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決算対策で確認したい福利厚生費・交際費・役員社宅

日本情報マート

2019.03.13

 会社を起業して数年が経過し資金繰りに余裕が出てくると、今度は税金対策という新たな課題に直面することになります。

 税金対策は費用をいかに増やし、利益を減らすかという考え方が必要になります。ただし、費用なら何でもいいわけではありません。なぜなら、世間一般的に費用といわれている会計上の費用と、税務上の費用(以下「損金」)は完全に一致しないからです。そのため、税金対策として有効な損金にはどのようなものがあるのかを知る必要があります。

 ここでは、福利厚生費・交際費・役員社宅を取り上げ、税務上の取り扱いや留意点を紹介します。これらの損金は活用の仕方によっては、法人税の負担を減らすだけでなく社員のやる気向上に繋げることができるため、経営者としても積極的に取り組める税金対策となっています。

1 福利厚生費で税金対策

 福利厚生費は、基本的に全額損金に算入することができます。福利厚生費とは、「役員・従業員の福利厚生を目的として、給料・交際費以外の間接的給付を行うための費用科目」とされています。従業員にとっても、福利厚生を目的として支給されたものについては、通常の給与とは違い所得税の課税対象外となるため、嬉しい制度といえます。

 実際に、福利厚生費として認められる基本的な条件とは、次の3つです。

  • 会社の全従業員(役員を含む。以下「従業員等」)を対象とするものであること
  • 支出する金額がおおむね一律で費用が社会通念上(常識的に)高額ではなく、通常要する費用として一般的な範囲内であること
  • 現金支給ではないこと

 上記に加え、実務上では、社内規定の整備も非常に重要になります。社内規定を整備する際には、福利厚生費の項目ごとにしっかりと金額を明示するようにしましょう。例えば、弔慰金については、従業員等の役職や、対象者と従業員等の関係ごとに金額を設定するなど、詳細に規定を作成する必要があります。

 また、一部の役員・従業員のみを対象としている場合、支給された人への給与と判断されてしまい、源泉所得税の対象となってしまう場合があります。さらに、役員である場合には法人税法上の役員報酬の取り扱いにも注意が必要です。法人税法上の役員報酬の取り扱いについては、「決算対策で確認したい役員報酬・給与」を参照ください。

 「社会通念上適当と思われる金額である」という要件は常識の範囲内であるか、税務調査をする調査官に説明できるかどうか、といったところが基準となってきます。

 社員旅行を例に、福利厚生費として計上できる場合をみてみましょう。

 社員旅行の場合、旅行の日程が4泊5日以内であり、その職場全体の50%以上が参加していることが目安になります。この条件を満たした場合、その旅行に要した費用は給与ではなく、福利厚生費となります。

 しかし、これらの条件を満たしている場合でも、個人の都合で旅行に参加しない選択をした従業員に対して金銭を支給したときには、参加・不参加にかかわらず全員に同額の給与を支給したものとして扱われ、源泉所得税の課税対象となってしまいます。

 また、役員のみが参加する旅行や、取引先に対する接待を目的とした旅行については、従業員のレクリエーション旅行としては扱われず、交際費などとして処理する必要があります。

 さらに、過度に豪華な旅行も、社会通念上福利厚生費と認められない場合がありますので要注意です。

 なお、過度に豪華な旅行に該当するかどうかは、金額が明確に定められているわけではないため、一概にはいえませんが、「1人当たり10万円まで」が1つの目安となります。

2 交際費で税金対策

 交際費は原則損金に算入できませんが、中小企業については2014年4月1日以降から、年間800万円まで損金に算入できるようになりました。交際費とは、主に得意先を接待するためにかかる飲食代やお歳暮・お中元などのことですから、中小企業(資本金または出資金が1億円以下の企業など)であれば交際費だけで年間800万円を超えることはないかもしれません。

 とはいえ、このように損金に算入できる金額に上限があるため、税務上はなるべく交際費に該当しないほうが有利です。そこで日ごろから留意すべきなのが5000円ルールです。これは、1人当たり5000円以下の飲食費用は、税金計算上「交際費」として扱われない(対社外の接待に限る)という税務ルールです。この5000円ルールに該当するためには、次の点を明記した領収書等の書類を保管しておく必要があります。

  • その飲食等のあった年月日
  • その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称及びその関係
  • その飲食等に参加した者の数
  • その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
  • その他参考となるべき事項

 交際費は税務調査の際にもチェックされやすい項目であり、領収書等の保存状態などによっては、本来払わなくてよかった税金を課される可能性もあります。決算直前に節税対策として、交際費は有効な手段です。日ごろから交際費計上の要件などをよく理解し、上手につきあっていくことが必要になります。

3 役員社宅で税金対策

 役員が居住用に借りている自宅を社宅化して法人税の負担を減らすことができるのはご存知でしょうか。自宅を社宅化することによる税務上のメリットは大きく、一般的には社宅家賃の5割程度が損金に算入できるといわれます。

 居住用に借りている役員の自宅の家賃は、通常、役員個人で賃貸借契約をしていることから、損金に算入できません。しかし、その役員の自宅を会社が賃貸借契約することで、会社が借りた住居を社宅として役員に貸し付けるかたちとなり、その結果、会社が支払う家賃と役員から受け取る家賃の差額を損金に算入できるようになります。

役員社宅の仕組みを示した画像です

 ただし、役員の家賃負担額には一定の基準があります。役員は、国税庁が定めた「一定額の家賃」以上の額を会社に支払うことで、税務署に社宅であると認めてもらえます。この定められた額より少ないと、上記の損金に算入できる部分は役員報酬とみなされ、課税対象になるため、注意が必要です。

 国税庁は役員に貸与する社宅について、次の通り規定しています。

「役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1カ月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、役員報酬として課税されません。賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められないいわゆる豪華社宅である場合は、次の算式の適用はなく、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になります。」(国税庁HPより)

 具体的には、役員が支払う家賃については、床面積などから次の3つの住宅に区別して計算されることになっています。

1)小規模な住宅

 建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99平方メートル以下、30年以下の場合には132平方メートル以下の住宅のことを小規模な住宅といいます。次の1.~3.の合計額が、役員が支払う家賃になります。

  • (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  • 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
  • (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

2)小規模以外の住宅

 小規模な住宅に該当しない場合、次の2種類に分けて役員の家賃を計算します。

1.自社所有の社宅の場合

 次のa.とb.の合計額の12分の1

a.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
b.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

2.他から借りた住宅を社宅にする場合

 会社が支払う家賃の50%の金額と(1)で算出した金額の、いずれか多い金額

3)豪華社宅

 豪華社宅は家賃の全額が役員の負担となるので、役員社宅の税金対策効果はなくなります。豪華社宅に該当するかどうかは、床面積が240平方メートルを超える場合で、かつ物件価格・家賃・内装や外装の設備の状況などを考慮した総合的判断となります。ただし、プールなど、役員の個人的な嗜好が反映されている設備があると、床面積が240平方メートル以下であっても、豪華社宅とみなされることがあります。

 なお、家賃負担額以外にも、家賃以外の光熱費、駐車場代などは、役員本人の負担となり、もし会社が負担すると役員報酬として課税対象になるなどの点にも配慮が必要です。

 留意点も多少ありますが、居住用の自宅を社宅化することにより、役員の報酬を減額すれば、会社が負担する社会保険料を抑えることができ、また、役員個人としての家賃負担が軽減されるので、結果として手取り額が増えるのと同じ効果を得られるというメリットがあります。法人契約の役員社宅を一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。

4 税金対策をする上での留意点

 決算直前であっても、社員旅行や交際費などの損金を生じさせて、利益を圧縮することは可能です。ただし、これらは、基本的にはキャッシュアウトを伴います。税金を支払うのを避けるために、あわてて不要な支出をしてしまっては本末転倒です。月次決算、四半期決算などで会社の経営状態を随時把握し、早期の決算対策をとることが不可欠となります。その上で、資金繰りを十分検討し、社員のモチベーションも維持できる対策をとるようにしましょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年3月13日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:南青山税理士法人

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