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シリコンバレー流チームの役割とは?/イノベーションフォレスト(イノベーションの森)

日本情報マート

2018.11.14

 皆様、こんにちは。森若 幸次郎ことジョンです。

 私のコラムをお読みいただき、心より感謝申し上げます。東京、大阪、福岡を中心に行う講演では、参加者の中小企業やスタートアップ経営者にお読みいただき、大企業のパートナーの皆様にもお読みいただき、プリントアウトして社内で回覧までしていただき、SNSでも沢山シェアしていただきました。本当に “愛りがとうございます(ありがとうございます)”。

 “愛りがとうございます”は、「愛こそ全て」をモットーとするジョン流の挨拶です。以後、よろしくお願いいたします。

 さて、前回の「シリコンバレー流 仲間の集め方/イノベーションフォレスト(イノベーションの森)」では、「シリコンバレーのスタートアップ企業が、どうやって良い人材を見つけているか」について書きました。今回は、良い仲間を見つけた後に必要な知識として、「シリコンバレー流チームの役割」について、私の経験やシリコンバレーの実態に基づいてお伝えしていきます。

 シリコンバレーの伝説のエンジェル投資家であるロン・コンウェイ氏は、投資をする際に一番必要な3つのことは、「チーム、チーム、そしてチームだ!」と言っています。今回はここを掘り下げていきます。

 皆様が関心を抱くのは、「どのような役割を持つ人材が集まれば、良いチームになるのか」ということではないでしょうか。また、「どのようなチームメンバーがいれば、投資家は魅力を感じるのか」ということも気になるでしょう。

 大切なのは、チームにジョインしてもらう前に、明確な役割を決め、それから人材を探すということです。CEOがビジョンを掲げ、自分たちのビジネスで達成したい目標を明確に示し、それを達成するために必要な人材を集めるのです。

 また、仮に優秀な人材を集められたとしても、チームとしてパッションがなければエネルギーは生まれてきません。同じビジョンを共有できていないチームについても同様です。これは、いくら一流プレーヤーばかりを集めたとしても、チームとして強くなければ、何年経っても優勝できないのと同じことです。

 このようなチームでは、投資家の評価を得るのは難しいでしょう。急成長することができ、イノベーションを起こすにはチームプレーが重要です。そのためには、繰り返しになりますが、メンバーの役割が明確で、各人が自分の得意分野で役割を果たしつつ、チームとして有機的に結び付くことが大事なのです。

 私が尊敬するシリコンバレーのベンチャーキャピタリストのアニス・ウッザマン氏の著書『スタートアップ・バイブル』によると、組織構成は企業の規模に関係なく、基本を守るべきであると述べられてます。第一に、各自の組織での役割と責任を明確にする必要があるからです。少人数の組織であっても、何をするために働いているかが分かってないと、上司の指示を待つメンバーだけになってしまいますが、これではスタートアップも中小企業も忙しくて回らないはずです。

 第二に、組織構成がしっかりしていなければ、投資家や取引先から信用が得られないことが多いです。社内にとっても、社外にとっても、きちんと部署や役職を設けて人材を配置し、チームとして機能することが重要です。

 では、具体的にどのような役割が必要なのか、つまりどのようなメンバーを集めるべきなのかを見ていきましょう。

 まずは、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者。いわゆる「社長」)です。シリコンバレーでは、Founder(ファウンダー)といわれる創業者がスタートアップを起業し、多くの場合、このファウンダーがCEOにもなります。CEOは、スタートアップのトップであり、次のような役割を担います。

  • 企業のビジョンを示す
  • 社員のモチベーションを保つ
  • 良い人材を確保する
  • 将来の変化を予測する
  • 企業の戦略を決める
  • 投資家との良好な関係を構築、維持する
  • 予算を決定する

 シリコンバレーでは、既にエグジット実績があるシリアルアントレプレナー(連続的起業家)は、初めて起業するCEOよりも投資家の支援が受けやすくなっています。実績のある人には、信用と期待が集まるからです。このようなシリアルアントレプレナーは、企業文化をつくることにも長けています。

 また、面白いのが、Co-founderといって、2人以上、まれに3人で起業した例などもあります。「投資家にとっては人数が多くなればなるほど、投資対象になる」とシリコンバレーでは言われているのですが、なぜだと思いますか?

 それは、企業の規模が大きくなると、創業メンバー同士のいざこざが増えて、結局、どちらかが辞任するか、辞めさせられるかという事態に陥ることがあります。そうしたとき、Co-founderであればどちらかがCEOとして企業を存続することができます。投資家は、こうした点を評価しているのでしょう。

 CEOの次に重要なポジションは、CTO (Chief Technology Officer:最高技術責任者)です。CTO は、テクノロジーを使って、CEOが掲げたビジョンをサービスやプロダクトに落とし込みます。次第にCTOが1人だけでは開発が間に合わなくなり、部下となるエンジニアも雇い始めると、進捗状況のマネジメントも重要な役割になってきます。シリコンバレーでは、エンジニア上がりのCEOが多いので、当初はCEOがCTOを兼務しているスタートアップも多くあります。

 企業が成長してくるとCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)が必要になってきます。CFOは、財務に関する責任者としてだけではなく、経理、財務、人事といった幅広い責任を負います。以前私は「イノベーションは買える」ということに気づき、スタンフォード大学経営大学院のエグゼクティブ教育にて、M&Aを学んだことがあります。そのときのクラスメートはほぼCFOで、残り10%くらいが世界中から学びに来たCEOでした。そのときに、優秀なCFOとは、資金調達、またエグジット戦略として、IPOとM&Aのどちらで進めるのがよいのかを理解し、実際にチームをリードできる人材だと学びました。

 VP of Sales(Vice President of Sales:最高営業責任者)とは、企業に収益をもたらす非常に重要な役割です。チームで調達した資金で開発したサービスやプロダクトを販売して、もうけることを指揮するトップです。どのようにしたらユーザーやクライアントを獲得できるのか、マーケティング戦略を練り、市場ニーズを把握し、営業します。

 CMO (Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)とは、企業のマーケティングを立案する責任者で、市場調査を行い、常に、業界、競合他社の動向を把握し、ブランディングを行い、広報も統括します。まだ自社でCMOを雇えない状況のときは、外部のコンサルティング会社に依頼して、戦略を作ってもらう企業も多数見受けられます。

 COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)は、企業のオペレーティングに関する責任者です。企業が大きくなってきたら雇うプロの経営者といえ、CEOよりも経営に長けた人を選ぶことが理想で、日本だと銀行出身者、シリコンバレーだと経営の実績がある人などをヘッドハンティングします。

 一番有名なCOOの1人は、Facebook(フェイスブック)のシェリル・サンドバーグ氏でしょう。まだ経営の実績がなかったマーク・ザッカーバーグ氏は、どのようにFacebookを収益化したらよいか、どのような組織をつくっていけばよいかで悩んでいました。そこに、ハーバードビジネススクールでMBAを取得して、Google(グーグル)を大きくした実績を評価されたシェリル氏が、Facebookにジョインしました。すると、あっという間に広告収入を得られる仕組みをつくり、新たなFacebookの組織を整え、一大企業に育て上げました。このようにCOOは、スタートアップから、さらに大きな企業になるときに必要な役割です。CEOと社員の架け橋になり、企業全体の経営マネジメントを行うことが多いのです。

 最後に必要なのは、アドバイザーです。シリコンバレーでも日本でも設立間もないスタートアップやベンチャー企業をどう信じるかはチーム次第なのですが、そこに、誰がアドバイザーとしてついているかは非常に重要になってきます。私自身、シリコンバレーのスタートアップのピッチデック(資金調達するためのプレゼン資料)をよく見ているのですが、そこには、アドバイザーは1人ではなく、多数います。

 なぜだと思いますか?

 日本の企業の場合、顧問が1人であり、多い場合でも弁護士がついている程度です。一方、シリコンバレーのスタートアップは、大企業になる前から、「経営に関してはこのアドバイザー」、「エンジニアに関してはこのアドバイザー」、「デザインに関してはこのアドバイザー」といった具合に、各専門分野のアドバイザー数名にジョインしてもらいます。

 アドバイザーは、業界に顔が利く人脈と専門知識を持ち、ビジネスで困ったことがあれば相談に乗ってくれる先生です。そして、シリコンバレーと日本の決定的な違いは、アドバイザーにも株式シェアを与え、チーム一丸となって、企業の急成長にコミットすることです。

 日本の中小企業は所有と経営が分離していないことが多く(いわゆる「オーナー企業」)、どうしても“ワンマン社長”になりがちかもしれません。ここで紹介した「シリコンバレーのスタートアップのチームの役割」が、より成長の速い組織にリ・デザインしていくことの一助になれば幸いです。

 コラムを読んでいただき、愛りがとうございます。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年11月14日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka
シリコンバレーと日本を行き来するイノベーションプロバイダー、日本史上最年少国立大学客員教授。
2015年11月に株式会社シリコンバレーベンチャーズを創業。国内外のスタートアップ企業、大企業に経営アドバイス、学術研究都市にオープンイノベーションのアドバイス、大学や高専にてアントレプレナーシップ教育、シリコンバレーの現地アテンドなどサポートを行う。シリコンバレーのベンチャーキャピタルのパートナー、エンジェル投資協会のメンバー、アルケミストアクセラレーターのメンターも務める。
2018年3月シリコンバレーにてStartupFire Inc.を設立し、CEOに就任。世界最大のオンラインインキュベーターを目指す。シリコンバレーでも日本でも「#StartupFire」というスタートアップを支援し、イノベーションを起こす目的のイベントを運営する。
ハーバードビジネススクールPLD(リーダーシップ開発プログラム)修了、スタンフォード大学経営大学院にてM&A、スタンフォード大学の夜間やハス・ビジネススクール(UCバークレー)でベンチャーキャピタル、Yコンビネーターでエンジェル投資を学ぶ。

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