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【弁護士監修】売掛金の回収や出資者とのトラブルをどう解決するか?

日本情報マート

2019.11.12

日ごろからスタートアップ支援をされているのぞみ総合法律事務所の3名の弁護士に、創業間もない時期に抱えがちな法務トラブルと、それを避けるための方法や対応についてお話いただいた内容をまとめたシリーズです。

第2回のテーマは、売掛金の回収などお金をめぐるトラブルです。

1 やっぱり多い! 売掛金のトラブル

市毛弁護士

スタートアップは、お金に関するトラブルも多いですね。

創業間もない頃は、まず売上を計上することに一生懸命です。そのため、買い手から「来月払いますから」などと言われたとおり信用し、全く与信調査などをしないまま取引に応じ、結局約束の期日には払ってもらえない、さらには売掛金が回収できないというケースは少なくありません。

買い手が代金を払わない理由はさまざまです。資力が乏しく払えない、仕入れた商品を転売してもうけようと思ったが転売できなかった、あるいは商品を債権者に差し押さえられてしまったといったことが想定されます。中には、(買い手の)債権者からの追求をかわすため、形ある商品を納入させそれが売れれば返済ができるかのように見せかけるなど、利用されるケースもあります。最後の例などは、仕入元を巻き込んでの“自転車操業”です。

りそなCollaborare事務局(以下「事務局」)

う~ん。それはひどいですね。

一方で、スタートアップは売上が欲しいですし、特にどのようなことに注意するのがよいでしょうか?

市毛弁護士

資金繰りが苦しい創業当初は、「この日に入金されるだろう」と期待していたお金が入ってこないことの影響は計りしれません。自分自身がお金を借りていて、その日に返さなければいけない立場にあれば、支払停止、そして倒産の危機にもつながります。ですから、本来は、「キャッシュオンデリバリー(現金取引)」が一番安全です。

また、掛け売りの取引をするのであれば、売掛金が確実に回収できるような手当てをしておくことが不可欠です。掛け売りは、相手にお金を貸しているのと同じとだという認識を持ちましょう。普通、資力の乏しい相手に、無担保無保証で、200万円、300万円ものお金を貸したりしないはずです。

ですから、相手が本当にお金を払える資力があるかどうかを、きちんと調べましょう。その後、信用状態に不安があれば、どうやって保全するのかを弁護士に相談するのがよいでしょう。保全策としては、「資力のある保証人」あるいは「不動産や売掛金などを担保に入れる」などの方法や書面の作り方などもアドバイスすることができますので。

結城弁護士

取引についてきちんと契約書を作成するのも、相手に約束違反をさせないための一つの解決策になりますね。契約書を取り交わさずに、注文書・請書のやりとりだけで取引をするのと、契約書があって、支払期限に遅れるとこんなペナルティーがあると分かっているのでは、違反の可能性は当然変わってきます。

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2 出資者とのトラブルも多い

市毛弁護士

それから、お金周りのトラブルでよく見聞きするのが、「お金を出している人、つまり出資者が、その意に沿わないことがあると、突然お金を返せと要求してくる」というケースもあります。「自分はお金を出しているのだから、経営に関して当然に口を出せるのだ」と考える人が結構いるためです。「出資」なのか「貸付」なのか、発言権や返還請求権などが法的に成り立つのかどうかは、事情により全く異なります。

トラブルが発生した場合、「出資」であったとしても、「このお金は返してもらえることになっていたはずだ」と、主張されることもよくあります。

清永弁護士

契約書のような書面が作られていて、「出資」というタイトルになっていても、内容を見ると実は「貸付」だということもあり、こうした場合は、余計にトラブルになります。お金を出してもらう側としても、「出資」なのか「貸付」なのか、明確にすることが大切ですね。

本当は、複数の人がこれから先一緒にビジネスを進めていこうとする場合、将来うまくいかなくなる可能性や、事業・会社を畳む可能性などもあらかじめ想定して、曖昧な部分がないように取り決めをしておくべきです。「これからやっていこう!」という意欲と希望に燃えているときに、うまくいかない場合のことを考えるのは難しいかもしれませんが、やはり万一のことも想定して契約を交わすことが大切です。

市毛弁護士

そうですね。また、たとえ契約書と書いていなくても、確認文書やメールの文面でも、契約(合意)成立を証明する一つの手段になりうることにも注意が必要です。セールストークで想定外の義務を負わされることがないよう、ステークホルダーとの付き合いの中でも、法的な権利義務が生じるのはどの段階か、あらかじめ明示しておくべきでしょう。

とはいえ、そもそも何をどう決めて、明示すべきか、分からない場合は、しろうと判断をするのではなく、専門家である弁護士に相談すべきでしょう。

私たち弁護士はトラブルになってから相談を受けることが多いのですが、事業開始前に、「どのようなリスクがあるのか、どうしたらリスクが回避できるのか」という予防の段階から相談していただくのが効果的で、早めに手を打つことで結局は紛争解決費用も抑えられます。「早く相談してくれればこんなトラブルにならなかったのに……」と感じることが少なくないです。

結城弁護士

弁護士のようにリスクばっかり気にしていたら経営者なんてやってられない、と思う方もいるかもしれませんが、そんな経営者でも、さすがにこれだけはまずい、ということがあると思うのです。例えば、創業間もない会社で経営を支えるあなたの右腕が、別の中心人物とともに、会社の技術と顧客情報を持ち出して、ライバル企業に移籍したらどうなるでしょうか。お金に関する問題であれば、現在の売上に比べて非常に大きな取引を持ちかけられ、なんとかその取引を獲得しようと、なんら契約などを交わす前に設備投資や人員の採用を行ってしまって、結果、取引成立に至らなければどうなるでしょうか。今の会社にとって重大なリスクを理解できているか、どうすればそのリスクを回避、低減できるかを考えながら、ビジネスを進めていくことが大切だと思います。

事務局

ありがとうございました。お金に関する問題はとても大事ですね。外部の取引先はもちろんですが、共同経営者や出資者との関係にも注意しなければならないということですね。

次回は、今回と関連して、危ない取引先の見分け方についてお伺いします。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年11月12日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート
監修:のぞみ総合法律事務所 弁護士 市毛由美子、清永敬文、結城大輔

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