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社長として成長する

創業チームのメンバーとのコミュニケーションのポイント

日本情報マート

2018.11.26

 創業チームのメンバーは、社長(創業者)と夢を共有した人たちです。忙しさの中にやりがいを感じ、同じ思いを持つ仲間と一緒に働けることを楽しんでいます。社長も創業チームとの強い絆を感じ、自分たちが成し遂げたいことや、自分自身のことを全て分かってくれていると考えます。

 しかし、勘違いしてはいけません。「夢は実現したいが、社長とは反りが合わない」「仕事が楽しいだけで、人間関係について特別な思いはない」などと、会社を去っていくメンバーは少なくありません。創業期の活気が大好きで、会社が落ち着き始めると次の“活気”を求めて出ていくような、1カ所に落ち着けないタイプもいます。

1 組織力を測る強度と伸度

 「明日、誰も会社に来なかったら……」

 これは社長なら誰しも一度は考えたことがある最悪の事態です。特に創業期は内部的にはメンバーの出入りが激しく、また外部的にもさまざまなタイプの取引先と付き合います。誰を信じて任せたらよいのか、メンバーは自分についてきてくれるのかと疑心暗鬼になる社長がいるかもしれません。

 創業期に、煩雑な事務作業や社内政治から解放されて、社長が社長としての仕事を果たすためには、少なくともチームがしっかりしていなければなりません。「組織づくりはもう少し大きくなってからでもよい」と後回しにされることもありますが、創業期こそチームの結束力強化が大切なのです。

 チームの結束力は強度と伸度によって決まります。強度とは求心力の強さ、伸度とは求心力が及ぶ範囲で決まります。創業期の結束力は、社長の強力な求心力によって高い強度を誇ります。しかし、社長の他に求心力を発揮するメンバーがいないことからクッションになるものがないため、ピンと張り詰めすぎると、意外と簡単に切れてしまうことがあります。

 社長はこの点を認識した上で、創業チームとより良い関係を築き、会社を発展に導くマネジメントを心掛けなければなりません。

2 創業チームの心をつかむ伝え方

1)社長と創業チームの距離感が変わってくる

 創業初期は、社長と創業チームの役割分担が明確という会社が少なくありません。異なる技能や強みを持つメンバーが集まり、「社長はAI(人工知能)の技術者で、営業はメンバーに任せている」といったケースです。

 創業直後は、社長と創業チームがとにかく多くの時間を一緒に過ごします。仕事を通じて距離も縮まっているので、意思の疎通がとても図りやすい状態です。

 しかし、チームとしての活動が板についてくる頃、社長と創業チームの距離感が問題になることがあります。同じ方向には向かっているものの、本当の立ち上げ時と違って別々に活動することが増えるため、擦れ違いが生じ、時には大きな衝突につながります。

 こうした問題を避けるために、社長は「指示」「理由・思い」「感謝」「多様性」の4つの要素を意識して、創業チームとコミュニケーションを取るようにしましょう。

2)「指示」だけのパターン

 「○○をしてくれ!」とだけ伝えるパターンです。

 社長が指示を出す背景には、理由や思いがあります。しかし、「忙しくて全部話している暇はない」という事情や、「言わずもがなの社員は分かってくれているはず」といった勘違いから、「理由・思い」などの他の要素を省いてしまっています。創業チームは、消化不良のまま指示を遂行することになりますが、社長の指示が創業チームの考えや思いと違っていると衝突が起こりやすくなります。

3)「指示+理由・思い」のパターン

 「××の目標を達成するために、○○をしてくれ!」と伝えるパターンです。

 指示の背景が明確なので、創業チームはその指示に従う理由を知ることができるので、指示の内容を勘違いすることが減ります。ただし、忙しい状況が続いている中で、さらに社長が新しい仕事を指示する場合、創業チームは「社長は言いたいことばかり言って、現場のことを分かっていない!」という不満につながることがあります。

4)「指示+理由・思い+感謝」のパターン

 「いつもありがとう! ××の目標を達成するために、○○をしてほしい。一緒にやっていこう!」と伝えるパターンです。

 指示の背景が明確な上、社長の創業チームに対する感謝の気持ちも表れています。創業チームとしても「よし、やってやろう!」と勢いづきやすくなります。また、上の例は社長が全メンバーに指示するイメージですが、「久しぶりに飲みにいこう!」といったように、個別にコミュニケーションを取るのもよいでしょう。

5)「指示+理由・思い+感謝」×多様性のパターン

 「いつもありがとう! ××の目標を達成するために、○○をしてほしい。力を貸してくれ! 皆の考えや意見も教えてほしい。一緒にこの会社を盛り立てていこう!」と伝えるパターンです。

 「指示+理由・思い+感謝」のパターンを実践すれば、創業チームが不満を覚えることは減るでしょう。しかし、ここまでやったとしても、依然として社長からの一方的な情報発信であることに変わりはありません。

 メンバーとの関係性をさらに良くするためには、メンバーから意見を求め、参加意識を高める必要があります。結果として創業チームの意見を無視することになっても問題ありません。社長が創業チームの意見を聞く姿勢を示すことに意義があるのです。

3 会社の成長期に活躍できるマネジャーを育てる

 会社の成長に応じた変化を表す際、「創業チーム」と「成長チーム」は違うということがいわれます。これは会社が成長していく過程で役割分担が明確になり、やるべき仕事が高度化していく中で、それに適応できないメンバーも出てくるからです。

 成長期には新メンバーも入ってきます。彼らは創業チームとは異なる感覚を持っているので、創業期は気にも留めなかった「人事制度」や「職務分掌」の整備も必要になるでしょう。会社として組織が整っていくということである一方、創業チームにとっては居心地が悪いこともあります。

 社長はこうした変化も視野に入れて創業チームと接し、成長期に入ったら、プレーヤーからマネジャーに脱皮して活躍できるように育てなければなりません。「とにかくがんばる!」というステージから、より戦略的に会社を見るステージに上がってもらうことが必要であり、具体的には次の3つの視点を授けます。

  • 虫の目:目の前にある業務を、複眼的に注意深く確認する視点
  • 鳥の目:上空から見下ろすように、全体像を俯瞰(ふかん)する視点
  • 魚の目:川や海を泳ぐように、将来のビジネスの方向を予想する視点

 安定した会社のメンバーの場合、最初に自身の担当業務に関する「虫の目」を持つため、社長や上司は教育によって「鳥の目」「魚の目」を授けることになります。これに対して、創業チームは最初にぼんやりとした「鳥の目」「魚の目」を持っています。創業チームの夢は、業界を俯瞰し、将来の流れを読んだ上で、「勝てる!と信じた事業を成功させる」ことだからです。

 社長は、創業チームが持っている「鳥の目」「魚の目」の視力を上げつつ、一つひとつの仕事を効率的に進めるための「虫の目」を授けます。

  • 虫の目:目の前の仕事を効率的に進めるための仕組みをつくる視点
  • 鳥の目:フレームワークなどを使い、自分たちの事業を客観的に評価する視点
  • 魚の目:将来の会社の成長やメンバー自身のキャリアを冷静に考える視点

 創業チームの熱いハートは会社が失ってはならない原動力です。そこに上の3つの視点を授けることで、社長とともに会社を成長過程に導くマネジャーを育てることができるでしょう。

4 会社をポジティブに保つために社長が忘れてはならないこと

 創業チームに限らず、会社はメンバーのがんばりによって支えられています。

 ビジネスでは、忙しい時、辛い時があります。メンバーを厳しく叱らなければならないこともあります。そうした時に、メンバーが「よし、やってやる!」とポジティブになるのか、「もう無理だ…」とネガティブになるのかの違いは、社長のメンバーに対する関わり方で変わってきます。メンバーに対する伝え方に配慮し、会社の成長に応じて必要になる視点を授けることが、ポジティブな会社を維持するためのポイントであることを忘れてはなりません。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年11月26日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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