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まだ日本で語れる人の少ない「iPaaS」を実現している会社。これからのビジネスを大きく変える「RPAの民主化」の原点には「思い」と「出会い」があった/岡目八目リポート

日本情報マート

2021.06.10

 年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、嶋田 光敏さん(BizteX(ビズテックス)株式会社の代表取締役CEO)です。

 今、盛んに注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)。嶋田さんが取り組まれていることは、いわば「究極のDX」「DXのあるべき姿」と言えるかもしれません。嶋田さんが法人向けにご提供されているRPAは、「誰もが簡単に自動化を実現できて、本業のスピードアップが図れるようにするもの」であり、ビジネスの進め方を大きく変えていく可能性を秘めているからです。

 以降では、嶋田さんが取り組まれてきた「RPAの民主化」やiPaaS(アイパース。異なるアプリケーション同士を連携させるクラウドサービス)のサービス、それらをご提供するにいたる「思い」などをご紹介していきます。

1 「RPAの民主化」にチャレンジし続ける

 嶋田さんが創業したBizteX社は、BtoBでRPAをご提供されています。同社のミッションや主な事業は、嶋田さんの言葉や同社資料をお借りすると次の通りです。

●BizteX株式会社でやっておられること(嶋田さんより)
当社は「オートメーションテクノロジーで新しいワークスタイルを実現する」をミッションに、国内初のクラウドRPA「BizteX cobit」、複数のシステムを連携しデータ統合/自動化を実現するiPaaS「BizteX Connect」を大手企業様にご提供しDXの推進を行っています。

BizteX社のプロダクト説明の画像です

(出所:嶋田さんご提供のBizteX社資料)

 ここ数年でRPAは広く知られるようになりました。ただ、まだ「なんだか難しそう」「とてもコストがかかりそう」といったイメージがあるかもしれません。それに対して嶋田さんは、「誰でもすぐに安価で簡単に使えるRPAの実現=RPAの民主化」にチャレンジし続けておられます。その原点には、「RPAをもっと手軽に簡単に使えるようにすれば、多くの人の役に立つ」という思いがあるからです。

 こうした思いを大切にして、形にされてきた嶋田さん。2017年からクラウドRPA「BizteX cobit」を始められ、リリース3年で作られたRPAのロボットは約3.7万台、約2000種類のクラウドサービスの自動化を行ってこられました。かなりすごい実績をお持ちです。「誰でもすぐに簡単に使える」というお考えはUIにも生かされており、グッドデザイン賞をはじめさまざまな賞も受賞されています。「難しいものを、誰でもすぐに簡単に使えるものに」は非常に大切な考え方だと思いますし、またそれを実現し続けておられるのは、本当に素晴らしいことですね。

 嶋田さんの「RPAの民主化」はさらに進化してきています。今回、特に注目したいのは2020年5月リリースのiPaaS「BizteX Connect」です。この「BizteX Connect」はさまざまなアプリケーションと連携して自動化を図れるもので、「誰でもすぐに簡単に」をこれまで以上に進化させており、社会を大きく変えていく力を持つサービスだと感じます。すでに導入されている大手企業もおられます。

●BizteX Connectのサービスページ
https://service.biztex.co.jp/connect/

●ニュースリリース
iPaaS「BizteX Connect」、株式会社サイバーエージェントへ導入~iPaaS+クラウドRPAでSaaS連携や更なる業務効率化を支援~(2021年3月)
https://www.biztex.co.jp/posts/2021-03-17-233-news/

 クラウドRPA「BizteX cobit」そして今回のiPaaS「BizteX Connect」を実現した背景には、嶋田さんのこれまでの歩みから築かれた「思い」と、素晴らしき仲間などとの「出会い」がありました。次章では、そのあたりを振り返ってみたいと思います。

2 「思い」と「出会い」。嶋田さんの起業までのストーリー

1)超原点は幼少のころの思い

 今回、嶋田さんは、これまでの歩みを振り返るお話を色々とお聞かせくださいました。四国は香川県ご出身の嶋田さん、「やりたいことができずにモヤモヤした幼少期を過ごしたことが、今振り返れば起業につながる原体験です」と語ります。誰もが知る超有名なサッカー漫画を読んでサッカーを始めますが、小学校・中学校当時は、通っている学校にサッカー部がなかったのだそうです。サッカーがやりたいのに部活がない! まさに「モヤモヤした思い」です。

 高校はサッカー強豪校に入り、今までやれなかったサッカーに取り組めた嶋田さん。最初はサッカー素人だったのでグラウンドのはじっこでリフティングするところからスタートし、高校3年生ではなんと副キャプテン&ベンチ入りするまでになったというから驚きです。この体験から「何もないところからチャレンジして上り詰める」「ゼロイチ」が好きになり、自信もついたとのこと。これぞ起業家精神の原点、とても貴重なお話です。

2)全国で営業ナンバーワンを達成していた時代

 アパレルでの営業やサッカーコーチなどを経て、嶋田さんは「J-PHONE(当時)」で、地元四国にて中小企業向けに携帯電話などの通信商材を営業する仕事に就きます。この法人営業の経験で、「中小企業の働き方を変えること」「お客さまの役に立つこと」に喜びを感じるようになったといいます。その後、会社がVodafone、ソフトバンクに買収されていく中で、国内企業→外資企業→ベンチャー企業という変遷を、転職せずに辿ることができたことも嶋田さんにとっては良い経験になったようです。

 Vodafoneがソフトバンクに買収されたのが、ちょうど嶋田さんが30歳のタイミングだったそうです。当時の嶋田さん、なんと営業成績で全国ナンバーワン! 300名くらい営業担当者がいた中での第一位ですので本当にすごいことだと思います。こうして自分で売上を作れるようになったことが自信につながり、嶋田さんは「将来自分も経営者になりたい」と思うようになりました。そこから、孫さんのような素晴らしい経営者の下で経営を学びたいと、自ら志願して東京へ転勤することとなるのです。東京では、起業につながる出会いが、嶋田さんを待っていました。

3)起業につながった大きな出会い

 嶋田さんは東京で、孫さん主催のソフトバンクアカデミア、それからグロービス経営大学院でビジネスや帝王学などを学びます。ここでの「2つの出会い」がのちの嶋田さんの起業に大きく関わっています。

●出会いその1:孫さん、グロービス学長・堀義人さんの「名言」との出会い
・嶋田さんが特に好きな孫さんの名言

「自分の登る山を決めろ」
孫さんの込めた意味「自分がこの先、命を懸けて、人生を懸けて登る山を見つけられたら、半分成功したようなものだ」

・嶋田さんが特に好きな堀さんの名言

「志を語れ」
堀さんの込めた意味「学んだ知識を勉強で終わらせるのではなく、世の中でどう使うのかが大事だから、自分の課題感や、やりたいことをちゃんと語ることが大切」

 嶋田さんは、孫さんの「登る山」と堀さんの「志」は同じものだと感じ、自分でも「登る山=志」を決めて歩いていこうと強く思ったそうです。起業に向けた決意が固まってきた背景には素晴らしい名言の後押しがあったということですね。今、起業を考えられている多くの方々にも非常に参考になる言葉だと思います。

●出会いその2:厳しく、そして熱く背中を押してくれた人物との出会い

 嶋田さんの起業ストーリーを語るにはどうしても欠かせない1人の人物がいます。それは、株式会社ZENKIGENの代表取締役、野澤 比日樹さんです(以前、この「岡目八目リポート」でもご紹介させていただきました)。嶋田さんと野澤さんの出会いはソフトバンクアカデミアで、野澤さんは1期生で外部から入られ、嶋田さんは内部からの2期生として入っておられました。

 2014年に40歳のタイミングでグロービス経営大学院を卒業された嶋田さんは、2015年には起業したいと思っていましたが、なかなか踏み切れずにいたとのこと。そこで登場するのが野澤さんです。2015年4月、嶋田さんは野澤さんから、

「嶋田さんはもう会社を辞めろ」

と言われたのだそうです。「嶋田さんは勉強もしているし、将来やりたいことを語っているが、1ミリもそれに向かって本気で行動していない。本気で行動するんだったら退路を断って(会社を辞めて)、もう起業したほうがいい。そうすると本当の意味で前に進める新しい扉が開く」と続けたという野澤さん。それを受けて、その場で「分かった、(同2015年の)6月までに辞める」と宣言した嶋田さんがまたすごいです……。

 実際には、(2015年の)6月に上司に気持ちを伝え退職したのは同年10月だったそうですが、野澤さんの厳しくも熱い一言が、嶋田さんの初めの一歩、大きな決断につながったのは間違いありません。素晴らしいご関係ですね。どういうコミュニティにいて、どういう人と一緒に学び行動しているか。こうしたことが、起業家や経営者にとってとても重要なのだと改めて感じるエピソードです。

3 高い技術力の背景にも、大切な仲間との出会いがありました

 起業以来、「RPAの民主化」に取り組まれてきた嶋田さんですが、最初は仲間を探すことからのスタートでした。嶋田さんいわく、「RPAはお客さまのシステムをレコーディングして自動化するもの。それは技術難易度の高い領域」です。BizteX社が高い技術力のもとに進化し続けられるのは、嶋田さんのやりたいことを形にできるエンジニアの方との出会いがあったからでしょう。

 BizteX社の立ち上げ当初、嶋田さんは「エンジニアのナンパ」もしていたそうです。カフェに行き、隣でMacを開いてプログラミングしているエンジニアに「何のコードを書いてるの?」と話しかけたり……。全く知らない人、しかも自分とは得意な領域が明らかに違いそうな人に声をかけるのはかなり勇気がいると思いますが、そこはさすが、とにかく「方法を問わず、目的に向かってどんどんやっていく」タイプの嶋田さんです。

 こうして嶋田さんは、現在取締役兼CTOをやっておられる袖山さんと当時の顧問をしてくださっていた方からのご紹介で出会います。嶋田さんが袖山さんと一緒に仕事をしたいと思ったのは技術力もさることながら、考え方が素晴らしいと思ったのだそうです。そのことがうかがえる袖山さんのエピソードを一つご紹介します。「CTOって何が大事だと思う?」という議論に対して、袖山さんが答えていた内容は下記の通りだったそうです。


  • ●袖山さんの答えていた内容

    「(CTOに大事なことは)3つある。1つは技術力。2つ目はエンジニアが活躍する文化を作れること。3つ目が自分より優秀なエンジニアをハイアリングする力だ」

 逆に、袖山さんは嶋田さんについて、次のようにおっしゃっているそうです。


  • ●嶋田さんが、袖山さんから言われた「嶋田さんと組んだ理由」

    • 初めから壮大なことを言いつつ、事業計画や企画書をしっかり作っていたので、その両方があったことがとても良かった
    • (うまくいかないことも)いろいろあるけど、当時の4年前から言っていることが変わらないよね

 お聞きしていると、ちょっと胸が熱くなりますね。やはり、経営がしっかりされていると仲間も盤石になっていくということなのだと改めて感じます。

4 今、BizteX社の注目は「iPaaS」という新しい分野のクラウドサービス

 さて、こうして「思い」や「出会い」が源泉となっている嶋田さんたちBizteX社、すごいところはいくつもありますが、やはり「誰でもすぐに簡単に使える」にこだわっているところが大きな特徴です。この点について、同社の2つのメーンプロダクト、クラウドRPA「BizteX cobit」とiPaaS「BizteX Connect」それぞれに関して、嶋田さんは次のように言っておられます。


  • ●嶋田さんによる2つのプロダクトの特徴

    1.クラウドRPA「BizteX cobit」:

    • このクラウドRPAを着想した当初の課題感としても、当時のRPAはオンプレミス型(社内で構築するようなタイプ)で、その分構築期間も長くて、(金額も)高くて、難しいというものでした。
    • それを誰でも使える「民主化」に持っていきたいと思ったので、クラウド型のサービスにして、URLからアクセスしたらすぐ利用が可能で、低コストで、UIも簡単で使いやすいというポジショニングを取りました。

    2.iPaaS「BizteX Connect」:

    • iPaaSは「Integration Platform as a Service」の略で、システムの持っているAPIを活用するものです。
    • 例えば、顧客情報がSalesforceに入っていて、その顧客情報を使ってクラウド会計のfreeeにログインして請求書を発行する、という業務があったとします。両方ともAPIがあるので、APIでこれらを連携しようとすると、エンジニアの方が早くても2~3週間かけてコードを書く必要があります。
    • しかし、これをiPaaS「BizteX Connect」を利用すればプロダクト上であらかじめSalesforceとfreeeのAPIを繋いでおくと、あとはBizteX Connect上でポチポチとクリックすれば両者のシステムを繋ぐことができる。
      そういうプロダクトです。

 iPaaS「BizteX Connect」については、

「エンジニアが3週間くらいかかってコードを書いてAPI連携させるものが、BizteX Connectを使うと、エンジニアではない人でも10~15分でできる」

と表現するのが一番分かりやすいかもしれません。このすごさ。生産性が向上するどころではありません。ビジネスの進め方、かかわるプレーヤーなどが大きく変わる可能性があります。

 iPaaS「BizteX Connect」は非常に技術レベルの高いプロダクトで、日本国内のスタートアップ界では、BizteX社ともう1社の合計2社しか持っていない技術なのだそうです。

iPaaSを説明した画像です
RPAとiPaaSの違いを説明した画像です
BizteX Connectを説明した画像です

(出所:いずれも嶋田さんご提供のBizteX社資料)

5 RPA業界の現状と今後

 現在BizteX社では、さまざまなパートナー企業と組んで「どのお客さまに、どういう業務の自動化をご提供できるのか」を具体的に提示する取り組みを始めておられます。そのほうが、RPAや自動化という言葉だけを聞くよりも、お客さまが具体的に活用方法をイメージできるからです。こうして具体的な活用イメージが分かるようになり、大手企業だけでなく地方の中小企業などにも広く導入されていくようになれば、日本全体の生産性向上に大きく貢献していくことでしょう。

 海外と日本のRPA業界の現状と今後について嶋田さんにお尋ねしたところ、次のようなご回答をいただきました。


  • ●嶋田さんによる海外と日本のRPA業界の今後

    【海外】

    • 海外では、RPAの領域は日本よりかなり進んでいて、10年ほど前からRPAの会社が出てきています。
    • 特に欧米を中心に、RPAだけでなくSaaSも日本より早く広がっているので、それらのシステム間連携にAPIを使ったほうがいいのではないかというところで、日本よりも6~7年ほど早くiPaaSの領域に広がっています。

    【日本】

    • 日本では、ここ数年RPAが注目されていますが、BizteX社で手掛けている領域で言うと、今後3~5年くらいにかけてとても盛り上がると予想されています。特に地方の中小企業に関しては、これからというところだと思います。
    • 日本でも(海外と同様に)RPAが広がった後はiPaaSが広がってくるでしょうし、SaaSが広がれば広がるほど、API連携の必要性というものも出てくると思っています。
    • また、日本の状況をマクロで見た時に、「労働人口が減っている」「働き方を改善しなければいけない」「DXしなければいけない」となった時に、エンジニアのリソースというのがとても貴重な時代になります。このとき、iPaaSの領域(エンジニアがコードを書くことなく、誰でも10分でRPAが実現できる世界)が非常に重要になるでしょう。

 日本ではまだあまり語れる人のいないiPaaSのお話などは、とても勉強になります。そして嶋田さんのお話をお聞きしていると、言葉だけが独り歩きをしがちなRPAやDXなどの本来の意味、「働くすべての人の効率化を図り、意欲的に気持ちよく働ける環境を実現する」ということが、とても腹落ちする気がします。

6 BizteX社が実現したい世界

 最後に、嶋田さんに改めて「BizteX社がこれから実現したい世界」を聞いてみました。


  • ●嶋田さんのご回答

    BizteX社はオフィスワークの定型業務をRPAで補い、貴重なエンジニアのリソースをiPaaSで補うことができるので、人が本当に時間と労力を使うべき「企画やアイデア」のところ、そしてエンジニアも本来やるべき「自社のサービスを創ること」に時間を割けるようになります。私たちはそれをお支えしたいし、これからその重要性が増してくると思っています。

 時代を先読みし、それに加えてお客さまのやっていることも把握し、適したサービスをご提供してお客さま、ひいては日本全体の生産性向上に貢献していかれる。素晴らしいですね。今回、改めてこれからの時代を見据えた新しい仕組みの重要性・必要性を実感しましたし、これからの世の中に非常に役に立つ、世の中のためになることを率先して推し進められている嶋田さんたちを、心から応援したいと思います!

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年6月10日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:杉浦佳浩(すぎうら・よしひろ)
代表世話人株式会社代表
三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和(当時)にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、部品メーカー等の主力工場を担当。退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に二十数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。年間1000人以上の経営者と出会い、縁をつなげている。

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