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平成30年(2018年) 年末調整のポイント

日本情報マート

2018.12.07

 年末調整は、役員・従業員やパート社員(以下「従業員」)の所得税等の税額を確定するための手続きです。毎年行われるものですが、税制改正によって税額計算の方法や手続きの方法が変更されることがあるため、担当者は必ず年末調整に関する改正点の有無と書き方を確認しなければなりません。

 特に平成30年(2018年)年末調整では、配偶者控除の書き方が大きく変わっていることに注意が必要です。年末調整は、「書き方が難しくて面倒だが、払い過ぎた税金が戻ってくるので我慢する」というイメージが強いかもしれません。これは一体どういうことなのか。年末調整の仕組みとともに解説していきます。

1 年末調整のメリット

 会社(個人事業者も含みますが、本稿においては「会社」とします)は、従業員に対して支払う毎月の報酬・給与から、所得税及び復興特別所得税(以下「所得税」)を源泉徴収し、代わりに納税を行っています。そのため、会社勤めの人(給与所得以外の所得がある人など一定の人を除く)は、自分で確定申告・納税をする必要はありません。

 ただし、会社で源泉徴収をした税額の合計額は、保険料控除などの所得控除が反映されていないなどの理由から、従業員等の実際の給与総額に基づいて再計算した所得税の額とは基本的に一致しません。そのため、この不一致を年の最後に精算するのが年末調整です。

 平成30年分の年末調整では、次の変更があります(詳細は後述)。

  • 配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱い(適用対象者と控除額)の変更
  • 「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」がなくなり、それぞれ「保険料控除申告書」と「配偶者控除等申告書」の2枚に分離
  • 保険料控除申告書に添付する証明書の範囲の拡充(生命保険料と地震保険料について、保険会社から郵送される葉書だけではなく、パソコン上の画面を印刷したものでも可能に)

2 年末調整の対象となる従業員

 年末調整の対象となるのは、原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」)を提出している従業員です。扶養控除等申告書は、よく見る年末調整の用紙だと思えばよいでしょう。

 ただし、全員が対象になるわけではありません。年末調整の対象となる人とならない人は次の通りです。

年末調整の対象となる人とならない人を示した画像です

 なお、年末調整の対象となる人に対して年末調整を行わないときは、罰則規定(10年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金)も設けられていますので、必ず実施するようにしましょう。

3 年末調整で受けることができる所得控除

 年末調整における提出書類(申告書)と、それぞれに係る所得控除の種類は次の通りです。

年末調整における提出書類(申告書)と、それぞれに係る所得控除の種類を示した画像です

 なお、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受ける従業員は、「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要です。ただし、住宅ローンの利用を開始した年(住宅ローン控除の適用初年度)については、自分自身で確定申告をしなければなりません。年末調整で住宅ローン控除の処理ができるのは、2年目以降となります。

 また、年末調整で受けられる上記の控除以外の控除(寄附金控除や医療費控除など)の適用を受けたい従業員も確定申告をする必要があります。

 以降では、年末調整において、従業員に配布する提出書類の記載項目と、留意点を紹介します。

4 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)の書き方

1)記載項目

[zoom: 60%;]給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の画像です

1.氏名・個人番号(マイナンバー)・生年月日等

 従業員自身の氏名、個人番号(マイナンバー)、住所又は居所、生年月日、世帯主の氏名と続柄、配偶者の有無を記載します。なお、マイナンバーに関しては記述を省略する会社もあります(その他の提出書類(申告書)に関しても同様。詳細は後述)。

2.源泉控除対象配偶者

 源泉控除対象配偶者の欄には、次の要件を満たした配偶者がいる場合に記載します。そのため、配偶者が次の要件を満たさない場合には、この欄は空欄になります。

  • 従業員(合計所得金額が900万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が1120万円)以下の人に限る)と生計を一にする配偶者であること
  • その配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受ける人及び白色事業専従者でないこと
  • その配偶者の合計所得金額が85万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が150万円)以下であること

3.控除対象扶養親族(16歳以上)

 控除対象扶養親族(16歳以上)の欄には、扶養控除の対象である次の親族がいる場合に記載します。

  • 16歳以上(2004年1月1日以前生まれ)の親族
  • 上記の親族が従業員と生計を一にしていること
  • 上記の親族の年間の合計所得金額が38万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が103万円)以下であること

 なお、19歳以上23歳未満(1997年1月2日から2001年1月1月生まれ)の親族を「特定扶養親族」といい、70歳以上(1950年1月1日以前生まれ)の親族を「老人扶養親族」といいます。それぞれの親族がいる場合には、チェックマークを付す箇所があるため、忘れないようにしましょう。また、同居していない扶養親族がいる場合には、生計を一にする事実として、1年間に実際に送金した金額を記入する欄があります。この欄には見積額ではなく実際の送金額を記入する点に注意しましょう。

4.障害者、寡婦・寡夫又は勤労学生

 障害者、寡婦・寡夫又は勤労学生の欄には、従業員本人が障害者である場合(生計を一にする配偶者や扶養親族が障害者の場合を含む)、寡婦・寡夫である場合や、学校に通いながら働いている場合に記載します。

 障害者とは、身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている人など一定の障害者をいいます。

 寡婦・寡夫とは、年間所得の見積額が500万円以下で、夫・妻と死別または離婚した後に再婚をしていない人などをいいます。

 勤労学生とは、年間所得の見積額が65万円以下(給与所得だけの場合は、給与収入金額が130万円以下)で、大学などの学生や一定の要件を備えた専修学校の生徒などをいいます。ただし、給与所得等以外の所得が10万円を超える人を除きます。

5.他の所得者が控除を受ける扶養親族等

 他の所得者が控除を受ける扶養親族等の欄には、夫婦が共働きの場合など、この申告書を提出する人以外の人が、家族を扶養親族としている場合に記載します。例えば、子供(控除対象親族)がいる共働きの夫婦のうち、夫が扶養控除を受ける場合に、その妻はこの欄に夫と子供の氏名等を記載することになります。

6.16歳未満の扶養親族

 16歳未満の扶養親族の欄には、16歳未満(2004年1月2日以後生まれ)の扶養親族がいる場合に記載します。

2)留意点

 扶養控除等申告書は、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日(中途採用の場合は、就職後最初の給与の支払いを受ける日の前日)までに提出してもらう必要があります。

 実務上は、年末調整の際に配布される申告書は翌年分(平成30年の場合は平成31年分)であることが一般的です。従って、年の中途で扶養親族の状況などに異動があった場合には、その都度、異動申告をしてもらう必要があります。この場合、年末調整の対象となる年分の扶養控除等申告書に訂正となる部分を二重線で消し、余白に新しい情報を記載し、「異動月日及び事由」欄にもその旨を記載します。

 なお、扶養控除の対象となる親族や障害者に該当するかどうかは、年末調整を行う日の現況により判定します。その判定の要素となる合計所得金額は年末調整を行う日の現況により見積もった本年1月1日から12月31日までの合計所得金額を、年齢は原則として本年12月31日時点の年齢を申告書へ記載してもらいます。

 その他、留学などで国外に住んでいる親族を扶養の対象とするような場合には、扶養控除等申告書に親族関係書類と送金関係書類を必ず添付または提示してもらう必要がありますので注意が必要です。

5 配偶者控除等申告書の書き方

1)記載項目

配偶者控除等申告書の画像です

1.あなたの本年中の合計所得金額の見積額

 あなたの本年中の合計所得金額の見積額の欄には、下記3.で計算した合計所得金額の見積額を記入し、判定欄のA・B・Cいずれかを区分Ⅰに転記します。

2.配偶者

 配偶者の欄には、配偶者に関する事項と、下記3.で計算した配偶者の合計所得金額の見積額を記入し、判定欄に1~4のいずれかを区分Ⅱに転記します。

3.合計所得金額の見積額の計算表(従業員本人・配偶者)

 合計所得金額の見積額の計算表の欄では、給与明細書などを参考に2018年中の「給与所得の収入金額等」に記載します。その金額を申告書の裏面に掲載されている「給与所得の金額の計算方法」に当てはめて所得金額を計算します。給与所得以外に所得がある場合には、2018年中の所得金額(見積額)を収入金額・必要経費等・所得金額を記載します。

4.控除額の計算

 上記1.と2.のそれぞれ区分Ⅰ・Ⅱに記載したアルファベットと数字を基に、配偶者控除の額または配偶者特別控除の額を一覧表の中から転記します。

2)留意点

 平成30年分の年末調整より、従業員本人の合計所得金額が1000万円(給与所得だけの場合は、給与収入金額が1220万円以下)を超えるときは、配偶者控除の適用を受けられないこととされました(改正前は従業員本人の所得制限はなし)。また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円(給与所得だけの場合は、給与収入金額が201万円以下)以下とされました(改正前は38万円超76万円未満)。

 また平成30年分から新たに追加された「配偶者控除等申告書」には、従業員本人と配偶者の詳細な所得情報などを記載してもらう必要があります。

 国税庁のウェブサイトでは、この配偶者控除等申告書を正しく記載できるようにエクセル版の申告書があります。記載時の参考にしてみてください。

●国税庁「平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71.htm

6 保険料控除申告書の書き方

保険料控除申告書の画像です

1)記載事項

1.生命保険料控除

 生命保険料控除の欄には、2018年中に支払った一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料に関する事項を記載します。

 それぞれの区分ごとに、保険会社などから郵送される保険料控除証明書の内容を転記していきます。なお、一般の生命保険料と個人年金保険料については、その保険の契約時により、取り扱い(所得控除額)が異なります。2011年12月31日以前に契約したものは旧保険契約として、2012年1月1日以後に契約したものは新保険契約として取り扱われます。

 それぞれ旧保険契約に係る所得控除額は最高5万円、新保険契約に係る所得控除額は最高4万円となります。記載する際には、契約日の日付を確認するようにしましょう。

2.地震保険料控除

 地震保険料控除の欄には、2018年中に支払った地震保険料に関する事項を記載します。地震保険料と一緒に支払いをしている火災保険料は対象になりません。ただし、2006年12月31日以前に契約した長期損害保険契約等については、一定の金額が控除の対象になります。

3.社会保険料控除

 社会保険料控除の欄には、2018年中に支払った従業員本人または従業員本人と生計を一にしている親族分を従業員本人が支払った次の保険料に関する事項を記載します。

  • 国民健康保険の保険料や国民健康保険税
  • 健康保険、厚生年金保険や船員保険の保険料
  • 介護保険法の規定による介護保険の保険料
  • 国民年金の保険料や国民年金基金の加入員として負担する掛金
  • 農業年金の保険料や雇用保険の労働保険料など

4.小規模企業共済等掛金控除

 小規模企業共済等掛金控除の欄には、2018年中に支払った小規模企業共済と確定拠出年金の掛金の額を記載します。なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、この欄の「個人型」に記載することになります。

2)留意点

 実務上は、保険会社から郵送される「保険料控除証明書」に記載されている内容を、申告書に転記してもらうことになります。月払いにより保険料を払い込んでいる場合には、控除証明書の発行日までの保険料の他、年間(12月31日まで)の見積払込保険料が記載されていることが多くあります。12月末まで保険を継続しているのであれば、年間の払込保険料を申告書に転記すれば、問題はありません。

 もし、発行日から12月31日までの間に解約し、実際の年間払込保険料と、保険料控除証明書に記載してある見積払込保険料に相違がある場合は、実際の年間払込保険料を申告するようにしましょう。

 その他、親族の社会保険料を負担しているときにはその支払額の全額が社会保険料控除の対象となるので、記載漏れのないように注意しましょう。

 なお、これらの控除に当たり、控除証明書の添付または提示が必要になるものがいくつかありますので、必ず申告書と一緒に提出してもらうようにしましょう。また、生命保険料控除及び地震保険料控除に関する証明書に、電磁的記録印刷書面によるものが平成30年分から追加されています。

7 住宅借入金等特別控除申告書等の書き方

 住宅ローン控除の適用2年目以降の人は、年末調整の際に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関等が発行する「年末残高等証明書」を会社に提出します。

 なお、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書については、確定申告をした年の10月頃に、税務署から9年分まとめて郵送されます。もし紛失した場合には、税務署に申請し、再交付を受けることができます。

8 年末調整におけるその他の注意点

1)マイナンバーの取り扱い

 提出を受ける申告書には、給与の支払いを受ける人または親族のマイナンバーを記載してもらう箇所があります。給与の支払者は、このマイナンバーについて、給与の支払いを受ける人の本人確認をする必要(番号確認+身元確認)があります。ただし、給与の支払者がマイナンバーに関する事項を記載した帳簿を別途備えているときには、マイナンバーの申告書記載が省略することができます。

2)源泉徴収票の住所等

 年末調整を実施すると、源泉徴収された税額の過不足を精算するとともに、源泉徴収票を発行することになります。源泉徴収票に記載する住所又は居所は、2019年1月1日現在の住所又は居所を記載することになります。ただし、この源泉徴収票と同時に作成される給与支払報告書は、住民税の課税資料として毎年1月末までに、給与の支払いを受ける人の住民票がある市区町村に送る必要があります。よって、給与支払報告の作業も考慮すると、居所地ではなく住所地(住民票のあるところ)を記載してもらうよう従業員に通知しておきましょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年12月7日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:日本情報マート
監修:税理士 石田和也

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