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今どきの若手社員のトリセツ~上司や先輩に贈るストレスマネジメントの処方箋 Vol.2 「上座」「下座」をめぐるビジネスマナーの本質

日本情報マート

2022.06.22

 近年、職場の上司や先輩(いわゆるオトナ世代)は、若手社員の言動を理解できないイライラ、腑に落ちないモヤモヤを抱えつつも、指導の際は「パワハラ」と感じさせないように、気遣いや遠慮が求められるようになりました。
 そもそもオトナ世代が若手にストレスを感じる原因は、オトナの考えと、若者の行動のすれ違いによるものがほとんどです。しかし若手に対して「けしからん!」と怒ったり「理解できない!」と嘆いたりしていたことを、冷静に分析するだけでスッキリすることもあります。

 本連載は、拙著「イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ」を一部抜粋し再構成してお届けします。

  • オトナ世代が違和感をもつ若手社員の言動を具体的にピックアップ
  • ギャップやストレスの正体を分析
  • 円滑なコミュニケーションや適切な指導法を考察

という3ステップで、オトナ世代にとっても必要なストレスマネジメントについて解説していきます。

1 おいおい、会議室で上座に座っちゃダメでしょ

オトナのイライラ・モヤモヤ
会議室に入って、びっくり。ウチの部署の若手が議長席に座っている。おいおい勘弁してくれよ。議長役の事業本部長がまだお見えになっていなかったからよかったものの、見つかったらと思うと、冷や汗ものだ。新人研修で「上座」「下座」のマナーは教えてもらったんじゃないのか!?

若手のホンネ
会議室の「上座」「下座」って、マナー研修で教えてもらいましたよ、確かに。でも、ぶっちゃけ、座る場所なんてどこでもよくないスか? いや、会議資料をスクリーンに映すとき、一番偉い人が一番見やすい席に座るとか。そういうルールなら、合理的で納得感ありますけど……。

 部長や課長を差し置いて自分が上座に座る。お客様を下座に座らせてしまう。そんな失礼かつ常識知らずなシーンを、オトナ世代が目にしたら、イライラ・モヤモヤを通り越して、烈火のごとく怒りだしてしまうかもしれません。少なくとも筆者はそうでした。

 とはいえ、年齢や仕事上の地位が上の人が座る席=「上座」で、地位が下の人や主催者側が座る席=「下座」。雑にこう教えられただけだと、冒頭の「上座って意味あります?」的な感じで、若手には響かないんじゃないでしょうか。

 そもそも、「心地よい場所」に目上の方をお通しするというおもてなしの心が、席次ルールの基本ですよね。その昔から、入り口から遠い場所というのは、床の間や飾り棚が置かれることが多い神聖な場所でした。
 会議室にはこうした設備はありませんが、静かな落ち着く場所であることに変わりはありません。このように、出入り口から遠い席が上座、近い席が下座となっていることには、本来の意味があるわけです。

2 別にいいんだけど、いつもこっちがエレベーター係なんだよな

 会議室だけではなく、エレベーター内にも上座と下座が存在するのは、ご存じの通りです。当然、下座は操作盤の前。混み合っている場合に無理に動いて移動する必要はないものの、こうした立ち位置はビジネスマナーの常識ですよね。

オトナのイライラ・モヤモヤ
なんか気付くとエレベーターの操作盤の前にいるのは自分なんだよな。若い頃から、真っ先に乗り込んで操作盤の係をやるってのは、もう長年しみついている行動だ。だからといって、若手にそれを強要するわけじゃないけど。でも、なんかモヤっとするよなぁ。

若手のホンネ
目上の人にエレベーターのボタンを押してもらうのは失礼にあたるって……。じゃあ、ボタンを押したくない人はボタンの前に立たないでほしいです。てゆーか、位置や順番的に上司や先輩がボタンの前に来たのなら、押してもらえばよくないですか。無理やりボタンを奪いにいくのがマナーって、ちょっと意味分かんないんですけど。

 ここで、正式なエレベーターマナーをおさらいしてみましょう。本来、マナーとしては「空間には上位者が先に入るもの」という考え方があるため、先に上司など目上の人に乗ってもらうもの。しかしエレベーターの場合は、安全やスムーズな乗り降りが優先されます。途中でドアが閉まらないようにフォローするために、下位者が先に乗り込むのがマナーとなっているようです。
 そして、乗り込む前には「本来は先に乗っていただくところを、お先に失礼します」という気持ちを込めて、相手とアイコンタクトを取ったり、「失礼します」と言ったりして、乗り込んだら、すぐに開閉ボタンの「開」を押します。

 また、エレベーター内にすでに人がいる場合は、乗る順が違います。中にいる人が操作をしてくれることが多いので、本来のマナー通り上司に先に乗ってもらいます。さらに、自分が乗ったら、可能な限り操作盤の近くの下座側に立って、目上の人が操作してくれている場合は「代わります」と声を掛けます。この一連の動作が正解。

 オフィスのエレベーターはビジネスの場。密室で狭い空間なので、ちょっとした振る舞いが目立ちやすいのです。だからこそエレベーターマナーが存在するのでしょう。とはいえ、「鉄則としてエレベーターは先乗り・後降りが基本」くらいの感覚で長年やってきたオトナ世代も多いんじゃないでしょうか。シーンによって乗り込む順番が違うんだ……などと、正式なマナーを目の当たりにすると、「そこまで厳格にやる?」と思ったりしませんか。

 筆者を含め、大半のオトナがそうだとしたら、合理的な若手は余計にそう感じているはずです。「不要なビジネスマナー」や「次世代に残したくないビジネスマナー」といったランキングに名を連ねているのも、理解できなくはありません。

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3 オンライン会議の上座機能に失笑

 オトナがイライラ・モヤモヤするのは、結局のところ、「形式というより気配り」の観点なんだと思います。絶対「下座に座れよ!」とか「操作盤の場所に立ってエレベーター係やれよ!」とか思っているわけではなく、マナーの本質に沿った行動を望んでいるだけなんですよね。

 一方で、「そういうオトナだって上座、下座マナーが思いきり形骸化しているじゃないですか!」と、若手にツッコまれても仕方ないようなニュースが報じられました。Web会議ツールの「Zoom」が新たに搭載した「カスタムギャラリービュー」という機能が、「Zoomの上座機能」だと物議をかもしたのです。

「Zoomの上座機能はネタかと思うレベル(笑)」
「この機能を使わないといけない同調圧力が発生して、社員の工数が増える」
「いい機能だが、日本では『エラい人を上座に配置』するクソマナーが定着していく」

 ネット上では、否定的な若手の声が後を絶ちませんでした。

 そもそもこの新機能は、発言者を目立つ位置に配置するために開発されました。なぜ、それが「上座機能」といわれるのか。その理由は、幾つもの日本企業がZoomに対して、「部長や役員を大きく表示できないか」「上役を画面の上座に表示できないか」と要請していたからなのです。

 会議室というリアル空間なだけでなく、オンライン上のバーチャル空間で行われる会議までも席次を気にする。そこからは「心地よい場所」にお通しするといった本来のおもてなしの心ではなく、形式や対面を気にしすぎるオトナ的な一面が漂ってきます。

4 イライラ・モヤモヤ解消法

 世のオトナ世代は大変です。
 若手に対しては立派に振る舞いたいけど、組織の中での立場もあるからこそ、板挟みになることも往々にしてあります。「上座」「下座」といった席次問題などは、自分の上司と若手の間で、気を使わざるを得ない代表的な例といえるでしょう。

目上の方には会議室の奥に座っていただく、自分は入り口付近に座る。
乗るのは自分が先、降りるのはお客様が先。

 当たり前ですが、これらはマナーのガイドラインのひとつにすぎません。(Zoomの残念なエピソードを反面教師として)自らが席次マナーの本質に立ち返って考えて、「おもてなしの本質」で若手と手を握っていく。これをおススメします。

 マナーというものには全て意味・目的・理由があります。 目指すのは「同じ時間、空間を共有する者同士、互いに不快感を与えないために、気持ちの良い時間を過ごしてもらうために」ということを目的とした気配り・気遣い・思いやりですよね。
本質は、

周囲に対する気遣いを実現させるために、時宜に応じた最適解を導き出す知恵を身に付けること

です。こういう本質論の観点で、若手とコミュニケーションをしていきましょう。若手の気遣いが多少ズレていたとしても、彼らなりの思いやりが発揮されれば、かわいく感じられるんじゃないでしょうか。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2022年6月22日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:平賀 充記(ひらが あつのり)
株式会社ツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー 兼 ツナグ働き方研究所所長。1988年(株)リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「タウンワーク」「はたらいく」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長。2012年(株)リクルートジョブズ・メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、いまに至る。
著書に『非正規って言うな!』(クロスメディアマーケティング)、『神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。

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