
4つの安全管理措置の概要と押さえておくべきポイント
2019.04.02
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アイデア(発明・考案)・デザイン・ロゴマーク・著作物・営業上のノウハウなど、企業には多くの知的財産があります。これらの知的財産を権利化する、つまり知的財産権とすることで、他者の利用を排除でき、大切な資産を守ることができます。
一口に知的財産権といっても、特許権、商標権、著作権など複数の種類があります。この記事では、特にビジネスに関連の深い知的財産権について、どのような種類があるのか、それぞれの権利の内容について解説します。なお、知的財産権については一通り知っており、その保護や契約について知りたい場合は、次の記事も参考になるので、ぜひご覧ください。
知的財産権は法律で次のように定められています(知的財産基本法第2条第2項)。
特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他知的財産に関して法令に定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう
その他知的財産を含めて、一般的には次のようなものが知的財産権に含まれます。
「絶対的独占権」とは、権利者だけが独占できる権利です。模倣した場合だけではなく、偶然同じものを創作した場合でも、それをビジネスとして実施することは権利侵害となります。特許権などが該当します。
「相対的独占権」とは、依拠することなく、偶然に同じものを独自に創作した場合は、その効力が及ばない権利のことです。著作権などが該当します。
上表で取り上げた知的財産権の中でも、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権の5つの権利は、業種を問わず多くの企業のビジネスに関連する知的財産権です。そのため、以降ではこれら5つの権利について見ていきます。
特許権は、発明について特許庁に特許出願をして、審査をクリアした後に登録することで取得することができます。
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものを指します。この条件を満たさないため、例えば、次のものは発明には該当しません。
全ての発明が特許権を取得できるわけではなく、産業上の利用可能性、新規性、進歩性などが問われます。また、特許権の保護期間は、出願から原則として20年間で、発明の利用を独占することができます。
●関連記事:特許権/知的財産権をビジネスで活用する(1)
実用新案権は、考案について特許庁に実用新案出願して、審査をクリアした後に登録することで取得することができます。
実用新案権は特許権と似ていますが、保護の対象が発明ではなく考案(いわゆる小発明)であることと、形式的な審査であることが大きな違いです。考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作を指します。実用新案権を取得できるのは、産業上利用できる「物品の形状、構造または組合せに係る考案」に限定されています。この条件を満たさないため、例えば、化学物質の考案、コンピュータープログラムなどは実用新案権を取得できません。
実用新案権の保護期間は、出願から10年間です。形式的な審査でスピーディーに権利取得ができるのがメリットですが、注意点もあります。権利行使をする場合は、実用新案技術評価書(特許庁の審査官が出願された考案の新規性、進歩性などに関する評価を行った書類)を提示して、警告した後でなければなりません。特許権に比べて弱い権利といえます。
意匠権は、意匠について特許庁に意匠出願して、審査をクリアした後に登録することで取得することができます。
意匠とは、物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合、建築物の形状または画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるものを指します。簡単にまとめると、1.物品・建築物・画像の、2.形状・模様(+色)という2つの要素からなるデザインのことです。
また、意匠権を取得するためには、その意匠が量産可能である必要があります。この条件を満たさないため、自然物を意匠の主たる要素とし量産できないものや、純粋美術の分野に属する著作物などは、意匠権を取得することはできません。
意匠権の保護期間は、出願から25年間(2020年3月31日以降の出願の場合)で、意匠の実施(製造・販売・使用など)を独占することができます。
●関連記事:意匠権/知的財産権をビジネスで活用する(2)
商標権は、商標について特許庁に商標出願して、審査をクリアした後に登録することで取得することができます。
商標とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音その他政令で定めるものであって、1.業として商品を生産し、証明し、または譲渡する者がその商品について使用をするもの、2.業として役務を提供し、または証明する者がその役務について使用をするものを指します。簡単にまとめると、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)のことです。
商標は、他人(他社)と区別できることが重要です。この条件を満たさないため、例えば、次のような商標は商標権を取得することはできません。
ただし、商標権の権利範囲は、マークと、そのマークを使用する商品・役務の2つの要素で定められています。仮に同じような商標が2つ以上あったとしても、商品・役務が異なれば、いずれも商標権を取得できる可能性もあります。
商標権の保護期間は、登録から10年間ですが、更新によって半永久的に商標の使用を独占することができます。
●関連記事:商標権/知的財産権をビジネスで活用する(3)
著作権は、著作物を創作した時点で、自動的に発生する権利です。特許権・実用新案権・意匠権・商標権などの産業財産権とは異なり、出願、審査、登録などは不要です。
著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものを指します。この条件を満たさないため、次のものは著作物には該当しません。
また、著作権には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権などの産業財産権などとは異なる、次のような権利が含まれています。
上記のうち、著作者人格権は譲渡や相続ができない権利です。そのため、例えば、外部のイラストレーターに著作物を発注する場合、イラストレーターの意向に関係なく、自由に著作物を利用したいのであれば、著作財産権を譲渡してもらうだけでなく、著作者人格権を行使しない旨の契約を交わしておくことなどが必要になります。
著作権の保護期間は、著作者の死後70年間、著作者が法人の場合は公表後70年間です。
●関連記事:著作権/知的財産権をビジネスで活用する(4)
以上
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年8月21日時点のものであり、将来変更される可能性があります。
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