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今どきの若手社員のトリセツ~上司や先輩に贈るストレスマネジメントの処方箋 Vol.4 そんなに会議の時間がムダですか問題

日本情報マート

2022.08.02

 近年、職場の上司や先輩(いわゆるオトナ世代)は、若手社員の言動を理解できないイライラ、腑に落ちないモヤモヤを抱えつつも、指導の際は「パワハラ」と感じさせないように、気遣いや遠慮が求められるようになりました。
 そもそもオトナ世代が若手にストレスを感じる原因は、オトナの考えと、若手の行動とのすれ違いによるものがほとんどです。しかし、若手に対して「けしからん!」と怒ったり、「理解できない!」と嘆いたりしていたことを、冷静に分析するだけでスッキリすることもあります。

 本連載は、拙著「イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ」を一部抜粋し再構成してお届けします。

  • オトナ世代が違和感をもつ若手社員の言動を具体的にピックアップ
  • ギャップやストレスの正体を分析
  • 円滑なコミュニケーションや適切な指導法を考察

という3ステップで、指導の妨げとなるストレス解消のヒントを探っていきます。

1 会議はムダの最たるもの

オトナのイライラ・モヤモヤ
 会議は無駄っていう風潮があるのは分かる。そりゃ無駄な会議もあるだろうけど、集まる意味もある。資料では伝えきれないニュアンスとか発表者の温度感とか、みんなで顔見合わせてやるからこそ、伝わってくるわけだし。そういう状況でとことん議論を尽くすからこそ、いい結論にたどり着けるわけでさ。

若者のホンネ
 基本的に無駄な会議は嫌い。集まることだけが目的の会議ってなんの意味があるのか、まったく分からない。要らないなら無くすという引き算思考が大事。無駄を減らしつつ本来やるべき仕事にフォーカスしていくのがスジでしょ。

 働き方改革の文脈から、生産性向上が叫ばれるようになりました。もちろん理想の働き方は、就業時間内に仕事を終わらせることです。時間の無駄遣いを助長する業務は、企業単位、部署単位で仕事を見直して、最小限にしていくべきでしょう。そんな中で、無くすべき業務の筆頭として、やり玉に挙げられるのが「無駄な会議」です。

 若者世代は、会議を減らす風潮に全面的に乗っかっています。時間の無駄を極端に嫌う彼らにとって、会議は無駄の最たるものに映るのでしょう。必要な資料などをメールで共有し合って、メールやチャットツールを使って意見を出し合って結論をまとめていく。それでザッツオール。こんな仕事の進め方を好みます。

2 会議派の逆襲が始まる?

 一方で、顔を合わせることに大きい意味を感じるオトナ世代は、なにかにつけ集まりたくなってしまいます。無駄な会議があることは頭では理解していても、長年染み付いた仕事の進め方を変えるのはなかなか難しいもの。メールのやりとりだけで議論を進めることにも、しっくりこなくてモヤモヤする人が大半でしょう。

 コロナ禍で、密室に集うことがはばかられた時期は、さすがのリアル会議派も大人しくしておく他なかったのが、やや落ち着きを見せた2022年の春先くらいから、集まって議論することの意義を主張し始める風潮が出てきました。直近は第7派の襲来で、再度なりを潜めてはいますが、落ち着いてきた頃には、同じような状況になっていくでしょう。

 確かに、無駄な会議も確かにたくさんあるのでしょうが、短絡的に会議を減らせというベクトルに行くのもどうかと思います。本当に必要な会議だってありますから。
 会議を行うことで、多くの人と意見交換をして結論を導き出す。あるいは新しいアイデアが実行可能か多角的に検討することができる。また会議で集まることが、コミュニケーションのきっかけづくりになる。顔を合わせたついでに確認したかったことを尋ねる「ついで聞き」の場となっている、という副次効果もあります。

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3 やるなら30分にしてください

 できるだけ会議を減らしたい若者からすると、仕方なく会議が行われることになった場合、次なる手でムダを省こうとします。それが時間。百歩譲って、会議をやるとなっても、その時間をできるだけ短くしようという考えなのです。

オトナのイライラ・モヤモヤ
 最近、会議を30分で設定してくる若手が増えた。取引先のあるITベンチャー系なんかだと、「会議に1時間かけるのは仕事ができないヤツ」的な空気感をもろに出してくる。いや、会議の時間がダラダラと長いのは、そりゃアカン。でも30分って、やっぱ短過ぎないかな? ちゃんと議論できる気がしないのだけど……。

若者のホンネ
 上の世代って、「なんとなく会議の単位は1時間」と決めてかかってる。こういう習慣が仕事の生産性を下げてるってことに、まるで気付いてない。議題について話し終わったのに、まだ時間が残っているから、と意味のない会話とかしちゃって。ほんと時間の無駄だと思う。

 日本の会社では、会議や打ち合わせの所要時間として「1時間」を設定する場合が多いと思います。しかし、なぜ1時間かける必要があるのか? 改めて考えてみると、明確な答えがないことに気付きます。「以前からそうだから」「きりがいいから」「なんとなく」……。そんなあやふやな理由で、「1時間会議」を続けているのが実態ではないでしょうか。

 確かに、最初から会議の所要時間を1時間と設定してしまうと、参加者は当然、その会議は1時間かかるものと思ってやってきます。本来なら30分で終わらせられる内容であっても、わざわざ1時間かけて会議をすることになるのです。

4 トヨタの会議は30分

 この「なんとなく1時間意識」がベースにあると、会議にかける必要性の薄い案件まで議題に挙げることになりがち。挙げ句の果てには、冒頭の若手の嘆きのように「まだ時間が残っているから」と意味のないコミュニケーションに貴重な時間を費やしてしまうケースもあります。みなさんも、思い当たるフシはありませんか。

 あのトヨタは、会議や打ち合わせは原則として30分で設定しています。ちょっとしたことのようですが、こうした「少しの差」を愚直に積み重ねることで、最終的には巨大な差をつくり出す。まさにトヨタ式の「カイゼン」です。
 時間が限られているという意識が参加者全員に共有されるため、余計な世間話などしていられません。トヨタでは、会議が始まるやいなや、すぐに議題の確認と本質的な議論へと移るそうです。

 筆者の知り合いの若手経営者も、自分の職場で、「倍速会議」とネーミングした30分会議をデフォルトにしたと、自慢げに話していました。
 とはいえ、「そんな短時間で、いくつもの議案についてディスカッションから意思決定までできるのか?」という率直な疑問も湧いてきます。これまで60分(1時間)会議を標準にしていたのを、ただ30分の設定にしただけだと、消化不良感が残る会議になるでしょう。

5 イライラ・モヤモヤ解決法

 会議を無くしたい若者VSとにかく集まって議論したいオトナ。これはどちらかに軍配が上がるという問題ではありません。会議の目的や定義をきちんと再整理して、必要か不要かを見極めていく。会議の時間も、議題によってその都度必要な時間を設定する。つまりは「会議の最適化」です。

 誰が見ても無駄な会議の筆頭は、言うまでもなく集まることが目的になっている会議です。恒例となっているからといった理由で定期的に開催される会議などは、明らかに形骸化している懸念があります。
 そして、もうひとつ見直すべきは、やけに人数が多い会議です。
 出席者の半分にとって有意義な会議であっても、残り半分にとっては業務に関係のないことであった場合、その会議は半分の社員にとっては、それこそ無駄な会議です。
 ざっくりと招集するのではなく、誰を呼べばいいかをちゃんと吟味するだけで、不毛な会議論争は相当減るんじゃないでしょうか。

 それから会議の時間。おススメは、「15分」をワンブロックとして、会議時間を積み上げていく方式です。
 人間の集中力を維持するためには、「15分」をワンブロックとして考える必要があるという研究結果があります。これを、会議にもそのまま当てはめてみるのです。「15分」をワンブロックとし、それを2サイクル回す「30分会議」を、会議の基本とする。
 具体的には、「インプット(共有)+アウトプット(議論)」の2部構成で、「15分以内」という制約を設けて進行する。そのうえで議題の数や内容によっては「45分」「1時間」と時間の設定を増やしていくのです。

 最後に重要な視点をお伝えします。これまで意味があったからといって、惰性で開催するのではなく、その会議を行う意義、議論にどのくらい時間をかけるか、については、定期的に見直しましょう。昨日の有意義が今日の無駄になっていることも多々ありますから。
 会議を最適化する。その最適化基準をアップデートする。こういう習慣を共通認識とすれば、若者にとってもオトナにとっても必要な会議が残っていくはずですよね。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2022年8月2日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:平賀 充記(ひらが あつのり)
株式会社ツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー 兼 ツナグ働き方研究所所長。1988年(株)リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「タウンワーク」「はたらいく」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長。2012年(株)リクルートジョブズ・メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、いまに至る。
著書に『非正規って言うな!』(クロスメディアマーケティング)、『神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。

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