
2022 中小企業の株主総会「株主総会にまつわるQ&A」
2022.05.23
Copyright (c) Resona Bank, Limited All Rights Reserved.
2022年10月1日から、社会保険の被保険者になるパート等の範囲が広がります。気になるのは、
といったことでしょう。そこでこの記事では、対象となる会社、対応すべきこと、社会保険料の負担などについて、分かりやすく説明していきます。
2022年10月1日以降、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の被保険者になるパート等の範囲が拡大されます。これを「社会保険の適用拡大」といいます。ここでいう「パート等」とは、
週の所定労働時間または月の所定労働日数が、正社員の4分の3未満の短時間労働者
のことです。
「特定適用事業所」といって、正社員など(正確には、厚生年金保険の被保険者)を一定数雇用する会社
です。現状、特定適用事業所に該当するのは正社員などが常時500人超の会社ですが、これが、
まずは、御社に社会保険の被保険者要件を満たすパート等がいるかを確認しましょう。会社とパート等が図表2の1.から5.までの要件を全て満たす場合、パート等が被保険者になります。
図表2にある、週の所定労働時間が20時間、賃金が月額8万8000円のパート等とは、例えば次のような働き方をしている人です。
ちなみに、パート等の賃金が月額8万8000円で、健康保険の保険者が全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」、支部は東京支部とする)の場合、パート等が社会保険に加入することで、会社とパート等の社会保険料の負担は次のようになります。
賃金が月額8万8000円の場合、パート等が社会保険に加入することで、会社の負担は、
パート等1人当たり月額1万2369円(1万3090円)増、年額14万8428円(15万7080円)増
社会保険の適用拡大が施行されると、現状、配偶者などの家族(被保険者)の扶養に入っているパート等(被扶養者)が、被保険者になる可能性があります。その場合、パート等は、
家族の扶養から外れ、これまで負担義務のなかった社会保険料が賃金から天引きされる
ようになります。トラブルにならないよう、現状、家族の扶養に入っていて、なおかつ被保険者要件を満たすパート等には、施行前に社会保険料の天引きが発生する旨を説明しましょう。社会保険料<国民健康保険料+国民年金保険料
と、社会保険への加入によって軽くなるケースが多いようです。
社会保険料の話ばかりすると、なんだかネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、パート等が社会保険に加入するということは、今まで受けられなかった保険給付を受けられるようになることでもあります。
「社会保険の被保険者」「社会保険の被扶養者」「国民健康保険と国民年金の被保険者」が受けられる主な保険給付を比較すると、次のようになります。
朱書きの部分がポイントです。パート等が社会保険の被保険者になると、
になります。社会保険料の天引きの件と併せてパート等に伝えると親切です。
パート等が被扶養者の場合、社会保険が適用されると聞いて「家族の扶養の範囲内で働きたいので、もう少し労働時間を短くしてもらえませんか?」と、会社に相談してくる可能性があります。この場合、
会社がパート等と合意して労働条件を変更した結果、パート等が被保険者要件を満たさなくなるのであれば、社会保険への加入は不要
になります。労働時間を長くしてパート等の給与収入(賃金など)が増えると、パート等の配偶者が所得税の配偶者特別控除を受けられなくなるケースがある
からです。配偶者特別控除の控除額は満額38万円ですが、
という仕組みになっています。ですから、労働条件の見直しについては慎重に検討しましょう。
社会保険の適用拡大が施行される前に、パート等の労働条件を見直すのは問題ありませんが、施行後は被保険者要件を満たすパート等を全員、社会保険に加入させなければなりません。
2022年10月1日から社会保険の適用拡大の対象となる会社(特定適用事業所)は、正社員などが常時100人超の会社です。これらの会社に被保険者要件を満たすパート等がいる場合、
被保険者要件を満たすようになった日から5日以内(この場合、2022年10月6日まで)に、各パート等の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を所轄年金事務所に提出
しなければなりません。なお、2022年10月1日から特定適用事業所になる会社については、8月ごろに所轄年金事務所から「特定適用事業所該当事前のお知らせ」が送付されています。また、10月ごろには、同じく所轄年金事務所から「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。
社会保険の適用拡大が開始された以降も、新しいパート等を採用することがあると思います。求人案内や労働条件通知書についても忘れずに見直しておきましょう。
なお、社会保険の適用について確認するだけでなく、その他の労働条件が妥当かどうかについても、改めて検討してみましょう。例えば、
といった具合で考えてみます。ただし、賃金に変更を加える場合は、最低賃金や同一労働同一賃金などの問題に注意が必要です。
以上
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2022年9月6日時点のものであり、将来変更される可能性があります。
※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。
【電子メールでのお問い合わせ先】 inquiry01@jim.jp
(株式会社日本情報マートが、皆様からのお問い合わせを承ります。なお、株式会社日本情報マートの会社概要は、ウェブサイト http://www.jim.jp/company/をご覧ください)
ご回答は平日午前10:00~18:00とさせていただいておりますので、ご了承ください。
RECOMMENDATION
2022 中小企業の株主総会「株主総会にまつわるQ&A」
2022.05.23
2022 中小企業の株主総会 「開催後の実務にも注意」
2022.05.09
2022 中小企業の株主総会 「総会運営の流れを知ろう」
2022.04.26
2022 中小企業の株主総会「株主総会の準備は何をすべき?」
2022.04.22
カーブアウトM&Aを行う場合に留意すべきこと/スタート...
2022.04.21