
日本でたった一人? 起業+事業開発20回以上のキャピタリストの宮...
2018.11.15
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近年、職場の上司や先輩(いわゆるオトナ世代)は、若手社員の言動を理解できないイライラ、腑に落ちないモヤモヤを抱えつつも、指導の際は「パワハラ」と感じさせないように、気遣いや遠慮が求められるようになりました。
そもそもオトナ世代が若手にストレスを感じる原因は、オトナの考えと、若手の行動のすれ違いによるものがほとんどです。しかし若手に対して「けしからん!」と怒ったり「理解できない!」と嘆いたりしていたことを、冷静に分析するだけでスッキリすることもあります。
本連載は、拙著「イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ」を一部抜粋し再構成してお届けします。
という3ステップで、オトナ世代にとっても必要なストレスマネジメントについて解説していきます。
オトナのイライラ・モヤモヤ
自分は褒められて伸びるタイプなんで……。今どきの若手って、自分で言っちゃうもんね。いや、承認欲求が強いのは知っているし、褒めて伸ばす必要性も感じていますよ。そう思って社員総会でベタ褒めしたのに、なんで、そんなに気まずそう?
若手のホンネ
ホント、勘弁してほしいなあ。うれしくないことはないけど、そんなにベタ褒めされても困る。なんか大げさすぎるってゆーか。あれじゃあ、自分だけ意識高い感じがするし、マジ最悪。あー、また明日から先輩に気をつかわないといけないじゃん……。超面倒臭いんですけど。
今どきの若者は承認欲求が強い。それは間違いではありません。冒頭のように「自分、褒められて伸びるタイプなんで」と自ら発言する若手社員もいるくらいです。
こうした特徴は、オトナ世代もある程度は理解しています。だからこそコミュニケーションのベクトルは、当然のごとく「褒める」方向に行きます。褒めて伸ばす。これは今どきの若手への接し方の基本です。しかし、褒め方もこれがまた難しいのです。今どきの若手はベタ褒めしても喜びません。
ある企業のマネジャーが「最近の若手は営業表彰されるのが嫌いだ」と嘆いていました。なぜ嫌がるのか。まさに先ほど例に挙げた若手と同じように、“出るくいは打たれやすく、陰でどうこう言われるのが面倒だから”だそうです。目標を達成したときには、ガッツリ称賛を贈る。極端に周囲の目を気にする今どきの若手にとっては、これがインセンティブにはならず、むしろ迷惑に感じるのです。
こうした意識は、明らかにSNSの影響があります。SNSによって、自分アピールができるようになった半面、アピールが強すぎると、そのSNSでたたかれる。いわゆる炎上とかオンラインの誹謗(ひぼう)中傷とかいうやつです。しかも昨今、この負の側面は、どんどん深刻になってきています。
友達に認めてもらいたくて仕方ないけど、自分アピールが強すぎると逆にたたかれる。これが、若手の最大の恐怖です。だから、能天気に投稿をするのははばかられます。うかつに投稿して「出た、リア充アピール」「意識高い(笑)」「人と違う自慢、ウザい」などと、書き込まれたら致命的。
常に誰かに見られているリスクを念頭に置いたうえで、気付かれないように自己を表現すべく投稿する。彼らは極めて高度なコミュニケーションスキルを研ぎ澄ます必要に迫られているのです。
この代表例が「におわせ」でしょう。ご存じのように、「におわせ」とは事実を明言せずに、見た人がそれとなく気付くような何かを匂わせる行為のことを指す言葉です。
SNSやブログなどで、恋人がいるという事実を明言はしないものの、手をつないでいる写真などを投稿することで、交際を間接的に匂わせる。こうした恋愛関係のシーンでよく活用されます。アピールしすぎもマズいから、煙幕を張りながらさりげなく自慢する。そんな状況下で編み出された投稿の形態が、こうした「匂わせ」なのです。
SNSによって増幅された「承認欲求」と「周囲への忖度(そんたく)意識」。その中で葛藤する自意識。これが、今どきの若手を理解しにくくしているものの正体です。なんだかとても複雑で、やや気の毒な気もしてきます。
安易に、そして派手に褒めればいいというものじゃない。そんな若手の価値観に近づけたとして、じゃ、どうやって褒めればいいのかという問題に直面します。
オトナのイライラ・モヤモヤ
しょっちゅう褒めたら効き目がなくなるでしょ。だいたい褒めるっていうご褒美は、ここぞのときにとっておく必殺技。ウルトラマンのスペシウム光線とか、宇宙戦艦ヤマトの波動砲とか、ドラゴンボールのかめはめ波とか。だから効き目があるわけでさ。
オトナの中でも上のほうのオジサンたちは、この「しょっちゅう褒めたら効き目がなくなるでしょ」という言葉を、驚くほどよく口にします。ここぞのときの必殺技。オトナ世代はこうした昭和の褒め方に、少なからずノスタルジーを感じるんじゃないでしょうか。
若手のホンネ
職場で「アレやっときました!」と仕事の報告したとき、目も見ないで「ああ」とか、素っ気ない返事されるのとか、あーゆーのが一番テンション下がります。せめて「ありがとう」の一言でもあれば……。
一方で若手の脳内には、こんな気持ちが渦巻いています。褒めてもらうこと以前に、普段、こんな対応をされることへの不満が大きいのです。確かに、職場には不機嫌な顔をして働いているオトナ世代がけっこうたくさんいます。「人間の最大の罪は不機嫌である」とは、かのゲーテの名言ですが、いくら真剣に仕事に向き合っていたとしても、眉間にしわを寄せて愛想がないのは考えものでしょう。
レスポンスがない、反応が薄いことに関する若手の不満も、SNSコミュニケーションの発達による影響の一側面といえます。SNSでは、自分が何か投稿すれば、どんなささいな内容でも何件かレスポンスがあるというのが普通。逆にレスポンスがなかったりしたら、彼らは言い知れぬ不安に襲われます。何かおかしな投稿をした? 周りに変なふうに思われていない? そんな気持ちが増幅していきます。だからこそ、逆に友達の投稿にほぼ自動的に「いいね!」を押すのです。
「いいね!」を押し合うのは、言ってみれば礼儀作法。こうして「いいね!」社交界が形成され、友達に忖度した「いいね!」が激増し、結果的に「いいね!」がばらまかれます。そんな「いいね!」でも、やっぱり「いいね!」がほしい。これも若手のさがです。
友達の投稿に無心で「いいね!」を押す。SNSというオンライン社会の習慣を、彼らは職場にも持ち込みます。なにかにつけて「いいね!」がデフォルト。だからこそ、職場においても「日常のプチ褒め」が求められるのです。
オトナ世代の褒め方は「ベタ褒め×少量」ですが、SNS社会を生きる若手世代では「プチ褒め×大量」のほうがスタンダードなのです。
今どきの若手からよく聞くのは、「身内でさっくり褒めてくれればいいっす」的なコメントです。部署内のミーティング、もっと言うと1対1の面談なんかで、サラリと褒める。メールやチャットツールで褒めメッセージを送るのでもいい。なんか地味ですが、こういう感じが、じわじわ承認欲求が満たされるようです。
若手が望んでいる褒め方とは「質より量」。
もっと言うと、褒めに至らないくらいの「プチ感謝」も、レスポンスがあるだけで十分に効果的です。例えば、報連相には必ず「ちょい足し」して返す。言葉は何でも構いません。「良くなったな」と褒めてもいいし、「大変だったろう」と共感してもいいし、「助かったよ」と感謝を伝えてもいいでしょう。
最後に、褒めるときに使える魔法のキーワードをお伝えしましょう。それは、
「やっぱり」。
例えば「やっぱり、やると思ってた」と、「やっぱり」がつくことで、相手は「えっ、普段からそう思ってくれてた?」と、うれしい気持ちが倍増します。
普段からちゃんと自分のことを見ていてくれた。これが承認欲求を満たす褒めの本質的なポイント。「やっぱり」には、そのエッセンスが凝縮されているのです。これは若手にも刺さります。ぜひ使ってみてください。
●関連著書
イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ
(PHPビジネス新書)
イライラ・モヤモヤを解消するには相手を知ること。若者の働き方研究家が彼らの「脳内=ホンネ」を翻訳し、ケース別に対処法も指南
以上
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