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【総まとめ】契約実務で押さえておくべき3つのポイント

日本情報マート

2019.08.27

 日常のビジネスでは、さまざまな契約が締結されます。事前にトラブルを防ぐために権利義務関係を明確にして、契約書を作成することが重要です。

 とはいえ、注文書のやり取りだけで、契約書を締結していないというケースはもちろん、契約書を締結していたとしても、その実態は出所の分からないインターネット上で公開されている契約書のひな型を利用しているなど、「契約書を締結する」という形ばかりが先行してしまい、きちんとした契約書を使うことの重要性が、まだ十分に理解されていないように感じることもあります。

 これまで6回にわたって「契約書の基礎知識」を説明してきましたが、契約実務に慣れていない人にとっては、雲をつかむような感覚を持ってしまい、「結局よく分からない」と感じたかもしれません。

 そこで、この記事では、これまでの連載を踏まえて、特に注意しなければならない、次の3つの点を簡潔にまとめましたので、有効に活用していただければと思います。

  • 契約を締結する当事者は誰か
  • 契約を締結するに当たって、一般的に注意すべき点で見落としはないか
  • 押印作業・印紙貼付に誤りはないか

1 契約を締結する当事者は誰か

 まずは、契約相手の誰が、契約締結権限を有しているかを確認する必要があります。相手方が法人の場合、代表取締役や支配人であれば契約当事者として問題ありませんが、事業責任者などは契約内容を実質的に決定する権限があっても、会社を代表して契約を締結する権限まではないことも多々あるため、確認を怠らないようにしましょう。

考えられる契約当事者(法人)

 また、相手方が個人の場合も、次に該当する人と契約を締結する際は注意が必要です。

考えられる契約当事者(個人)

 契約を締結できる人・できない人については、「【弁護士監修】契約書の基礎知識」で詳細を紹介していますので、確認してください。

2 契約を締結するに当たって、一般的に注意すべき点で見落としはないか

 個別の契約における重要な取引条件については、契約書にきちんと記載がされているかを注意して確認します。一方、契約類型ごとに一般的に規定されている条項(一般条項)については、内容を見落としてしまうことも少なくありません。

 民法改正を踏まえて、契約締結に当たって、一般的に注意すべき点を契約類型ごとに見ていきましょう。

1)契約目的を明記しているか

 改正民法では当事者の意思が尊重され、どのような目的で契約が締結されたかによって履行責任、債務不履行責任等の内容が変わってくるため、今後は契約目的を明記する必要があります。

2)知的財産権の帰属や利用方法については、どのように規定されているか

 納品物に係る所有権と知的財産権は、権利としては別であり、それぞれの帰属を明記する必要があります。そして、所有権と知的財産権の帰属が異なる場合には、知的財産権の利用方法(使用許諾等)を定める必要があります。

3)危険負担は誰が負うか

 改正民法では、いわゆる債権者主義が撤廃され、債務者主義に統一されました(売買契約において天災で物が滅失した場合、その危険は債務者(売主)が負うことになります)。そのため、従前のように債権者主義としたい場合には、契約書に記載する必要があります。

4)債務者の帰責性が要件となっているか

 改正民法によって、債務不履行解除を行うに当たって、債務者の帰責性は不要となりました。そのため、債務不履行解除ができる場合を制限するために、債務者の帰責性を必要とする場合には、契約書に記載する必要があります。

5)損害賠償の内容はどのように規定されているか

 賠償義務を負う損害の範囲損害賠償額の上限がどのように規定されているか。また、損害額の算定が難しい場合には、損害賠償額の予定に関する記載が必要かを検討しなければなりません。

6)専属的合意管轄の裁判所はどこになっているか

 離れた場所にある裁判所で訴訟を提起されることになると、訴訟対応の手間・労力が増えることから、留意して決める必要があります。

 一般条項のチェックポイントについては、「契約書のチェック。基本構成から「解除条項」「損害賠償条項」まで」「「知的財産(権)に関する条項」「期限の利益喪失条項」「反社会的勢力排除条項」のチェックポイント」で詳細を紹介していますので、確認してください。

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3 押印作業・印紙貼付に誤りはないか

 契約内容が決まり、残すは締結だけとなった場合においても、押印作業を誤ってしまうと、契約の効力が否定されることになりかねません。また、課税文書について印紙を納めていないと、思わぬ形で過怠税を徴収されるリスクが生じることもあります。

 そのため、押印と印紙についても注意をする必要があるでしょう。具体的には次の点に留意する必要があります。

押印に関するチェックポイント
印紙貼付に関するチェックポイント

 印鑑や印紙については、「【図解】契約書への印鑑の押し方、印紙の貼り方」で詳細を紹介していますので、確認してください。

4 最後に

 契約を締結するに当たっては、個別事情に応じた交渉をして重要な取引条件を決め、契約書に落とし込んでいくことが最も大事であることは言うまでもありません。もっとも、それ以外にこの記事でまとめた点についても過不足なく記載をし、対応することで、初めてトラブルにならない契約書の作成が可能となります。この記事が契約書作成の参考となることを願っています。

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契約書作成・チェックのポイント

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年8月27日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:竹村総合法律事務所 弁護士 松下翔

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