
貸借対照表を分析できるようになろう/起業3年目までにマスターした...
2020.11.06
Copyright (c) Resona Bank, Limited All Rights Reserved.
人事・総務部門の担当者がもっとも接する士業は、税理士と社会保険労務士(社労士)ではないでしょうか。たとえば、年末調整は税務にかかわるため、本来なら税理士が担うべき職務です。
しかし、2016年ごろまではは社会保険労務士が請け負っていたこともあり、それぞれの職域は重なり合っている部分もあります。ここでは、税理士と社会保険労務士、それぞれの職務領域について確認していきましょう。
税理士は、国家試験をパスした人のみが就ける専門職です。顧客の依頼に応じて税務書類を作成するほか、税務上の指導や助言を行う職業です。税理士が担当する業務には、以下のようなものがあります。
これらの業務は、税理士にのみ認められた独占業務です。また、税務に付随する、財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行など、その他の財務業務も請負います。
一方、社会保険労務士も国家試験をパスした人のみが就ける専門職です。労働関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行や、企業を経営する上での労務管理や社会保険に関する相談・指導をします。
人事・労務管理のエキスパートとして、以下のような業務を担います。
これらの業務は、社会保険労務士にのみ認められた独占業務です。このほか、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成や、人事・労務管理に関するコンサルティング業務なども行います。就業規則や賃金体系など規則の作成、給与計算などを請け負うこともあります。
それでは、最初に触れた年末調整は社会保険労務士の業務でしょうか。実は、2002(平成14)年頃から、税理士と社会保険労務士の間で「年末調整業務は税理士業務か、社労士業務か」をめぐり紛争がありました。
そこで、全国社会保険労務士会連合会(社労士連)と日本税理士会連合会(税理士会)が複数回の会合をかさねた結果、2016(平成28)年に「社会保険労務士が年末調整事務を行うことは、税理士法第52条(税理士業務の制限)に抵触する」との認識で合意がなされました。
現在は、年末調整に必要な「源泉徴収票」や「法定証書」の作成は税理士の業務であり、社会保険労務士が代行することはできません。一方で、年末調整に必要な給与額や社会保険料の確定などに関しては、社会保険労務士に依頼しても法律違反ではない、ということになっています。
ユーザーである企業側としては、年末のただでさえ忙しい時期、ワンストップですべての業務を依頼できるのが一番よいかもしれません。しかしこれは、税理士と社会保険労務士の「業際問題」であり、法律にも関わることなので、致し方ないということのようです。
税理士か社会保険労務士、どちらに頼むか迷う業務のひとつに、給与計算のアウトソーシングがあります。多くの税理士事務所、社労士事務所が給与計算業務を請け負っています。どちらに頼むかについては、会社の規模で考えましょう。
10人以下の小規模な企業であっても、顧問の税理士を依頼している場合がほとんどです。こうした企業では、毎月の税務サービスの一環として、無料もしくは低価格の追加料金で給与計算も請け負ってもらえる可能性が高くなります。労働保険・社会保険の手続きに関しても、この規模の会社であればそれほど複雑ではありません。
一方、十数人~数百人の規模の企業の場合、従業員の入退社が増え、育児休暇などの取得をする社員などもでてきます。勤務体系によって、残業代や社会保険料の計算などがだんだん複雑になってきます。さらに規模が大きくなれば様々な手続きが発生するので、給与計算も合わせて、人事・労務の専門家である社労士に依頼するのがよいでしょう。
数百人規模以上の大企業になると、税理士事務所や社労士事務所では手に負える業務範囲ではなくなってきます。この場合は、独自の給与計算システムの構築も視野に入れて、給与計算業務(ペイロール)のアウトソーシングを専門的に請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスに依頼すべきです。
ただ、BPO業者の中には、専門知識のない素人を大量に動員して業務にあたらせているような場合もあるので、アウトソースする前には、スタッフの実務能力や品質を十分見極める必要があります。
税理士や社会保険労務士などの専門家に依頼する目的は、専門知識による知見を得ることに加え、第三者的な視点から、会社経営をよりよくするためのアドバイスをもらうことです。
毎月顧問料を支払うことになるのですから、それぞれの職務領域をきちんと把握し、ベストな相手にきちんと依頼していきたいものです。
RECOMMENDATION
貸借対照表を分析できるようになろう/起業3年目までにマスターした...
2020.11.06
【再監修】固定資産の評価損を損金に算入できるケースとは?
2021.12.02
第三の金融、クラウドファンディングを活用してコロナ危機を乗り切ろ...
2020.06.25
即日の資金調達ができるかもしれないファクタリング。どういう会社を...
2020.05.21
事業計画書と予測財務諸表の作成
2019.09.24