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中小企業も今こそ、SDGsを理解し、実践しましょう!~CSRとは似て非なるもの、企業成長のために/岡目八目リポート

日本情報マート

2019.09.20

 年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、SDGsビジネススクール「Start SDGs」を運営している株式会社グローバルイノベーションズの代表取締役である黒岩 賢太郎さんです。

 35℃を超える日々も多くあった今夏、それでもスーツの上着を着ている方々をたくさん見かける丸の内周辺。そこで、左胸の社章と、目につくのが、カラフルな色が散りばめられた【輪っか】、そうです、SDGsのピンバッジ。本当の意味をキチンと理解している方々がどれほどいるのか? そこは解りませんが、着実に浸透しつつあるのも事実、中小企業経営者に尋ねると『うちには関係ないよね〜』という返事も現状かと感じる次第です。

 そこで、中小企業になぜSDGsが今必要か? そこにフォーカスしたいと思います。

1 中小企業とSDGsについて

1)現状について

SDGsの認知度状況を示した画像です

 日本における認知度、19%! 主要20カ国における平均が51.6%にかなり出遅れている現状をまず理解しておく必要がありますね。日本だけのお話ではなく世界的な潮流であり、世界共通言語になっていることをまず理解、19%の認知度の多くは大企業、実際380万社と仮定した場合の中小零細企業での現況は、

  • SDGsについて対応、アクションを行っている:1.2%→45,600社
  • SDGsについて対応、アクションを検討している:0.2%→7,600社
  • SDGsについて知っているが、特に対応はしていない:5.8%→22.04万社
  • SDGsという言葉を聞いたことがあるが内容は知らない:8.0%→30.4万社
  • SDGsについて全く知らない:84.2%→319.96万社

 全く知らない会社が300万社を超えていることになること、またこの出遅れ感をなんとかしないといけないという課題感の大きさとともに、SDGsを指標にしたビジネスは中小企業にとって大きなチャンスが眠っている事を知らない会社が多すぎると黒岩さんは話します。

2)なぜ中小企業に必要か? を知る

滋賀銀行における【SDGs融資】についてのリリースを示した画像です

 上記は、昨年日経新聞でも大きく取り上げられた、滋賀銀行における【SDGs融資】についてのリリースです。これは国内金融機関初の事例であり、金融面でのSDGsの大切さがクローズアップされた事象のスタートとなります。金融関係会社はほぼSDGs宣言をしている状況下において、今後ますます増えてくる事が予想されます。

 もう少し大局的な目線でお伝えしますと、大企業と繋がりがある、自社の商売の根幹をなす中小企業も少なくないと思いますが、ほぼ全ての大企業がなぜSDGsに取り組むのか? SDGsを真正面から取り入れようとしているそこも大切ですし、そう本心から実践に向かっている会社も存在します、その一方で、大企業と機関投資家の関係も見過せません。

 ESG投資をご存知でしょうか? 「ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことです。ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと言えます」。そこに、世界の投資家が重視し始めているという状況があります。「世界最大規模の公的年金基金もESG投資を採用しており、ESGを考慮した運用は、今後重要度が高まると考えられます」。実際、「世界最大の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では2017年に1兆円規模のESG投資を2017年に開始。今後3兆円まで増やす予定」とのこと(以上、大和証券HPより引用)。

 大企業の株価がこの投資により大きく変化するリスク、そこから事業の大転換、変革も今後確実に起こってくる、その変化対応のためにも中小企業がSDGsを理解し、時代の先を読み解く力が必要であると黒岩さんは強く語ります。この変化を知ることで自社の先々の事業のあり方、あるべき姿を認識するキッカケに繋がります。

 CSRもとても大事ではありますが、SDGsは事業の継続、発展、収益化にそもそも直結するものであり、過去にあったISOブームの次元が高いヴァージョンですとも黒岩さんは話します。

 このゴールにおいて自社事業と関連する17のゴールを事業に落とし込むことで、事業の発展に繋げていく。中小企業におけるその具体的な事例について、黒岩さんにお聞きしました。

1. フロムファーイースト株式会社[第1回SDGsビジネスアワード大賞受賞企業]

 使われれば使われるほど、売れれば売れるほど環境改善に繋がり、収益から森林を増やす100%無添加・自然素材の化粧品を販売。

 米ぬかや小麦ぬかなど廃材になりそうな材料で製造し、皮膚にも優しく、有益微生物が排水までも綺麗にする商品を開発。

 このSDGsビジネスであったからこそ、大手百貨店を中心に約800店舗の取り扱いへと拡大している。

2. 株式会社エコシステム[第2回SDGsビジネスアワード大賞受賞企業]

 大量生産・大量消費型社会が生んだ産業廃棄物の瓦。形状の特異性などから最終処分場でも受け入れを敬遠されがちであり、処分費も高額になってきている中、瓦廃材を粉砕し、透水性特殊舗装製品や複合コンクリート製品としてアップサイクル商品を開発。

 世界共通言語のSDGsビジネスだからこそ、今では南米との取引も加速している。

3. 会宝産業株式会社[第2回ジャパンSDGsアワード「SDGs推進副本部長(外務大臣)表彰」受賞企業]

 自動車解体業という枠を超えて自動車リサイクルを事業に。車輌仕入れから解体・部品管理・販売までを一元管理できるシステムを屋台骨に、世界約90カ国とネットワークを形成し、ものをつくるのが「動脈産業」で、つくったものを循環させるのが「静脈産業」とするならば静脈産業のパイオニアとして地球環境と世界経済のために、その輪を広げています。

※上記だけではなかなか伝わらないと思います。上記企業のHPなどを是非ご覧くださいませ。

2 黒岩さんがSDGsを取り組むようになったワケ

1)自身の事業への疑問

 阪口氏との出会いから5年、別の事業を経営しつつ勉強し、このSDGsビジネス普及に関する取り組みを決心し、行動に移して1年ほどという黒岩さんですが、なぜこの短期間で事業化に踏み込んで行えたのか。その部分についてお聞きしました。

 長らくセールスプロモーションの業界に身を置いてきました。クライアントが喜んでもらうことを主眼にやってきましたが、自分の事業が【売り込み】に終わっている、例えばツールの販売に終わっている。お金の世界に喘いでいる自分に息苦しさを感じていました。未来に繋がる事業を模索している自分がいたと黒岩さんは話します。

2)阪口氏、平本先生との出会い

 その頃に私の紹介で、黒岩さんにお繋ぎしたのが阪口竜也さんでした。阪口さんについてはこちらの記事をご覧ください(出典 2017年7月アナザーライフの記事より)。阪口さんは2017年の第1回SDGsビジネスアワード大賞の受賞者であり、私とは15年近いお付き合いです。当時のリリースはこちらです。

 100年後の地球や子供達のことを本気で考え、実行している阪口さんに出会って、大きな衝撃だったと話す黒岩さん、自分がやってきたことで未来に繋がる事業はなにか? と考えた時にいろんな事業アイデアが生まれてきたそうです。

 上記の資料で言うと3番(SDGsの考えを発展させる)、4番(SDGsを実践する)この部分が、黒岩さんが思いついた部分、その実現を話し始めた頃に阪口さんが、日本の最先端、早期のうちからSDGsに取り組んで来られた、金沢工業大学の平本先生を紹介してもらって、直接指南をいただけることになったそうです。平本先生の研究室のHPはこちらです。

 そこで先生から、SDGs市場はこれから形成の段階にはいっていくところ、現在は、【理解】と【定義】が必要、市場を創造する前の段階、啓蒙活動をしていく必要性を促されたそうです。

 そこから、黒岩さんは自身でSDGsビジネス普及に関する学びを平本先生から直接受け、イベントにも積極的に参加、昨年の12月からSDGs普及に関する講座、スクールの開講に向けて一気に舵を切りました。それから3カ月で準備も完了しスクールの開始へ。このスピード感で準備できたのはまさに元々本業であった、セールスプロモーションの仕事をやってきたからだそうです。

 例えば、ある頭髪美容系メーカーにおいては、美容サロンへの教育ツールの開発、社内イベントの実施、美容師向けのカットコンテスト、Webプロモーションと、セールスプロモーションと言っても多岐にわたる経験、実績があってのこと、その経験がこのスクールの立ち上げに見事に活きているそうです。

3 SDGsビジネスプログラムをスタートして、そして今後

1)SDGsビジネスプログラム募集開始から見えてきたこと

 最初にこちらの動画をご覧ください。

 この動画は全国6箇所でスタートしたSDGsビジネスプログラムでの実際の状況です。第1期目の応募関係の数値から見えてきたこと。問い合わせ社数439社、申込者数107社うち大企業が12社(大企業の中には世界に名だたる有名ブランド、ナショナルブランド企業も参加しています)、残りの95社が中小企業とのことです。全国各地からの申込みがあり、大きな広告費も掛けていない中でのこの反応には黒岩さん自身がびっくりしたそうです。さらにびっくりするのは、中学生や高校生の発言が参加する大人以上に真剣にこのSDGsの取り組みへの理解と実践について考えていること。学生さんのプレゼンから参加する大人達の表情、スクール参加への意気込みも変わり真剣さもましていったそうです。面白いですね(学生さんの参加は無料で対応しているそうです)。

 加えて、平本先生のプログラムが圧倒的であることが大きいとも黒岩さんは語ります。単純な座学のみのスタイルではなく【自発的】にどう実践するか? そこに持ち込める特殊の手法を用いたワークショップ形式の内容となっていること。そこが大きい。バックキャスト・トレードオフ・ボーダレス・トリプルボトムラインなどSDGsならではの新規事業企画要素を取り入れていたりしています。面白いことに、SDGs講師業の方も受講にきているという事実があるのは、圧倒的である事を物語っているのではないかと思います。

 更にはこの「Start SDGs」はスクールの域を超えてマルチステークホルダーパートナーシップの形成が起こりつつあり、既に受講者企業同士で連携や新会社設立の話にもなってきているそうです。

2)今後の展開について

 第1期目のプログラムの実施から、次への展開も見えてきた黒岩さんに今後について聞きました。

 今回は座学、ワークショップによる【通学制スクール形式】で実施していますが、誰でもどこにいてもいつでもeラーニング形式でSDGsビジネスを学べる【オンラインスクール】、企業ごとに個別でスクール対応をする【社内実践スクール】、企業ごとに、社員と会社のエンゲージメントを高める側面からや働き方改革の文脈でも【社内浸透イベント】、企業がSDGs宣言を展開し、ブランディング広報・PRを具体的に行動できるように【宣言企画】や【宣言ツール製作】のお手伝いを行っていくそうです。

 また、小学校でも今年からSDGsの授業が義務化されたこと、今後中学校、高校、大学へと教育プログラムの中でマスト化していくことに対応するため、【教育者向けプログラムの開発】を行い、今年の11月頃には実施に移りたいと話します。加えて、まだまだ遅れている、日本の女性社会活躍問題、男性の意識改革も含めて女性向けのプログラム開発も来年1月スタートに向けて準備中だそうです。

 SDGsの実践のためにも、阪口さんのような、事業そのものがSDGsと関連する事業者、SDGsの取り組みを加速できる協力事業者とも連携していく構想とともに、学生や子供達がもっとビジネス社会と関われる機会の実現に向けた【マッチングプラットフォーム兼オンラインサロン】も具現化しようとしています。

 過去に培ったセールスプロモーションの力量を思う存分、将来世代のために、未来創造のために役立てていこうとされています。私も心から楽しみにしています。

 最後に黒岩さんから一言、想いを

私は、日本とともに世界を変えられると信じて努力しています。
次世代を担う子供達の100年後の未来を守れると。
SDGs…これ程までに一つのキーワードのもとに人々が動く事象があったでしょうか。
SDGsの重要な点は、ビジネスを通じて様々な社会課題を解決していくという事です。
誰でも変革者になれます。
SDGsを通じて同じ志を持った人は全て同志になります。
これまで出会わなかった、交えなかった人達と行動を共にする事ができます。

はじめてSDGsを知った人の中には、貧困をなくそうと聞いて「いやいや海外の話で、日本はないでしょ?」と思われる人もいるかもしれません。
しかし、日本の子供の7人に1人が貧困といわれています。
親の都合で1人で食事をとる子供も貧困です。
「仕事だから仕方ない」で本当に良いのでしょうか。

他にも、熱波・寒波・大規模洪水・高温少雨など日本をはじめ世界各地で深刻な災害をもたらしている気候変動など、様々な社会課題もあります。
ちなみに、世界最大手の保険会社であるアクサのCEOは「今後、世界の平均気温が4℃上昇したら損害保険ビジネスは崩壊する」と宣言しています。
「自分は関係ない」で本当に良いのでしょうか。

改めて、なぜこの事業に取り組むのか。
私は、SDGsを指標として実践に移せるビジネスだからこそ、日本とともに世界を変えられると信じているからです。

その想いの中で、
金沢工業大学 経営情報学科・SDGs推進センターの平本先生と出会いました。
平本先生はSDGsをビジネスに落とし込むロジックと手法をお持ちになられていました。
このロジックと手法を、もっと多くの人に知ってもらいたいという想いが湧き上がりました。

そして、昨今SDGsの広まりに伴って、SDGsのコンサルタントと銘打って、確かな知識・経験がない方による表面的な表現だけの支援が目立つようになったと各所から声が聞こえるようになりました。
こうした状況を否定して新たな対立構造を生み出すのではなく、実際の社会変革の経験に基づいた知識・経験の共有が今後は特に必要であると考え、SDGsを確かな知識のもとに実践に移していける人物を各地で育てていくべく、本スクール化について平本先生に監修いただくとともに企画・実行する運びとなりました。

そして、SDGs・社会課題に対する有識者への登壇依頼が殺到している状況下において、休日も全く取得できずにご家族と過ごすこともままならない程に多忙な処遇の解決。
そして、確かな知識と経験を積んだ学生に対する無償活動支援の強要を阻止すると共に、当スクールでは選抜された学生・若者に対しての受講料は無償化し、次世代を担う希望に社会で活躍できるステージを提供していくこと、女性の活躍への正当なる評価実現も当スクールの運営目的としました。

学ぶだけのスクールの域を超え、SDGsを指標としたその先にある「実践」を第一に弊社及び私は活動して参ります。

●SDGsビジネススクール「Start SDGs」
https://www.startsdgs.com/

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年9月20日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

【電子メールでのお問い合わせ先】 inquiry01@jim.jp

(株式会社日本情報マートが、皆様からのお問い合わせを承ります。なお、株式会社日本情報マートの会社概要は、ウェブサイト http://www.jim.jp/company/をご覧ください)

執筆:杉浦佳浩(すぎうら・よしひろ)
代表世話人株式会社代表
三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和(当時)にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、部品メーカー等の主力工場を担当。退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に二十数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。年間1000人以上の経営者と出会い、縁をつなげている。

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