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インターンシップを実施する上でのベーシックフレームを知る/超現実的インターンシップ主義~手間をかけずに成功させる導入のノウハウ(3)

日本情報マート

2021.10.08

 現在の新卒採用市場において、企業にとっても学生にとってもインターンシップが「活動の起点」になってきました。しかし、実施に手間のかかるインターンシップは、人事担当を専任で置くことがままならない中小企業においては、ハードルの高い取り組みでもあります。本連載では、はじめてインターンシップに着手しようという中小企業の視点に立って、“超現実的かつ効果的な”インターンシップの導入ノウハウについて解説していきます。

 いよいよここからは、3回にわたってインターンシップを実施する上での具体的なノウハウについて解説していきます。皆さんに実践していただきたいのは、時間とお金を極力かけないで実施できて、採用に結びつけることができる=超現実的なインターンシップですが、3回目の本稿においては、そのベースとなるインターンシップの「基本の型」についてお伝えします。今期の具体的設計の土台になるのはもちろん、来期にもし本格的なインターンシップを実施したいとなったときにも役に立ちます。いってみれば“インターンシップの永久保存版参考書”。ぜひご一読ください。

1 インターンシップ実施に向けた7つのリスト

 早速インターンシップ実施に向けて決めておくべきことをご紹介します。

  • 目的
  • 対象学生
  • スケジュール
  • コンテンツ設計
  • 告知/選考
  • 受入準備
  • インターン後の接点準備

 この7つのリストに沿って、それぞれ準備をしていってください。
 一番重要なのは、言うまでもなく「目的」の決定です。そして、その目的に沿って「対象学生」を決めましょう。目的を達成するために「どんな学生に来てほしいのか」を決めていきましょう。実施の目的や参加してほしい学生像によって、インターンシップは大きく変わってきます。そこを明確にしないで進めていくと一気通貫したインターンシップに結実しません。実際の学生集客においても影響してきますので、ターゲット設定は明確に行ってください。
 また、この段階から、実施後にどうやって採用選考ルートに接続するかをイメージしておくことも重要です。

インターン実施に向けた7つのリストの画像です

(出所:執筆者提供)

2 中長期な視点でのインターンシップもあり

 本連載は、もちろん採用直結型のインターンシップを念頭に置いています。しかし本来、インターンシップには多岐にわたる目的があります。例えば、今年の採用というよりやや中長期的な視点で新卒採用を考えた場合、「学校との関係構築」や「社外広報活動」を目的とすることが有益になるでしょう。
 インターンシップ募集を大学のキャリアセンター経由で告知することで、もちろん今年対象となる学生からの応募が期待できます。その上で翌年や翌々年もインターンシップ募集を継続していけば、おのずと大学のキャリアセンターと関係性ができてくるでしょう。事業の特徴や働きがいなどをアピールできれば、ゆくゆくはキャリアセンターの相談員が学生に推薦してくれることも期待できます。
 また、大企業ほど知名度が高くない中小企業の場合、インターンシップ自体が学生たちに企業の魅力をアピールする好機。多くの学生に認知してもらえることは大きなメリットといえます。なぜなら就活する学生は、前年に就活した先輩からのクチコミをおおいに参考にするからです。やや時間はかかることになりますが、中小企業のインターンシップは、広報活動のような役割も果たしているのです。

3 コンテンツ設計のフレームワーク

 インターンシップの骨子を考えていく上で参考になるのが、5W1Hに基づいたフレームワークです。ご存じのよう5W1Hとは、

  • WHY
  • WHO
  • WHEN
  • WHAT
  • WHERE
  • HOW

を指します。
 これをインターンシップに当てはめると、

  • WHY=目的は?
  • WHO=参加してほしい学生は?
  • WHEN=時期は? 日数は?
  • WHAT=形式は?
  • WHERE=対面? Web?
  • HOW=内容は?

となります。ひとつひとつを埋めていくことで、自社のインターンシップの骨子がぼんやりとでもイメージできるようになるでしょう。
 お気付きかもしれませんが、実はこのフレームの1〜3は、冒頭でご紹介した7つのリストの1〜3と同じです。前述したように一気通貫したインターンシップを設計していく上でも、このフレームワークが役立つはずです。一方で、具体的なコンテンツに関するのが4〜6の項目となります。この3点を整理することで、インターンシップコンテンツの方向性が明確になっていきます。

4 実務体験型か疑似体験型か

 インターンシップの実施形式は、「実務体験型」か「疑似体験型」かに大別され、それぞれ実施する上でのポイントが異なります。
 実務体験型は、

  • 中長期(3日間以上)が望ましい
  • 実務体験+αのコンテンツが効果的
  • 職場受け入れの事前準備が大切

といった点が挙げられます。職場で実際に仕事を体験させるため、職場の「生」の雰囲気や業務内容、仕事のやりがいを体感することで、学生の気付きや学びが深まる。あるいは、インターンシップ期間中に、職場ローテーションや質問会、グループディスカッションを導入することで、情報の整理や知識定着の促進を図れる。つまり学生の理解度・満足度があがる=好意度が増すというメリットがあります。半面、受け入れ部署の協力や一定期間の受け入れに関する準備など、ある程度の工数がかかってしまうのがデメリットです。

 疑似体験型は、

  • 短期間でもコンテンツ設計が可能
  • コンテンツの狙いを明確にする
  • コンテンツ導入の事前準備が大切

といった点が挙げられます。短期間から導入でき、実施期間についても柔軟な設計ができるため、協力部署が少なくても開催が可能。グループワークやビジネスワークを用いることで、短期間でもある程度の仕事体験は提供できる。なにより学生の参加ハードルが低いというメリットがあります。もちろん、短期間のインターンシップは企業の目的と学生への狙いが伝わりづらいことから、学生の志望度変化につながりづらいリスクもあります。

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5 インターンシップにもWebの波

 そして、コロナ禍の中、インターンシップにもWebで実施するという波が広がっています。従来のように「対面形式」で実施するか、感染リスクをケアして「Web形式」で実施するか、運営の形式についても選択する必要があります。

 対面形式は、1dayから長期間まで受け入れが可能で、会社の雰囲気や社風などを伝えやすく、実務体験もできるため仕事内容の理解が促進され、志望度が上がりやすいというメリットがあります。また他の学生との交流も活発になり、インターンシップ自体が盛り上がる傾向もあります。半面、会場押さえ、社員のアサインなど実施のための準備が大変です。感染リスクが拭えないことからも、参加ハードルがやや高くなるデメリットもあります。

 Web形式は、1dayに適した運営の形式といえます。場所を選ばず実施が可能なため、これまでリーチできなかった学生と接触ができますし、感染リスクがないというのも魅力的です。とはいえ、オンラインツールありきのため、運営慣れしていないと実施が難しい。あくまでも疑似体験止まりのため、仕事理解などが不十分になる。対面に比べて社風なども伝わりづらい。こうした懸念もあります。それでも、一定の会社理解や仕事理解はさせることができると割り切れれば、選択する価値のある形式です。現に、最近は「疑似体験型×Web形式」で実施される企業が多くなっています。

コンテンツ設計のマトリクスの画像です

(出所:執筆者提供)

6 重要となる3Cの観点

 実務体験か疑似体験か、さらに対面かWebか。形式がなかなか決められない場合は、上記のマトリクスを使ってみましょう。縦軸は受入期間(実施期間)で、横軸は受入形式(実施形式)になっています。そして、それぞれの形式に適した運営の形式をプロットしてみます。Web形式に最も適しているのは左上の「1Day×疑似体験型」。一方で、せっかく手間のかかる対面形式を選択するなら、最も効果を得ることのできる右下の「3日以上×実務体験型」がおススメとなります。

 ここまでは、自社の都合を土台にしながらコンテンツ設計をイメージしてきました。しかし、当然のことながら、そもそもインターンシップを実施するのは新卒採用を成功させるためです。学生にとって魅力あるインターンシップでなければ、その後、採用選考に参加してもらうのは至難の業。最終的に内定受諾に至る上でも、インターンシップでのインスピレーションは極めて重要です。

 学生がインターンシップに参加するのは、もちろん採用選考を視野に入れているからです。しかしそれだけではありません。特定の企業について深く知りたいのと併せて、社会に出て働くという自身のキャリアに対して視野を広げたいと考えています。つまり、企業理解が深まる内容であるだけでなく、学生のキャリア観醸成に寄与するコンテンツ設計が求められるのです。
 また、他社の企画内容と差別化を図るという意識も必要です。ひとりでも多くの学生に参加してもらうためには、他社よりも魅力的なプログラムを用意することが求められます。具体的には、参加する学生の成長につながるか、挑戦の場となっているか、成功体験が得られるか。こうした観点を念頭に置きながら、学生たちが「参加したい」と思う企画づくりを心がけましょう。

 これは、まさにマーケティング戦略における「3Cフレーム」の観点です。自社(Company)視点だけでなく、学生(Customer)視点、競合他社(Competitor)視点も含め、インターンシップのコンテンツ設計に臨んでください。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年10月8日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

【電子メールでのお問い合わせ先】 inquiry01@jim.jp

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執筆:平賀 充記(ひらが あつのり)
株式会社ツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー 兼 ツナグ働き方研究所所長。1988年(株)リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「タウンワーク」「はたらいく」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長。2012年(株)リクルートジョブズ・メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、いまに至る。
著書に『非正規って言うな!』(クロスメディアマーケティング)、『神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。

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