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「iDeCo+(イデコプラス)」を使った福利厚生の充実と人材確保

日本情報マート

2019.06.24

 「人生100年時代」。中小企業の経営者としても、退職金制度を含め「従業員の老後」について真剣に考えるべき時代となりました。別の視点では、人材不足やリテンション(離職防止)を解決するために、福利厚生の充実を検討しなければなりません。

 大企業のような充実した福利厚生を整備することは、コストや手間の問題で難しいものですが、「iDeCo+(イデコプラス。中小事業主掛金納付制度の愛称)」を導入することで、こうした課題の解決が期待できます。

 iDeCo+では、企業の負担をコントロールしながら従業員の老後の資産形成をサポートすることができます。また、iDeCo+はポータビリティーが確保されており“大転職時代”に合った制度なので、中途採用が多い中小企業に向いています。

 この記事では、iDeCo+の概要、中小企業が導入した場合のメリットや注意点を分かりやすくまとめていますので、ぜひ、ご一読ください。

1 iDeCo+(イデコプラス)とは

 iDeCo+は、2018年5月に始まった制度で、正式名称は「中小事業主掛金納付制度」といいます。仕組みはシンプルで、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入している従業員の掛金に、企業が掛金を上乗せできる制度です。

iDeCo+(イデコプラス)のイメージを示した画像です

 確定拠出年金には、企業型と個人型(iDeCo)とがあります。企業型の場合、各企業が運営管理機関(金融機関)を決めて制度を導入します。掛金を拠出(積み立て)するのは企業で、運用するのは従業員となります。

 一方、iDeCoは、個人が自分でお金を拠出して運用する制度です。あくまで個人が自身の老後資金を形成する“個人が主役”の制度であるため、ここに企業が直接関わることは今までありませんでした。もしここに企業が掛金を上乗せすることができたら、企業は手軽に福利厚生を充実させられますし、従業員も掛金が増えて(負担が減って)うれしいものです。

 これを実現したのがiDeCo+です。

 なお、主体はあくまでも従業員のiDeCoなので、運営管理手数料などのコストは従業員の負担となります。また、上乗せした事業主掛金の運用も従業員が行い、最終的な給付額まで企業が責任を負うことはありません

2 iDeCo+(イデコプラス)を導入できる企業と従業員

 iDeCo+を導入できるのは、次の要件を全て満たす企業です。企業規模が小さく、しかも他の企業年金を実施していないことが要件となっていることが分かります。

  • 従業員(使用する第1号厚生年金被保険者。公務員や教員は対象外)が100人以下であること
  • 企業型の確定拠出年金を実施していないこと
  • 確定給付企業年金を実施していないこと
  • 厚生年金基金を実施していないこと
  • 従業員の過半数で組織する労働組合があるときは労働組合、ないときは従業員の過半数を代表する者に、制度の実施について同意を得ること

 また、iDeCo+の対象となるのは、iDeCoに加入している全ての従業員とするのが基本ですが、職種や勤続期間などによって個別に定めることもできます。具体的には次のような運用が可能です。

職種や勤続期間などに応じた対象者の選別イメージを示した画像です

 iDeCo+と比較されることが多い中小企業退職金共済は全従業員が対象であることを考えれば、柔軟性が高いことが分かります。また、iDeCo+は経営者や他の役員も対象にできることも大きな特徴です。

3 中小企業がiDeCo+(イデコプラス)を導入するメリット

 中小企業にも退職金制度は浸透していますが、多くは長期雇用を前提とした制度で、「中小企業退職金共済」や「養老保険」によって支払い原資を準備するものです。しかし、“大転職時代”の現在、長期雇用を前提とする制度は、企業と従業員の双方にとって必ずしも魅力的ではなくなってきました。

 実際、中小企業で多く導入されている退職金制度の導入率は低下傾向にあります(東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」)。

退職金制度の導入率の推移と退職金制度の種類を示した画像です

 前述した通り、iDeCo+はポータビリティーが確保されています。最近は大企業を離職し、中小企業に転職する人が少なくありません。大企業でiDeCoに加入していた人にとって、転職先の中小企業にiDeCo+があることは魅力的でしょう。また、新卒採用の場合も、学生などの求職者が就職先の福利厚生を重視する傾向が高まっているため、iDeCo+を導入すれば、ある程度、求職者のニーズに応えることができるでしょう。

 企業の負担の面でもiDeCo+には柔軟性があります。中小企業が拠出する「事業主掛金」の額は、従業員の掛金と合計して1カ月当たり5000円以上2万3000円以下になるように、1000円単位で決定します。

 事業主掛金は、基本的には対象者全員が同額となるように決定しますが、職種や勤続年数などによって事業主掛金に差をつけることができます。しかも、事業主掛金は全額を損金に算入できます。

 注意点としては、職種や勤続年数などによって掛金に差をつけた場合でも、例えば同一職種の従業員については、事業主掛金を同額にしなければなりません。また、従業員の掛金を0円とし、全額を事業主掛金とすることはできません。

 厚生労働省「平成28年就労条件総合調査」によると、退職金制度に関する企業の負担は、月額1万8834円となります。

常用労働者1人1カ月平均退職給付等の費用を示した画像です

 iDeCo+については、現状、掛金に関する統計が存在しないため、他の退職金制度と一概に比較することはできません。しかし、事業主掛金は1000円単位で調整できるため、企業の状況に応じた柔軟性のある拠出が可能となります。

 ここまで内容を踏まえると、中小企業がiDeCo+を導入するメリットは、次のようにまとめることができます。

【企業のメリット】

  • 企業型の確定拠出年金などに比べて、比較的手軽に導入できる
  • 企業のステージに応じて事業主掛金を設定できる。労使合意によって変更も可能
  • 全従業員を対象にしなくてもよい
  • 運営管理手数料などは従業員の負担となる
  • 最終的な給付額まで責任を負うことはない
  • 事業主掛金は、全額を損金算入できる
  • 人材の採用・定着につながる

4 経営者の思いに応える

 2019年4月時点で、iDeCo+を実施している事業主数は415社、加入者数は3004人となっています。単純に1事業主の加入者数を計算すると7~8人となるため、比較的小規模な企業であっても導入をしていると想像できます。

 iDeCo+を実施する中小企業が増えているのは、中小企業が実施しやすい制度であるからでしょう。多くの経営者は、「月に数千円であっても、頑張ってくれている従業員のために福利厚生制度を整えたい」と考えています。

 そうした制度は、企業のステージ(どれだけ費用を拠出できる余裕があるか)や、従業員の働きなどによって適正な差をつけることができ、なおかつ費用が損金算入できるのが理想的です。iDeCo+は、こうした経営者の思いに応えられる制度といえます。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年6月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート

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