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創業初期の停滞を打開するスキルとマインド

日本情報マート

2019.04.24

 創業後3年以内の企業の経営者(経営陣)は、企業経営に何度も携わった経験がある一部の人を除けば、経営者として未熟な状態にあるといえるかもしれません。

 創業前は、経営者として自立できるように一定の準備をしていた人たちも、いざ創業した後は、目先のことで手いっぱいとなり、本業に集中できなかったり、本を読む時間が取れなかったりすることがあります。

 こうした状況を放置するのは好ましくありません。第1回で紹介した「経営の停滞要因」 の多くは、経営者自身の能力不足が招いているといっても過言ではないのです。

 創業後こそ、経営者としてスキルアップを継続的に図っていくことが欠かせません。第2回はそうしたスキルアップのために何をすべきか、そのマインドや行動を含めて紹介します。

1 成功体験で「てんぐ」になるのが最も危険

 創業後、事業が順境であっても逆境であっても、経営者はスキルアップの努力を欠かしてはなりません。私(著者)の経験からいえば、事業が傾くきっかけの多くは、一時の成功体験で自信過剰になった経営者が「てんぐ」になってしまうことだからです。

 創業直後から事業がうまくいって、周囲に“もうかっているアピール”をしていた経営者が、しばらくすると苦境に陥ることがあります。また創業後順調に推移していたので、新規事業を始めたところ、大赤字で破綻したなどの事例は枚挙にいとまがありません。

 経営者が自分の経営能力を過信し、判断を誤ったことが事業失敗の原因になっているのです。会社勤めの頃は上司からあれこれと指導を受ける立場だったのが、独立開業すると、基本的に誰からも束縛や強制をされることがなくなります。そのため、創業した途端に「一国一条の主」という意識が強くなり、他者からの指導やアドバイスを受けられなくなってしまうこともあります。そうなると、経営者としてのスキルアップを図れなくなり、事業も停滞が続いてしまうことがあります。事業を長期にわたって継続できる経営者は、「謙虚にスキルアップを図る」という姿勢を持ち続けています。

 では、経営者に求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。次章で確認してみましょう。

2 経営者に必要なスキルとマインド

1)ビジネスモデル構築

 誰に、何を、どのように売るのか、ビジネスで利益を上げる仕組みを練り上げることです。どんなプロダクト(商品・サービス)をつくり、どの市場に売っていくかといった戦略策定も含みます。

2)情報収集

 ビジネスモデルを構築するためには、有効な情報を収集することが欠かせません。情報収集源は、新聞・雑誌・テレビなどのメディア、インターネット、書籍などがありますが、最も有効なのは、自分で見聞きしたものや人から直接得る「一次情報」です。

3)行動力

 理想的な事業計画を策定しても、行動が伴わなければ何も実現しません。「誰が、何を、いつまでにやるのか」を決めて、計画的に実行することが重要です。

4)マーケティング

 業況が不振な中小企業の大半は、マーケティングをしっかりとしていません。せっかくいい商品やサービスを持っているのに、ターゲットとする顧客に周知できていない、あるいはうまくクロージングできていないといった問題点が見られます。

5)メンタル(マインド)の強さ

 経営者には、何があっても心が折れない強さが求められます。同じような事業をやっていても、逆境に直面して簡単に諦めてしまう経営者がいる一方で、「なんとしても乗り越える」という意識を持って粘り強く改善を図る経営者もいます。

 長年にわたって事業を続けている経営者は、必ずといっていいほど危機に直面しています。そんなときでも決して諦めずに、自分や自社を客観的に見て、解決策をひねり出し実行しています。

6)マネジメント

 経営者には、経営全般をマネジメントする能力が求められます。人材のマネジメントをはじめとして、経営企画、プロジェクトの管理、資金の管理、危機管理など、幅広い要素が含まれます。

 このように多岐にわたるのが「経営能力」の構成要素です。ところが創業後3年以内の企業の経営者は、経営能力が発展途上の状態だといえます。経営者がこれらの要素で構成される経営能力を高めていくことで、難局を乗り越えて事業を繁栄させることができます。

3 経営者としてのスキルやマインドを向上させる方法

 経営者としてのスキルやマインドを継続的に向上させることは、事業の繁栄につながります。具体的には、次のような行動によってスキルやマインドを向上させることができるでしょう。

1)事例に学ぶ

 日ごろから意識すれば、経営の参考になる多くの経営者や企業の事例があることに気付きます。例えば、メディアで取り上げられる企業事例を見ると、商品・サービスがユニークで、「なるほど。こんなやり方があったか!」と、目から鱗(うろこ)が落ちるようなものがあります。

 日本国内に限らず海外の事例も探すと、経営に役立つヒントがたくさん得られます。必ずしもメディアに登場していなくても、地元で有力な企業がどのようなことをしているかを調べると、多くのことを学べます。

 なお、企業事例について見るときは、「ビジネスモデル」に着目することをお勧めします。どんなビジネスの仕組みによって稼いでいるのかを分析して頭にストックすると、自分のビジネスに役立てられる知識となります。

2)人から一次情報を得る

 メディアなどで公開されている情報は二次情報(他者を通して間接的に得られた情報)ですが、さらに有効なものは直接得る「一次情報」です。特に他の経営者やお客様などから直接話を聞くと、よりリアルな情報を得られるので、経営に役立つ確率が高いといえます。

 人から話を聞く方法は、次のようなものがあります。

  • 経営者が体験談やノウハウを話す講演を聞きに行く
  • 経営者が集まる会合や勉強会などに参加する
  • お客様(または顧客ターゲット層)にインタビューする

3)支援団体や専門家を活用する

 中小企業を支援する組織や団体は全国各地に多数あります。例えば、各都道府県や市区町村、商工会議所や商工会などは、地域内の中小企業に対して、情報提供や経営相談などを行っています。これらの機関のホームページを見ると、「中小企業支援」といったページがあり、各種支援策が書かれています。

 全国的な機関では、「独立行政法人中小企業基盤整備機構」(中小機構)が、経営相談や各種イベントを開催している他、全国に7カ所ある「中小企業大学校」が経営者向けのセミナーや研修を行っています。

 中小機構は、各都道府県に設置されている「よろず支援拠点」のサポートもしています。「よろず支援拠点」とは、国が設置した経営相談所です。各分野の専門家が登録されており、無料で相談や支援を受けられるのが特徴です。「○○県よろず支援拠点」で検索すれば、問い合わせ先が出てきます。

 この他、金融機関なども経営者向けの講演会やセミナーなどを積極的に開催しているので、活用してみるとよいでしょう。こうした場に参加することで、同じ悩みを持つ経営者とのつながりができる可能性もあります。

4)インプットしたノウハウを経営に生かす

 得られたノウハウや情報は、「ためになった」で済ませるのではなく、自社の経営のために生かすことが経営改善のポイントとなります。繰り返しになりますが、創業後3年までの期間は、経営が不安定もしくは停滞していることがほとんどといっても過言ではありません。

 経営者(経営陣)は、「自分たちはまだまだ未熟者である」と認識し、スキルアップに励むことが停滞を打ち破り、事業を繁栄に導くために重要です。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年4月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:上野光夫
株式会社MMコンサルティング 代表取締役・中小企業診断士
1962年鹿児島市生まれ。九州大学を卒業後、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)に26年間勤務し、主に中小企業への融資審査の業務に携わる。3万社以上の中小企業への融資を担当した。融資総額は約2,000億円。
2011年4月にコンサルタントとして独立。起業支援、資金調達サポートを行うほか、研修、講演、執筆など幅広く活動している。
リクルート社『アントレ』などメディア登場実績多数。
著書に
 『起業は1冊のノートから始めなさい』(ダイヤモンド社)
 『「儲かる社長」と「ダメ社長」の習慣』(明日香出版社)
 『事業計画書は1枚にまとめなさい』(ダイヤモンド社)
などがある。

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