
第28回 ベイシス株式会社 代表取締役社長 吉村公孝氏/森若幸次...
2023.01.11
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シリーズ第1回「人付き合いが苦手な社長でも人脈は構築できる」では、良い交流会などの見つけ方や自己紹介のポイントを紹介しました。今回は、つながりを、より太く、長くしていくための取り組みを紹介していきます。
人との関わりは、一対一の場合もあれば、一対多の場合もあります。直接多くの人とつながるのが理想ですが、人数が多過ぎると関係が浅くなってしまいます。であるならば、特定の相手と深く付き合い、その相手が構築している人脈を紹介してもらうほうが効率的な場合もあります。
問題は一対一の関係をどのように深めていくかです。例えば、最初は数十人規模だったグループのメンバーが次第に抜けていき、最終的に数人が残ることがあります。このようなケースでは、最後に残る数人の関係はとても深いので、ぜひとも加わりたいところです。
グループの中で生き残るために、集まりには積極的に参加し、飲み会の幹事を引き受けるなどグループに貢献することが大事です。そのグループが魅力的であれば、再びメンバーが増えていくこともあります。そのときコアのメンバーになっていれば、新しく入ってくるメンバーのほうから近づいてくるため、関係を築きやすくなります。
自分よりも高いレベルの人が参加するグループに属する場合、周囲の迫力に圧倒されたり、自分の無知を思い知らされたりして、何も発言できなくなってしまうことがあります。「こんなことを言ったらバカにされてしまう……」と気後れするからです。こうなると、ただ笑顔でうなずくことしかできなくなりますが、それでは存在感がなく、いてもいなくても変わらない“幽霊メンバー”になってしまいます。
相手から見ると、“幽霊メンバー”は「付き合う価値のない人」であり、そうなってしまったら終わりです。ですから、分からないことは素直に分からないと認め、教えを請うほうがよいでしょう。たとえ笑われたとしても、“幽霊メンバー”になるよりはいいのです。
教えを請う際、相手にお薦めの本を紹介してもらうのが1つのテクニックです。「私はその分野の知識がないので勉強したいです。何かお薦めの本はありますか?」と尋ねると、大抵は何かの本を紹介してくれます。紹介されたら、次に会うまでに必ずその本を読み、感想や質問を準備しておきます。学ぶ姿勢が相手に伝われば、「見込みがあるな」ということで、次も声を掛けてもらえる可能性が高くなります。
良い人脈を求めるということは、ある意味で自分よりも高いレベルの人と付き合うということです。ビジネスに対する考え方だけではなく、食事、洋服、趣味など一つ一つが今の自分とは違うことでしょう。身の丈に合った立ち居振る舞いは必要ですが、一方で積極的に背伸びをして一流の世界を体験してみましょう。そうして自分の視野を広げることは、そのグループの中で生き残り、またさらに上のグループに行くために必要なことです。
具体的には、銀座のクラブや赤坂の老舗料亭に行ってみるのもよいかもしれません。料金からして高額ですが、ふと周囲を見渡すとビジネス誌で見たことがある有名な社長が食事をしていたりして、異空間にいる感覚になります。一流と呼ばれる人たちの“生態”を知るには、同じ店に行ってみることが、誰にでもできる手っ取り早い方法です。
ビジネスはギブ・アンド・テイクであり、損得勘定もあります。ただし、人脈構築については、こちらからテイクばかりを求めていては関係が続きません。飲み会の幹事を引き受けたり、勉強会を主催したりして、積極的に相手に喜んでもらえることをしましょう。分かりやすい貢献の仕方は人の紹介です。人と人とを結び付けることでパイプはますます太くなり、線だったつながりが面になり、交流範囲が広くなっていきます。
では、いつ人脈を使うのかということですが、そもそも人脈はつながっているだけで大きな効果があります。つながっている人たちとのちょっとした会話の中で収集できる情報は、新聞やインターネットとは違って生の情報だからです。
社長ともなれば新聞などの情報は一通り知っているので、その域を出ない情報には魅力を感じません。「新聞にはあのように書いてあったが、○○省の知り合いによると……」「あの会社は最近目立っているが、財務状態は……」といった情報にこそ魅力があります。食事会などで会わなくても、場合によっては電話一本でこうした生の情報を得られることが、人脈づくりの大きな効果です。
そうした意味では、相手もこちらに情報を求めているため、多方面にアンテナを張って情報を仕入れる努力をしなければなりません。人脈としてつながっている人は、皆、少なからずこうした意識を持っています。そのため、皆が献身的であり、良い関係が続きやすくなるのです。
相手から良い情報をもらう、人を紹介してもらう、ごちそうしてもらうなど借りをつくったら、必ず返さなければなりません。「1つ借りたら、1つ返す」のが基本で、1つの大きさは気にしません。
例えば、ちょっとした食事をごちそうしてもらった代わりに、その人がかねてから会いたいと言っていた著名人を紹介することもあれば、そこそこの商いをあっせんしてくれたお礼にお菓子を贈ることもあります。貸し借りの内容がアンバランスなことがありますが、必ずなんらかのお返しをすることが大事です。
また、お礼の仕方はさまざまですが、手紙は相手の印象に残りやすい効果的な方法です。達筆でなくてもよいので、丁寧に書くことでこちらの誠意が相手に伝わります。手書きが基本ですが、そうした時間が取れない場合、少なくとも名前だけは手書きにするようにしましょう。
大切な人脈とはいえ、常に連絡を取り合っているわけではありません。放っておくと疎遠になってしまう相手もいるため、関係の維持を心掛けなければなりません。Facebookで友達になったり、メールマガジンを送ったりすることで緩くつながることができますが、これだけでは不十分なので、できれば年1回は会っておきたいものです。
こうしていると、頻繁に連絡する人とそうでない人が出てきます。大きな偏りが出ないように、スケジューラーなどに連絡を取った履歴と、今後の予定を登録しておきましょう。これは、対面で話す場合に限りません。電話やメールでも、相手とやりとりした内容をきちんと覚えておくことが大事です。
そして、次に会うのは数年後かもしれませんが、「前回お会いしたときは、○○のお話で盛り上がりましたね!」と切り出してみせるのです。相手は「そんなことまで覚えているのか」と驚きつつ、こちらが真剣に付き合おうとしている真摯な姿勢を感じてくれることでしょう。
いつも同じ人とばかり食事をしたり、遊びに行ったりしている社長がいます。内弁慶の社長は、社内の自分のシンパを引き連れて飲みに行く機会が多いようです。気心の知れた仲間や自分の話をよく聞いてくれる相手と一緒にいれば、気を遣わずに済むので気楽ですが、そうした居心地の良い場所にいるとそこから出る気がしなくなり、新しい出会いにも恵まれません。
何か新しいことをしようとするとき、「背伸びをしなければならない環境に身を置くことが大切」といわれます。少し背伸びをすることで自分の知らない世界を知り、そこに慣れることでレベルアップを果たし、また少し背伸びをすることで、さらに自分の知らない世界を知る。こうしたことの繰り返しで成長することができるのです。人脈構築は、自分から動かなければ何も始まりません。まずは交流会などに参加することから始めてみてはいかがでしょうか?
また、関係が続くかどうかは、最終的には自分自身の魅力で決まります。ビジネスでは、次のようなポイントが魅力、つまり付き合い続ける理由になります。
人間性という観点でいえば、素直さと謙虚さを忘れず、明るく元気に振る舞うことがポイントです。
以上
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2017年9月4日時点のものであり、将来変更される可能性があります。
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