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第4回 シリコンバレーのアクセラレーターから学ぶ教育/イノベーションフォレスト(イノベーションの森)

日本情報マート

2019.02.12

 皆さん、こんにちは。SNSで私のコラムのたくさんシェアしてくださり、愛りがとうございます(愛+ありがとう)。さて、前回の「シリコンバレー流エレベーターピッチを名刺交換や自己紹介に活かす方法」で、世界一のイノベーションの聖地であるシリコンバレーには、スタートアップを急成長させる短期の教育プログラムである「アクセラレーター」があることを紹介しました。

 今回は、さらにアクセラレーターに注目してみます。アクセラレーターでは一体何を学び、日本企業の経営や教育にどのように活かせるか、私なりに“提案型”で書いてみたいと思いますので、どうぞお付き合いください。

 シリコンバレーには、アクセラレーターが無数に存在します。そうした中でも、著名で最も実績があるのが「Yコンビネーター(以下「Yコン」)」です。Yコンは、多くのユニコーン企業を生み出していることでも有名です。

 Yコンは、6カ月プログラムであり、スタンフォード大学やハーバード大学より入るのが難しいといわれます。それほどまでに素晴らしいアクセラレーターといえ、シリコンバレーの成功者たちが一目置くだけではなく、世界中の投資家たちが「Yコンに採択されたスタートアップに投資したくてたまらない」と思うくらい、Yコンの卒業生たちは、ユニコーン企業になる可能性を秘めています。

 ここで、Yコンの哲学や仕組み、プログラムをご紹介します。

●Yコンの哲学:

  • Make Something People Want (人が欲しがるものを作れ!)
  • ファウンダーは、プロダクトがマーケットフィットするためにビジネスモデルを精練し、プロダクト、チーム、マーケットを作ることに集中して、スタートアップが急成長するビジネスに育て上げる
  • デモデイが最後にあり、投資家の前でピッチをする

●Yコンの仕組み:

  • シードの資金提供 150K(約1800万円)
  • アドバイス提供
  • コネクション提供する代わりに、7%のエクイティをスタートアップからもらう

●Yコンのプログラム内容:

  • Office hour: ファウンダーがYコンのパートナーと個別面談し、アドバイスをもらえる
  • 毎週ディナーで、シリコンバレーのエコシステム内のスターの講演が聴ける

 Yコンの他にも、全米トップのアクセラレーターの1つで、B2Bのスタートアップに特化した約6カ月プログラムである「Alchemist Accelerator」があります。ここでは、私もメンターをしています。

 スタンフォード大学の現役講師がファウンダーというだけあり、スタンフォード大学卒業生のスタートアップが多数、受講しています。スタンフォード大学という「信用」が自然とついてくるのが強みの1つです。シリコンバレーだけではなく世界中どこに行っても、B2Bのスタートアップの多くは、大企業にサービスを販売していくビジネスモデルをとりますが、Alchemist卒業生はスタンフォードの信用があるため、大企業と取引する“壁”は乗り越えられやすくなっていると思います。

 さらに、私も受講したことがある「Blackbox」というプログラムもあります。サンフランシスコ市内にて、外国人起業家だけ(アメリカ人以外の、世界中から厳しい審査の後に採択されたスタートアップのファウンダー兼CEOのみ)を対象にしており、2週間寝食を共にし、朝から晩まで講義を受け続けます。Blackboxは、Google for entrepreneursということで、Googleがアントレプレナー育成のために約5000万円出資してくれています。

 Blackboxでは、毎日朝から晩まで、スタートアップ経営をする上で必要なスキルとマインドをゲスト講師が教えに来てくれます。私が受講していたときは、ハーバードビジネススクールを卒業し、サンフランシスコで起業して成功している女性CEOが「スタートアップ経営」について、また、ハーバードビジネススクールの卒業生のみが入れるエンジェル投資協会の会長が、「どのようなスタートアップにエンジェル投資したいか」について講演してくれました。そして、著名ベンチャーキャピタリストや、シリコンバレーバンクというスタートアップに投資する銀行員、フューチャリストで有名なシンギュラリティ大学のパスカル氏が「未来の作り方」などを講演してくれました。

 YコンやAlchemist Acceleratorからの学びは、6カ月と長いスパンの中で、1週間に1回くらいのペースで、成長曲線を描いていくことが大切だということです。

また、Blackboxからの学びは、社員教育のために単発の講演会に行かせたり、学会に1日とか、2日だけ社員1名を行かせたりするよりも、グループ20人くらいで、一気に2週間寝食を共にすることが重要だということです。2週間、同じ環境で、同じものを食べ、同じ講義を受けて、同じ志で学び、お互いを高め合うことができるからです。

 シリコンバレーのアクセラレーターは、日本のベンチャー、スタートアップだけでなく、「社員教育」という意味で、中小企業にとっても非常に参考になります。 何を成し遂げたいかで、スキル重視で伸ばしたいのか、マインド重視で伸ばしたいのかで、教育プログラムの内容が変わってきます。実際に、社員教育を行う際には、「誰をどのように育てたいのか」をきちんと目標設定して、シリコンバレーのアクセラレーターの中から参考になるモデルを選んだり、“いいとこどり”で結びつけて、自社の教育プログラムを作っていくのもよいかもしれません。

 イノベーションを起こすことが急務な日本だからこそ、シリコンバレーのアクセラレーターから学ぶことがたくさんあると思います。自社をイノベーティブにするには、GoogleやFacebook、co-working spaceのような高い天井やオープンスペースの遊びがあるオフィスにするだけでは足りません。アクセラレーターで提供されているようなイノベーターの生の声が聞ける機会や、挑戦するカルチャーを作っていくことが大切なのです。

 次回は、私が主催している「Angel Accelerator」(エンジェルアクセラレーター)についてご紹介する予定です。

 今回も、最後までお読みいただき、愛りがとうございました。森若幸次郎ことジョンがお届けいたしました。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年2月12日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka
イノベーションプロバイダー、ファミリービジネス二代目経営者、起業家、講演家、コラムニスト

山口県下関市生まれ。19歳から7年半単身オーストラリア在住後、家業の医療・福祉・介護イノベーションを目指す株式会社モリワカの専務取締役に就任。その後、ハーバードビジネススクールにてリーダーシップとイノベーションを学ぶ。約6年間シリコンバレーと日本を行き来し、株式会社シリコンバレーベンチャーズを創業。近年はNextシリコンバレー(イスラエル、インド、フランスなど)のエコシステムのキープレーヤーとのパートナーシップと英語での高い交渉力を活かし、スタートアップ支援やマッチングを行う。「日本各地でのイノベーション・エコシステムの構築方法」や「どのように海外スタートアップと協業しオープンイノベーションを起こすか」を大企業、銀行、大学などで講演、病院ではリーダーシップセミナーを行う。国内外アクセラレーター支援、スタートアップイベント運営、ピッチ指導(英語・日本語)等も行う。

株式会社シリコンバレーベンチャーズ代表取締役社長 (兼) CEO
株式会社モリワカ専務取締役(兼)CIO
情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
Startup GRIND TOKYO コーチャプター ディレクター

著書「ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?」

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