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商標権/知的財産権をビジネスで活用する(3)

日本情報マート

2021.11.22

 商標とは、自社の商品・サービス(商標法上では「役務」)などに使用するマークのことで、ロゴマークやネーミングなどが該当します。商標は顧客が自社の商品・サービスを認識する重要な要素であり、「物言わぬセールスマン」ともいわれます。
 「自社のロゴマークやネーミングが他社にまねされているのに、使用を止められない」。そんな事態を招かないように、商標権を取得しておきましょう。そのために必要な基礎知識をご紹介します。

1 商標権でできること。半永久的な保護

 商標権は、商標について特許庁に商標出願して、審査をクリアした後に登録すると取得できます。
 商標とは、簡単にいえば自社の商品・サービスなどに使用するマークのことで、商標権の対象となるのは、

文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音など

です。どのようなものが商標に該当するのかなどの詳細は、後述する「3 商標権の対象となる10種類の商標」「4 商標権を取得することができない商標」で紹介しています。

 商標権の取得には、次のようなメリットがあります。

  • 商標権の存続期間中は、商標権者(商標権を持つ権利者)だけが、その商標を独占排他的に使用することができる
  • 商標権は更新が可能。特許権や意匠権とは異なり、半永久的に保護される
  • 長期にわたって保護されるため、顧客の認知度が高まる
  • 商品・サービスに対する顧客の信用を蓄積することができる(ブランドイメージが醸成される)

 商標権の保護期間は、登録から10年で満了します。ただし、更新が可能なので、更新し続ける限り自社が独占できます。
 商標には「このロゴマークがついている商品なら信頼できる、安心して買える」といったブランドイメージが紐づいています。ただし、保護期間が切れたからといって、誰でも同じロゴマークが使えると、粗悪な商品・サービスにも同じロゴマークがつけられて販売されるという事態が起こり得ます。こうした事態を防いで顧客を保護する観点から、商標権には半永久的な保護が認められています。

2 商標出願で注意すべきこと

1)自社が商標権を主張できる範囲は限定的

 商標権は、商品・サービスを指定して登録します。特許庁では、全45種類からなる区分を定めており、この中から登録を受けたい区分を指定します。商標が登録されると、次のような権利が取得できます。

  • 専用権:指定した商品・サービスについて、登録した商標を使用する権利を専有できる(専用権)
  • 禁止権:他人による類似範囲の使用を排除することができる
商標権の効力が及ぶ範囲を示した画像です

 なお、自社が商標権を主張できるのは、指定した区分の範囲内であり、全ての商品・サービスで権利を主張できるわけではありません。
 例えば、自社が「AAA」という商品名について、清涼飲料を指定して、商標権を取得した場合で考えてみましょう。他社が清涼飲料に「AAA」という商品名を使用することは阻止できます。しかし、他社が化粧品に「AAA」という商品名を使用することは阻止できません。

 1つだけでなく、さまざまな商品・サービスに同じ商標をつけて保護したい場合、指定する商品・サービスの範囲を広げて出願します。なお、出願時に商品・サービスが存在していなくても問題ありません。商標をつける予定の商品は開発中という場合でも、登録は認められます。
 ただし、指定する商品・サービスの数が増えると、その分、登録料などの費用がかさむので注意しましょう。

2)すぐに出願

 商標権には「先願主義」というルールがあります。これは同じ商標があった場合、特許庁に先に出願した者が商標権を取得できるというルールです。他社が同じ商標を出願して登録されると、たとえ自社が先に商品・サービスを世に出していても、商標権を侵害していることになります。
 そのため、ロゴマークやネーミングが決まり次第、同一または類似の商標がないかについて、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、先行調査をします。同一または類似の商標がない場合は、速やかに出願します。

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3 商標権の対象となる10種類の商標

 商標には、文字や図形だけでなく、音や色彩などさまざまな種類があります。商標権の対象となる商標は10種類です。

1)文字商標

 文字のみで構成される商標のことです。文字はひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・外国語・数字などによって表されます。ただし、日本の消費者が一般に文字と理解できない商標は、図形商標とされる場合があります。

2)図形商標

 写実的なもの、図案化したもの、幾何学的模様などの、図形のみから構成される商標のことです。図形同士を結合した商標も含まれます。文字商標についても、図案化されたものは図形商標とされる場合があります。

3)記号商標

 のれん記号、文字を図案化して組み合わせた(モノグラム化した)記号、記号的な紋章のことです。

4)立体商標

 立体的形状からなる商標で、例えば、実在または架空の人物、動物などを人形のように立体化した商標のことです。

5)結合商標

 異なる意味合いを持つ文字と文字を組み合わせた商標や、文字、図形、記号、立体的形状の2つ以上を組み合わせた商標のことです。

6)動き商標

 文字や図形などが時間の経過に伴って変化する商標のことです。例えば、テレビやコンピューター画面などに映し出されて変化する文字や図形などが該当します。

7)ホログラム商標

 文字や図形などがホログラフィーその他の方法により変化する商標のことです。

8)色彩のみからなる商標

 結合商標とは異なる、単色または複数の色彩の組み合わせのみからなる商標のことです。例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩などが該当します。

9)音商標

 音楽、音声、自然音などからなる商標であり、聴覚で認識される商標のことです。例えば、コマーシャルなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音などが該当します。

10)位置商標

 文字や図形などの標章を商品などに付す位置が特定される商標のことです。

4 商標権を取得することができない商標

 商標権を取得するには、前述した10種類に該当するだけでは十分ではありません。次の3つの場合は、商標権を取得することができませんので注意が必要です。

1)自他商品・サービスを識別(区別)できない商標

 商標は、自己と他人の商品・サービスを識別(区別)することができなければ登録を受けられません。

自他商品・サービスを識別(区別)できない商標を示した画像です

 ただし、表中の3~5に該当する商標であっても、使用した結果、顧客が誰の商品・サービスであるかを認識できるようになったものは商標権を取得できます。指定商品「ハム」について「ニッポンハム」などが該当します。
 取得に際しては、例えば「商品名:○○チョコレートを30年間にわたって生産し、47都道府県で販売している」など、実際に使用した商標および商品・サービスや使用した期間、地域、生産量、広告回数などを証明する証拠書類の提出が必要です。

2)公益性に反する商標

 公益的に使用されている標章と紛らわしい商標や需要者の利益を害する恐れのある商標は登録を受けられません。

公益性に反する商標を示した画像です

3)他人の登録商標または周知・著名商標等と紛らわしい商標

 他人の使用する商標、他人の氏名・名称などと紛らわしい商標は登録を受けられません。

他人の登録商標または周知・著名商標等と紛らわしい商標を示した画像です

5 商標権を取得する際の手続き

 ロゴマークやネーミングなどについて商標権を取得するためには、特許庁長官に対して商標出願を行わなければなりません。商標出願から商標権取得までの流れは次の通りです。

商標出願から商標権取得までの流れを示した画像です

 出願後、一次審査通知までの期間は平均10.0カ月であり、出願から権利化までの期間は平均11.2カ月の期間を要します(2020年度)。
 しかし、特許庁では「商標早期審査」および「ファストトラック審査」という制度を設けており、通常よりも短期間で審査の通知が届く制度があります。商標早期審査は出願する商標を既に使用している場合、ファストトラック審査は使用していない場合に利用できます。
 詳細については、特許庁のウェブサイトで紹介されています。

 商標出願の際には、登録を受けようとする商標、指定商品または指定役務について記載した所定の書類を特許庁に提出しなければなりません。出願費用は3400円+(区分数×8600円)です。
 また、審査をクリアした後、商標登録料の納付が必要です。商標登録料は、区分数×2万8200円です。また、更新登録する場合は区分数×3万8800円となっています。
 取得のための手続きや出願費用などの詳細は、特許庁のウェブサイトで紹介されています。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年11月22日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:日本情報マート
監修:有村総合法律事務所 弁護士 渡邉和也

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