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付加価値の計算方法と変動損益計算書を使った管理

日本情報マート

2019.10.03

 付加価値とは、「企業が生産・サービス活動によって新たに生み出した価値」です。付加価値は企業の実力であり、他社と差別化を図る上での基本です。また、付加価値を向上させるのは企業の工夫であり、設備投資や人材教育の方向性を示唆します。

 このように、付加価値は企業経営において非常に重要です。まずは、自社がいくらの付加価値を生み出しているのかを計算することから始めましょう。付加価値の計算方法や日々のコントロールの手法を紹介していきます。

1 付加価値の計算方法は「積上法(加算法)」と「控除法」

 付加価値の計算方法は、積上法(加算法)控除法とに大別されます。

 積上法とは、自社が生み出した価値を加算する方法です。価値としては、人件費や賃貸料などが該当します。

 一方、控除法とは、自社の売上高から他社の価値を控除する方法です。他社の価値としては、原材料費や外注加工費などが該当します。

 具体的な付加価値の計算方法として確立されているものに、日銀方式や中小企業庁方式などがあります。日銀方式は積上法、中小企業庁方式は控除法です。

  • 日銀方式:経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課
  • 中小企業庁方式:売上高-外部購入価値(材料費、買入部品費、外注加工費など)

 いずれの方法で計算しても問題ありませんが、まずは自社の生み出している付加価値を計算してみるようにしましょう。

2 付加価値を管理するために役立つ変動損益計算書

 先の日銀方式と中小企業庁方式を見ると分かるように、基本的に付加価値は「損益計算書(PL)」の勘定科目から求めることができますが、少し工夫して「変動損益計算書」を用いると、より分かりやすくなります。

 変動損益計算書とは、費用を変動費と固定費に分けて作成する損益計算書であり、いわゆる「管理会計(経営者が会社の状態を知って意思決定するための会計)」を利用します。損益計算書と変動損益計算書の違いは次の通りです。

損益計算書と変動損益計算書の違いを示した画像です

 変動費と固定費の例は次のようになります。

  • 変動費:売上高の増減に比例して変動する費用。材料費・外注加工費・運送費など
  • 固定費:売上高の増減に関係なく発生する費用。人件費、減価償却費など

 変動損益計算書のイメージは次の通りです。

変動損益計算書のイメージを示した画像です

 企業によって状況は違いますが、一般的には変動費の大部分は外部購入価値となるため、「限界利益」(売上高-変動費)と付加価値は近いレベルになるでしょう。

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3 変動損益計算書を使った付加価値の管理の基本

 自社の付加価値を計算したら、同業種・同規模の他社と比較してみましょう。付加価値は企業の実力であり、自社の競争力を客観的に把握することができます。例えば、中小企業庁「中小企業基本実態調査」が参考になります。中小企業(法人企業)の1企業当たりの付加価値額と、付加価値比率を見てみましょう。

 なお、ここでは付加価値額は次の算式で計算しています。

付加価値額=労務費+売上原価の減価償却費+人件費+地代家賃+販売費及び一般管理費の減価償却費+従業員教育費+租税公課+支払利息・割引料+経常利益

付加価値額と付加価値比率のイメージを示した画像です

 付加価値は、業種やビジネスモデルによって異なります。例えば、自社で製品を製造する製造業は、付加価値比率(売上高に占める付加価値額の割合)は高くなりますが、製品を仕入れて販売する小売業は付加価値比率が低くなります。

 こうした特徴を踏まえつつ、同業種・同規模の他社の付加価値と比較したり、自社の過去3年分の付加価値の推移を確認したりしてみましょう。業種やビジネスモデルで一定の制約はあるものの、差が出ているのは各社の工夫の成果です。

 付加価値の向上を図るための基本的な考え方は、販売に注力するなどして売上を増やすことと、材料費や外注加工費などのコストを減らすことですが、単に固定費の割合(≒限界利益率)を高めればよいわけではありません

 固定費の多くは「付加価値の源泉」です。例えば、人件費は製造や販売を行う人に対する費用ですし、減価償却費は生産・販売活動などを支える設備への投資の結果であり、いずれも簡単に削減することはできません。

 そこでお勧めなのは、固定費の内容を分析して、「重要管理費用」と「削減対象費用」とに分類してみることです。そのイメージは次の通りです。

限界利益(≒付加価値)の分類例のイメージを示した画像です

 「重要管理費用」は、付加価値の源泉であり、事業の維持・成長に向けて適切に管理すべきものです。一方、「削減対象費用」は、基本的には付加価値を生み出さない費用であり、削減を図るべきものです。このように費用を分類することで、適切な固定費の管理を行うことができます。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年10月3日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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