、消印は押印である必要はなく、署名でも問題ありません。

消印の押し方を示した画像です

4)訂正印

 訂正印とは、契約書の字句を訂正するために押すものです。通常、訂正箇所に二重線を引いて訂正印を押し、正しい字句を記載した上で、「削除○文字」「加筆○文字」などと記します。訂正印を押す位置や「削除○文字」などの記載位置は、訂正箇所の近くか余白になりますが、できるだけ訂正箇所の近くにしたほうが、どこを訂正したのかが分かりやすくなります。

訂正印の押し方を示した画像です

5)捨印

 捨印とは、将来の契約書の訂正に備えて余白に押すものです。契約書を訂正する際は、訂正印で説明した手続きをとるのが基本ですが、新たに訂正印を押してもらうことが難しい場合を想定し、捨印を押しておくことで、将来起こるかもしれない契約書の訂正を可能にしています。ただし、捨印を押すと、相手方に勝手に契約書を訂正されてしまうこともあるので、基本的に捨印は押さないほうが無難です。

捨印の押し方を示した画像です

6)止印

 止印とは、文書の最後に余白が生じたときに、そこに押すものです。

 止印を押すことで、以下は余白であることを明らかにし、相手方に余白を勝手に利用されないようにします。止印の代わりに、「以下、余白」などと記載する場合もあります。

止印の押し方を示した画像です

4 契約印はどの位置に押すべき?

 契約印(契約当事者が署名や記名の横に押すもの)の位置については、「名前にかかるように押すべきだ」「名前にしっかりかかっていると訂正印みたいだから、名前に少しだけ重ねて押すべきだ」「印影がはっきり分かるように、名前から離して押すべきだ」など、意見が分かれます。

 結論から言うと、絶対にこの位置でなければダメだという決まりはありません。そもそも契約印は、契約締結の意思表示の完全性を高めるために押すものなので、法律などによって位置が定められているわけではありません。

 とはいえ、トラブルを避けるために、契約印の位置には一定の配慮をしたほうがよいでしょう。例えば、契約書の余白に押せば捨印と間違えられてしまうおそれがあります。また、意味もなく名前から大きく離れた位置に押したら、その人の常識が疑われかねません。名前にかけるか、かけないかといった細かなことは気にしなくて大丈夫ですが、押す位置は常識の範囲内で決めなければなりません。

 以上を踏まえて、実務上のことを考えてみましょう。契約印の位置について議論が起こるのは、それだけこだわりを持っている人がいるということです。そのため、こちらが後に押す場合は、相手方が押している位置に合わせるのがよいでしょう。例えば、相手方が名前に少しだけ重ねて押していれば、こちらもそれに合わせるということです。一方、こちらが先に押して相手方に渡す場合は、名前に大きく重ねるなど極端な位置は避け、名前ギリギリの位置に押しておくのが無難でしょう。

 契約印の位置が大きな問題になることはありませんが、それを強く主張するとつまらないいざこざが生じるおそれがあります。相手方に合わせたり、商慣習に従ったりしたほうが、手続きがスムーズに進みます。

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5 契約書に貼る印紙のルール

 印紙は、印紙税法に基づいて納める国税の一つです。印紙を貼らなければならない文書を「課税文書」と呼び、その文書を作成した人が印紙税を納めなければなりません。課税文書は第1号から第20号まであり、詳細は国税庁のホームページなどで確認することができます。

●国税庁「印紙税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/inshi301.htm

 ここでは、印紙に関する基礎知識を紹介します。

1)印紙税は誰が納めるのか?

 印紙税は、課税文書を作成した人が納めます。ただし、例えば二者間契約の場合、印紙税を契約当事者が折半して納めなければならないといった決まりはないため、納めるのはどちらか一方であっても問題ありません。

2)タイトルを変えれば非課税文書になるのか?

 課税文書に該当しなければ印紙税は納めなくてもいいため、契約書のタイトルを変えて課税文書に該当しないようにする人がいます。

 しかし、課税文書か否かを判断する基準は契約内容を実質的に見て判断されるため、タイトルだけを変えても意味がありません。

3)貼り忘れた場合の過怠税

 印紙の貼り忘れは税務調査でも指摘されることが多い事項です。もし、印紙税の不納があった場合、過怠税として納めるべき印紙税の3倍(自主的に申し出た場合は1.1倍)が徴収されます。

4)印紙税を節約する方法はないのか?

 印紙税は、正本にのみ課されます。そのため、契約書を正副と区別して節税しようとすることがあります。

 ただし、副本(写し)として認められるためには、署名がないことなど複数の条件をクリアする必要があるので、事前に正副の解釈基準をきちんと確認することが大切です。

5)消印が必要

 印紙には消印をしなければなりません。消印によって、その印紙が使用済みであることが明らかになります。消印をしなかった場合、納めるべき印紙税と同額の過怠税が課されます。

6)契約内容を変更したときの印紙税の負担

 契約書が印紙税法上の課税文書に該当する場合、新たな契約書を交わすと、あらためて印紙税を納めなければなりません。なお、覚書の場合は、変更箇所が重要な事項の変更となる場合は課税文書として取り扱われますが、重要な事項を含まない変更の場合は課税文書に該当しないため、印紙税が不要になることがあります。判断に迷う場合は、顧問税理士や顧問弁護士に確認をするとよいでしょう。

6 課税文書に該当するか否かの判断

 文書の内容によって課税文書に該当するか否か、第○号文書かということで決まるわけですが、解釈が難しい場合もあります。例えば、次のようなケースです。解釈が難しい場合は、所轄税務署に確認することをお勧めします。

  • 文字通りのリース契約は課税文書に該当しないが、それに付随する機器の保守は請負契約に該当するか否か
  • 基本契約について第7号文書として印紙を貼っているが、そこから派生する個別契約も内容に応じて課税文書に該当するか否か
  • 1通の契約書に、複数の課税文書に該当する要素が含まれている場合の取り扱い

7 印紙はいつ貼る? 契約書の交わし方

 実務上で意外と迷うのが、契約書の交わし方です。契約当事者が一堂に会して行うことが理想ですが、実際は郵送などで手続きすることが多くなります。その際、「印紙はどのタイミングで貼るのか?」などといった素朴な疑問が生じることがあります。

 ここでは、A社とB社が契約書Xを交わすときの手順を整理してみましょう(必要に応じて契印や割印を押しますが、ここでは割愛しています)。なお、契約書は、簡易書留など記録が残る方法で送付するとよいでしょう。

印紙の貼り方を示した画像です

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年6月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート
監修:竹村総合法律事務所 弁護士 松下翔
監修:辻・本郷税理士法人 税理士 安積健

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