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営業活動に係る交通費や食事代は損金に算入できるか?

日本情報マート

2019.03.26

 営業活動には、さまざまな費用がかかります。例えば、取引先に訪問する際には旅費交通費、試供品などを提供する場合には販売促進費、取引先との接待には交際費などがかかります。これらの費用は会計上、販売費及び一般管理費(以下「販管費」)と呼ばれ、一部の費用を除き、基本的には損金(税務上の費用)に算入することができます。

 ただし、営業活動の範囲に関する解釈は人それぞれであり、明確な定義もありません。そのため、どのような背景で、いつ生じた支出なのかなどによって、損金に算入できるものと、できないものとの判断が変わってきます

 また、営業活動に係る費用は交際費として処理すべき支出なのかどうか迷いやすい項目が多くあります。税務上、交際費は損金に算入できる金額に限度があるため、処理する際には明確に区別するようにしましょう。

 この記事では、営業担当者の日々の活動で発生することが多い費用について、損金算入に関する基本的なルールを紹介していきます。

1 販管費(営業活動に係る)の基本的な税務上の取り扱い

 販管費とは、旅費交通費・広告宣伝費・販売促進費・人件費など営業(販売)業務に係る費用と、事務所家賃・水道光熱費など管理業務に係る費用の総称です。税務上、販管費は次の要件を満たした場合において、損金に算入できます

販管費の損金算入要件と判断フローを示した画像です

 例えば、3月末決算の企業において、20X1年3月に発生した旅費交通費(出張費用)を例に上記の要件に当てはめてみましょう。

 出張のために予約した航空券の対価として、航空会社に料金を支払わなければなりません(債務が成立)。その後、飛行機に搭乗したことにより、輸送というサービスを受けます(支払い原因となる事実の発生)。かつ、その料金は航空会社が提示する合理的な金額です(金額の合理的な算定)。

 注意が必要なのは、期ズレの問題です。例えば、上記の出張が4月中の場合、3月中に航空券を購入したとしても、その費用は20X1年3月期の損金には算入できません。なぜなら、支払い原因となる事実(この場合は、出張先に向かうための飛行機に搭乗)が発生していないからです。この場合の支出については旅費交通費(費用)ではなく、前払費用(資産)に計上します。期ズレは、決算日をはさんで生じるものです。決算月と決算月の翌月(3月末決算の場合は、3月と4月)の取引については、慎重に処理するようにしましょう。

2 交際費と迷いやすい主な項目

 多くの販管費は上記の要件をもって、その事業年度の損金に算入する支出かどうかを判断します。しかし、一部の販管費には、上記の要件とは別に税務上の規定が設けられています。

 例えば、主なものに交際費があります。交際費については、損金に算入できる金額には限度額が設けられています。そのため、本来、税務上の交際費に該当しない項目を交際費勘定として処理し、そのまま勘定科目の修正をせずに、交際費の合計額が限度額を超えた場合には、その超えた部分の金額は損金に算入できません。

 この場合、正確な科目(福利厚生費など)で処理をしていれば、本来支払う必要のない納税をすることになってしまいます。正確に確定申告を行う上でも、正確な勘定科目で処理するようにしましょう。なお、他の勘定科目に含まれている税務上の交際費に該当するものがあれば、その費用については、もちろん税務上の交際費として処理する必要があります。

 混乱しやすい交際費と福利厚生費・会議費の取り扱いについては、「どのような交際費・会議費なら損金として認められやすいのか?」を参照ください。

1)広告宣伝費

 広告宣伝費は商品やサービスの宣伝効果を期待して、不特定多数の一般消費者に対して行われる支出です。広告の掲載料や試供品代以外にも、キャンペーン賞品などで提供される旅行・観劇への招待費用、アンケートなどの謝礼なども含まれます。

 しかし、同じ内容の支出であっても、特定の得意先を対象にしたものは、広告宣伝費ではなく交際費として処理しなければなりません。特に、業界関係の専門家や専門業者は不特定多数の一般消費者ではなく、特定の得意先等に該当するので注意しましょう。例えば、医薬品業者が医師や病院を対象にする場合や、化粧品業者が美容・理容業者を対象にする場合などが、このケースに該当します。

2)販売関連費

 得意先を自社の商品を陳列する展示会などに招待する場合などに、その交通費や昼食代、宿泊費を負担することがあります。このように、将来の販売につなげるための支出のうち、次の支出(上記の支出も含む)については、交際費に該当せず、販売関連費などとして取り扱われます。

  • 自社製品の詳細を説明するために、得意先などに自社の製造工場などを見学させる場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用
  • 不動産販売業者が、土地の販売に当たり一般の顧客を現地に案内する場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用
  • 旅行あっせん業者が、団体旅行のあっせんをするに当たって、旅行やスケジュールを決めるために、事前にその団体の責任者を旅行予定地に案内する場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用

 ただし、展示会の招待などと併せて飲み会を行った場合は、交際費として処理をしなければなりません。

3)情報提供料

 情報提供や、取引の仲介・あっせんなどのサービス(以下「情報提供等」)を本業としていない事業者に対して、情報提供等の対価として金品を交付する場合があります。例えば、情報提供等のサービスを行っていない得意先から新しい顧客を紹介してもらった際に、謝礼として金品を贈るケースなどです。

 次の要件を満たしている場合には、この支出は交際費に該当せず、情報提供料などの勘定科目で処理します。

  • その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
  • 提供を受けるサービス内容が契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際にサービスを受けていること
  • その交付した金品の価額が、その提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること

3 その他注意が必要な営業活動に関する費用

1)交通反則金

 営業に社用車を頻繁に使う企業においては、駐車違反などの交通違反による罰金(以下「交通反則金」)が生じることがあります。交通反則金は、会計上は租税公課などの費用科目で処理されますが、税務上は損金に算入できません。法律違反による罰金が税金の負担を減少させる要因にはならないよう取り扱いが決められています。

2)海外視察などに係る渡航費(一部観光した場合にも言及)

 海外取引先の新規開拓や、現地支社の設置などの事前準備として、海外視察を行うことがあります。基本的に、海外視察に要した航空費や宿泊費などは全て損金に算入できます。

 ただし、金額が高額すぎると見なされた場合は、その部分は役員であれば役員報酬に、従業員であれば従業員給与として取り扱われます。損金に算入できる役員報酬は定期同額給与など一定の方法で支給されたものに限られます。そのため、金額が高額すぎると見なされた場合など想定外のものについては、基本的に損金に算入できない役員報酬に該当します。

 また、従業員給与の場合は、損金に算入はできるものの、従業員本人に対して所得税が課されます。高額すぎるかどうかの明確な基準はありませんが、通常の出張に比べて豪華すぎたり、業務上必要性の低いオプションなどを付けたりしないようにしましょう。

 この他注意が必要なのが、視察と併せて、一部観光や個人的なゴルフなど業務以外の日程を組み入れた場合です。この場合の海外視察に要した支出は、業務に関連する部分と関連しない部分に期間ベースで按分します。業務に関連する部分は旅費交通費として損金に算入できますが、業務に関連しない部分は、役員報酬または従業員給与として取り扱われます。

 なお、役員報酬の取り扱いについては、「役員報酬を損金に算入するための基本的なルール」を参照ください。

4 使途が明らかでない費用には要注意

 何のために支出をしたのか明らかにされていないものは、税務上「使途秘匿金」と呼ばれます。具体的には、相当の理由がなく、その相手方の氏名・名称・住所・支出の理由などが帳簿書類に記載のない支出をいいます(資産やサービスの購入対価として明らかであると税務署が認めた場合など、一定の要件を満たしたものは除く)。

 使途秘匿金は、損金に算入できないだけでなく、別途その支出額自体に40%の法人税が課されます。例えば、50万円の使途秘匿金があった場合、その50万円は損金に算入できない(=所得から減額できない)上、20万円(50万円×40%)の法人税が課されます。

 なお、通常の法人税が、黒字(所得がプラス)の企業にのみ課されるのに対し、この使途秘匿金に関する法人税は、赤字(所得がマイナス)の企業に対しても課されます。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年3月26日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート
監修:税理士法人コレド会計 税理士 石田和也

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