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インターンシップを絶対実施したほうがいいたったひとつの理由/超現実的インターンシップ主義~手間をかけずに成功させる導入のノウハウ(1)

日本情報マート

2021.07.29

 現在の新卒採用市場において、企業にとっても学生にとってもインターンシップが「活動の起点」になってきました。一方で、インターンシップの実施には負荷がかかることもあって、これまで導入をためらう企業も少なくありませんでした。人事担当を専任で置くことさえままならない中小企業においては、なおのことハードルの高い取り組みでもあります。
 「何から手を付けていいかわからない…」「できるだけ手をかけずに実施するには…」「せっかくやるなら結果ださないと…」。導入したいのはやまやまだが、人もいないし知恵もない。そんな前提があるからには、できるだけ省エネで最大限の効果を得る。そんなノウハウでないと現実味がありません。

 本連載では、はじめてインターンシップに着手しようという中小企業の視点に立って、「超現実的なインターンシップの導入ノウハウ」について解説していきます。第1回の本稿では、読者の皆様が「手間はかかるけどインターンシップやろう!」と腰をあげる気になるような“絶対実施したほうがいい理由”について、筆者の実体験も交えながらお伝えしていきます。

1 サマーインターンシーズン突入

 6月1日、2023年卒採用のインターンシップサイトがグランドオープンしました。新卒採用媒体の2大サイトの掲載社数は、初日の時点でのべ1万2000社を超えています。登録学生数も各々のサイトで、前年から約8割増え30万人を超えました。昨年度は新型コロナウイルスの影響によって会員登録が思ったように進まなかったのですが、コロナ禍2年目となる本年度に関しては、混乱も少なく前年よりも大きく増加した格好です。

 インターンシップは大学3年生の夏から翌年の3月頃にかけて行われることがほとんどです。スケジュールや期間は企業によって異なりますが、概ね6月から募集がはじまり7月~9月中旬に行われるサマーインターン、10月~12月に行われる秋冬インターンという2つの山があります。従来は、サマーインターン=企業研究、秋冬インターン=採用の前哨戦という位置づけだったのが、昨今では、サマーインターンから採用に直結するという流れも出てきました。

 そういった観点でいけば、まさに今はじまろうとしているサマーインターンから実施するのが王道です。しかし、この時点から大学3年生と接触し、つながりを保ちながら採用につなげていくのは、マンパワー的に相当な体力を要します。中小企業にとっては、今から準備をはじめて秋冬インターンを実施するというのが現実的な選択肢といえるでしょう。

2 なぜインターンシップが就活に直結するようになったのか

 2023年卒の就活は、2022年の3月に採用情報が解禁され、6月から本格的に書類選考や面接がスタートする予定となっています。2022年と同様のスケジュールとなった背景には、経済状況の悪化に伴う採用活動への影響が生じる可能性を考慮したことが挙げられます。

 このルール自体は2016年卒の新卒採用から導入されました(※導入当初は8月に採用面接解禁、2017年卒から2カ月前倒し)。ちなみに経団連は企業の就職・採用活動ルールを定めた「倫理憲章」の名称を、このタイミングから「指針」に変更しています。

 それまでのルールでは、採用広報など実質的な活動の開始は大学3年生の12月1日とされていました。当時の安倍政権が経団連に、大学生が勉強に集中できる期間を長く確保するために活動時期を繰り下げるよう検討を求め、3カ月遅らせる決定が下されたのです。
 この議論とともに、インターンシップの実施率を高めようという動きも進みました。企業の採用選考期間は短縮されることを受け、1DAYインターンシップやインターンからの採用を認める流れができはじめたのです。

3 新卒一括採用のはじまりは、なんと明治時代

 さて、ここから少し歴史の話におつきあいください。
 「就職協定」のはじまりは1953年。戦後復興が進み、朝鮮特需を皮切りに好景気を迎えたことで、就職の売り手市場化が加速しました。これを受け採用選考が早期化していく中、現在の文部科学省が教育・財界関係者を集めて懇親会を開き「採用選考の推薦開始を卒業年度の10月1日以降とする」と決定。あまりに加熱する流れを抑制しようという動きでした。この取り決めが「就職協定」の始まりになります。

 そもそも新卒一括採用や協定的なルールは、実は戦後にはじまったのではありません。その歴史はなんと明治時代にまで遡ります。海外事業の拡大を機に旧財閥系企業を中心に学生の採用を活発化させたことが、その端緒でした。
 この時代は、大学卒業後に入社試験が実施されていたのですが、人手不足から売り手市場になるにつれて、多くの企業が学生と早いうちから接触を図りたいと、学校卒業前に選考が開始されるようになります。第一次世界大戦後の世界恐慌で一気に買い手市場になると、企業は厳選採用に舵を切るものの、優秀な学生を囲うために選抜試験の開始時期が早期化されていきました。
 その後、大手銀行などの呼びかけによって、「大卒学生の採用選考は『卒業後』に行うこととする」という協定が結ばれます。しかしその翌年には、もう協定加盟企業も卒業前の選考開始が目立ちはじめ、「選考開始時期を卒業年度の1月以降とする」と協定が緩み、早期選考の動きは止まらず、協定は破棄されることになりました。

4 繰り返されてきた歴史の本質

 なぜ、新卒採用の歴史を振り返ってきたのか。それはこの歴史の中に、新卒一括採用におけるKSF(キーサクセスファクター/主要成功要因)が見てとれると思ったからです。新卒採用をめぐる紆余曲折は、明治の時代から令和に至る現在まで見事に、そして残念なくらい同じように繰り返されています。ここまで同じような議論が繰り返されてしまうということは、「新卒一括採用システム」を成立させる上での構造的な本質が宿っているからに他なりません。
 それは以下の4点です。

  • 新卒一括採用というシステムは、企業にとって合理的な機能を果たしてきたこと
  • とはいえ、いい人材を確保するにはいち早く採用をはじめたいという力学が働くこと
  • その反作用として、抜け駆けを防止するルールが必要になってしまうこと
  • そのルールが建前的なものであるがゆえ紳士協定にとどまり、結局は破綻してしまうこと

 一括で採用するのは企業にとって都合がいいからです。しかしその環境下で、優秀な人材を採用するには「早く会うこと」が最も有効です。優秀な人材を囲い込みたいという思惑が大きければ、どれだけ規制をしようが「我先に」という行動に歯止めはかかりません。

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5 インターンシップを実施したほうがいい理由

 いち早く学生と接触する。それが新卒採用における最重要なセオリーであることを、歴史が教えてくれています。そしてこのセオリーは、採用強者といえない企業にとって大きな武器になります。知名度が高い、規模が大きいといった企業の魅力を凌駕するには、とにかく採用したい学生にいちばん先に唾をつけておくこと。つまり中小企業が採用のジャイアントキリングを起こすためには、大手よりも先に学生と会うことが必須条件だということです。
 だからインターンシップなのです。インターンシップを絶対実施したほうがいい理由とは、“インターンシップが学生と早期接触できるまたとない機会である”という極めてシンプルなポイントに尽きます。

 ある人材サービス企業が、就活に臨む学生の思考や行動を調べたところ、

  • 学生は、興味を持った企業のWEBコンテンツをよくみて研究している
  • 企業の思いに共感すれば、学生は企業規模に関係なく会いたいと思っている
  • ただし、中小零細企業の場合は、できるだけ早い段階で会いたいと思っている

という傾向が明らかになっています。

 就活の初期段階において、学生は業界や企業を絞り込む上でも、幅広く企業と接触したいと考えています。このように学生の志向からも早期接触は合理的だということです。そのタイミングでインパクトを残す、共感を得る。そうすれば勝機は広がります。

6 最初に自分を見込んでくれたインパクト

 学生と早く会う必要性について力説する背景には、筆者の2つの実体験も大きく影響しています。1つ目は自分がリクルートに入社を決めた時の体験、2つ目は、そのリクルートに入社して自分自身が採用担当として働いていた時の体験です。

 筆者が就活をしていたのは1987年。バブル期が到来しつつあって新卒採用は「超売り手市場」の状況でした。ちょうどこの年に就職協定は微調整され「企業説明会開始8月20日、会社訪問開始9月5日、内定開始10月15日」となっていました。
 今でこそ上場を果たし大きな企業になったリクルートも、当時はまさにベンチャー企業で、自分は他に行きたい業界がありました。しかし結局は、リクルートに入社したのです。それは内定をもらったのがいちばん早かったということが大きく影響しています。
 確か内定をもらったのは6月の中旬でした。4月に非公式に接触して3回くらい面談してアッという間に決まりました。説明会が始まるのが8月と聞いていた学生の立場からすると、狐につままれたというか、「え、こんな簡単でいいの?」という感じでした。
 その後、自分の志望する業界を何社か受け、いくつか内定もいただきました。この会社に入りたいという企業からの内定もいただけたのですが、最初に自分を見込んでくれたインパクトが勝りました。内定までのスピード感に熱量を感じ、内定後も「他の企業を見てきていいよ」というリクルーターの発言に懐の深さを感じたことも、大きい要因となりました。

7 リクルートが教えてくれたこと

 入社したら、いきりなり採用部署に配属されました。今度は自分が学生を口説くほうです。筆者は、この時に「いい人材を採用するにはとことんエネルギーをかけるのだ」ということを徹底的に教え込まれました。今でいうGoogleの採用に関する考え方と似ています。
 そして採用に対するエネルギーの大きな部分を、とにかく学生と早く会うことに向けていました。季節労働色の強い新卒採用部署であっても、リクルートでは1年中忙しく学生と会っていた記憶があります。
 当時、最初に接触するのは大学3年の秋でした。自分が4月に新人として配属された時点で、すでに目をつけている学生がゴロゴロいたのです。もちろん非公式な接触という建前ですが、学生もなんとなく状況は飲み込めている状況でした。これって、まさしく今のインターンシップです。リクルートは30年以上前から、こうした採用で優秀な学生にアプローチしていたのです。

 もちろんリクルートのようなパワープレイ的採用を強要しようというのではありません。あそこまで途轍もないパワーをかけられる企業は、大手であっても稀有でしょう。ここでお伝えしたいのは、あくまで新卒採用において学生と早く会うことが重要であるというエッセンスです。そして早期接触には、いまやインターンシップが欠かせない。むしろ中小企業にこそ必要な取り組みである。改めてその事実を直視してください。
 さあ今年こそ、インターンシップやりましょう。今からでも遅くはありません。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年7月29日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:平賀 充記(ひらが あつのり)
株式会社ツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー 兼 ツナグ働き方研究所所長。1988年(株)リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「タウンワーク」「はたらいく」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長。2012年(株)リクルートジョブズ・メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、いまに至る。
著書に『非正規って言うな!』(クロスメディアマーケティング)、『神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。

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