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財務3表のつながりと、キャッシュフロー計算書の読み方

日本情報マート

2018.07.10

 会社経営において、キャッシュの動きは必ず押さえるべき数字です。帳簿上は十分な売上と利益が出ているのに、まだキャッシュが入ってこなくて資金繰りに窮し、最悪の場合は「黒字倒産」になりかねません。安定した会社経営をするためには、キャッシュの動きを踏まえた資金繰りが不可欠です。そのために、まずは「キャッシュフロー計算書」(以下「CF計算書」)を読めるようにしましょう。

1 キャッシュフローの考え方

 CF計算書は、貸借対照表(以下「BS」)と損益計算書(以下「PL」)とともに財務3表を構成します。BSは決算期末時点の会社の資金調達(借入金など)や運用の状態、PLは会社の一定期間の経営成績である期間利益(利益=収益-費用)を示します。

 CF計算書ではキャッシュフローを、営業活動によるキャッシュフロー(以下「営業CF」)、投資活動によるキャッシュフロー(以下「投資CF」)、財務活動によるキャッシュフロー(以下「財務CF」)の3つの活動に分けて示しています。その概要は次の通りです。

  • 営業CF:売上、仕入れなど主に本業によるキャッシュの動きを示す
  • 投資CF:固定資産、投資有価証券の取得、売却などのキャッシュの動きを示す
  • 財務CF:借入、返済、増資などのキャッシュの動きを示す

 営業CFは、本業が生み出すキャッシュを示すためプラスが良いのです。一方、投資CFと財務CFは、一概に判断できません。例えば、新店舗用の不動産を購入した場合も、投資有価証券を購入した場合も投資CFはマイナスになります。大切なのは、「何のために?」という理由です。投資CFがマイナスであっても、それが将来への布石を打つための投資ならば評価できるわけです。

 財務CFも同様です。例えば、金融機関から借入をすれば財務CFはプラス、返済すればマイナスになりますが、やはり理由が大事です。金融機関からの借入が将来への布石を打つためであれば評価できますが、売上債権が膨らんでいる(営業CFが減少している)状況で、運転資金を借入しているのであれば、好ましいとはいえません。

 CF計算書を読むときはプラスとマイナスに注目しますが、単純に符号だけで判断してはいけません。創業したての会社では、営業CFがマイナスのことも珍しくないのです。キャッシュの状況をどう判断するかは社長の仕事です。たとえ、足元のキャッシュがマイナスであっても、きちんとした事業計画があり、それに沿って成長を目指しているのであればよいわけです。

2 財務3表のつながり

 CF計算書は、BSとPLの数字から作られます。まずは、ざっくりと財務3表のつながりを確認してみましょう。なお、これから紹介するBS、PL、CF計算書の事例は、相当に単純化された事例であることをあらかじめご了承ください。

CF計算書がBSやPLとどのようにつながっているのかについて、簡単な財務諸表の例を使って紹介した画像です。

 PLの「当期純利益」は、BSの「繰越利益剰余金」として留保され、投資や財務基盤を強化するための原資となります。BSの「現金預金」は、CF計算書の「現金および現金同等物の期末残高」と一致します。また、PLの「税引前当期純利益」は、会社の本業による手元資金の増加分として「営業活動によるキャッシュフロー」(営業CF)に計上されます。

3 キャッシュフロー計算書を読んでみよう

 財務3表のつながりが分かったところで、次はCF計算書を読んでいきましょう。CF計算書の作成方法には「直接法」と「間接法」がありますが、ここでは実務でよく使われる「間接法」について紹介します。また、簡単な算式も紹介しているので、これを使えばエクセルで比較的容易にCF計算書を作成することもできます(間接法)。

1)営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)

営業活動によるキャッシュフローの項目を示した画像です。

1.税引前当期純利益

 当期のPLの税引前当期純利益である1億2000万円(29)を記載します。営業CFは、税引前当期純利益にキャッシュの増減を勘案して算出します。

2.減価償却費

 減価償却費である1000万円(28)は、キャッシュの支出を伴わないので、税引前当期純利益に足し合わせます。

3.売上債権の増減

 税引前当期純利益には、キャッシュの収入を伴わない未回収の債権が含まれます。未回収の部分を除き、当期の債権回収高を14億9500万円(=(2)+(26)-(11))にするため、期末の売上債権残高9000万円(11)と期首(前期末。以降、同様)の売上債権残高8500万円(2)の差額500万円(=(11)-(2))を、税引前当期純利益から差し引きます。逆に、期末の売上債権が期首の売上債権よりも少ないケースでは、未回収債権が減少するので、税引前当期純利益に足し合わせます。

4.棚卸資産の増減

 棚卸資産は、仕入価額相当のキャッシュが商品に形を変え、在庫になっていることを意味します。期末の棚卸資産残高である5500万円(12)が期首の棚卸資産残高である5000万円(3)よりも500万円(=(12)-(3))増加しているため、税引前当期純利益から差し引きます。逆に、期末の棚卸資産が期首の棚卸資産よりも少ないケースでは、棚卸資産残高が減少するので、税引前当期純利益に足し合わせます。

5.仕入債務の増減

 税引前当期純利益を計算する際、売上原価である12億円(27)を売上高である15億円(26)から差し引きます。しかし、売上原価にはキャッシュの支出を伴わない未払いの債務が含まれます。未払いの部分を除くため、期末の仕入債務残高1億円(16)と期首の仕入債務残高8500万円(7)の差額1500万円(=(16)-(7))を、税引前当期純利益に足し合わせます。逆に、期末の仕入債務が期首の仕入債務よりも少ない場合、仕入債務が減少するので、税引前当期純利益から差し引きます。

6.法人税等の支払

 法人税等の支払は、事業年度終了日の翌日から2カ月を経過する日までに行います。当期中に支払う法人税等の金額は、前期分の所得に係る法人税等の金額となります。そのため、当期中に支払った前期末の未払法人税等の金額3000万円(9)を差し引きます。

2)投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)

投資活動によるキャッシュフローの項目を示した画像です。

1.減価償却資産の増減

 減価償却資産の増減額の算式は、-((13)-(4)+(28))=((4)-(28)-(13))です。

(注)事例を単純化するため、図表1~3では、「減価償却資産の売却に伴い発生する損益」や「減価償却資産の取得および売却に係る未払金および未収入金」は、発生しなかったものとしています。

2.建設仮勘定

 建設仮勘定は、自社の長期建設工事などの前払金の性格を有します。建設仮勘定の増減額の算式は、-((14)-(5))=((5)-(14))=-(22)です。

3.投資有価証券の増減

 投資有価証券の増減額の算式は、-((15)-(6))=((6)-(15))=-(23)です。

(注)事例を単純化するため、図表1~3では、「有価証券の売却に伴い発生する損益」は、発生しなかったものとしています。また時価のある有価証券を「その他有価証券」として保有していなかったものとしています。

3)財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)

財務活動によるキャッシュフローの項目を示した画像です。

 借入金の増減額の算式は、(17)-(8)=(25) です。

4)その他の項目

その他の項目の項目を示した画像です。

1.現金および現金同等物の増減額

 営業CFの計・投資CFの計・財務CFの計の合計額である7700万円を記載します。この金額は、BSの現金預金の期首残高と期末残高の差額と同額になります。

2.現金および現金同等物の期首残高

 当期のBSの現金預金の期首残高である2000万円(1)を記載します。

3.現金および現金同等物の期末残高

 現金および現金同等物の増減額である7700万円とBSの現金預金の期首残高である2000万円(1)の合計額を記載します。この金額は、当期のBSの現金預金の期末残高9700万円(10)と一致します。

4 感覚的に覚える

 CF計算書の仕組みは少し複雑ですが、財務3表のつながりと、実際のキャッシュの動き(収入と支出を伴うか否か)をイメージすれば、おおよその状態を把握することができます。

 なお、中小企業庁「中小企業の会計34問34答(平成23年指針改正対応版)ツール集」では、CF計算書の簡易作成ツールを提供しています。2期分の決算書を入力すれば、CF計算書が自動的に作成されますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年7月9日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート
監修:TOMA税理士法人 税理士 松本浩之

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