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2021 中小企業の株主総会「株主総会にまつわるQ&A」

日本情報マート

2021.05.06

 2021年の株主総会(この記事では「定時株主総会」を指します)のシーズンになりました。

 今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた事例を想定し、問題になりそうな点について、Q&A方式で解説していきます。新型コロナウイルス感染症の影響は予測できないこともあり、対応に困ることもあると思います。緊急事態において適切な対応を速やかに実践するためにも、まずは基本的な手続を押さえておくことが大切です。

 皆様にとって、本記事が株主総会トラブルに対応するための一助となれば幸いです。

 なお、以降で想定するのは、「非公開会社」で、取締役会・監査役設置会社(会計監査人非設置会社)です。非公開会社とは、定款上、発行する株式の全部に譲渡制限を設けている株式会社です。

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1 社長が総会招集できない。誰なら招集できるのか?

●シーン1
当社は、例年、会社近くの貸し会議室を借りて、株主総会を開催していますが、今年は新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、株主総会の開催を省略しようと考えていました(Q1)。

ところが、突然、株主Xから、「取締役を全員解任する」ことを株主総会の議題とするように求める書面が届きました(Q2)。どうやら会社の経営に不満があるようです。

社長は、この件を他の取締役と相談しようと思い会社に向かう途中、交通事故にあって入院してしまいました。そこで、当社の取締役B副社長が、A社長に代わって取締役会を開催し、株主総会の招集を決定しました(Q3)。

しかしながら、慣れない招集手続に戸惑うB副社長。6月29日に株主総会を開催するので、本来は6月21日までに招集通知を発送しなければならないところを、誤って6月22日に発送してしまいました(Q4)。

Q1.

新型コロナウイルスの感染防止のため、株主総会の開催を省略したいと考えていますが、どのような手続をしたらよいでしょうか。

A1.

会社は、一定の場合には、株主総会の開催自体を省略することができます。

具体的には、議決権を行使することができる株主全員が、株主総会の議題について書面または電磁的記録で同意した場合、株主総会の決議がなされたものとみなされます。そして、株主総会の目的である議題全てについて、書面または電磁的記録により可決された場合には、当該株主総会は終結したものとみなされます。このような株主総会の決議は、一般的に、書面決議と呼ばれています。

書面決議の場合でも、忘れずに株主総会の議事録を作成しましょう。

Q2.

株主から届いた株主総会の議題として、「取締役を全員解任する」ことを求める書面に対して、どのように対応したらよいでしょうか。

A2.

会社は、株主からの提案を議題に加えたり、議題の中身である議案について「議案の要領」を招集通知に記載したりしなければなりません。

株主は、一定の事項を株主総会において審議することを請求することができ、このような権利を株主提案権と呼びます。

非公開会社では、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を有する株主は、株主総会の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求できます。

したがって、適法になされた株主提案を無視することはできず、上記のような対応が必要です。

Q3.

当社の代表取締役が入院しており、株主総会の招集を行うことができません。新たに代表取締役を選定しないと、株主総会の招集ができないのでしょうか。

A3.

新たに代表取締役を選定しなくても、あらかじめ定められた他の取締役が、取締役会決議に基づき株主総会を招集することができます。

株主総会は、取締役会において株主総会の招集が決定された後、招集権者が株主に招集通知を発送します。法律では、「株主総会は、取締役が招集する」とされており、代表取締役による招集が必須なわけではありません。

一般的に、定款において「代表取締役」や「社長」が招集権者と定められていることが多いと思います。しかしながら、これらの者に事故などが起きた場合には、定款や取締役会であらかじめ定められた順序により、他の取締役が招集権者となります。

Q4.

株主総会の招集通知を送付する期限を過ぎてしまった場合、招集手続に法令違反があったものとして、株主総会の決議が取り消されてしまうのでしょうか。

A4.

株主から招集通知期間を短縮する旨の同意を取得し、再度招集通知を送付することが考えられます。

非公開会社では、株主総会の1週間前までに(中7日)、株主に対して招集通知を発送しなければなりません。しかしながら、招集通知を送付する期限を過ぎてしまったとしても、議決権を行使することができる株主全員の合意がある場合には、招集通知期間を短縮することが可能です。

また、招集通知期間が不足する場合でも、株主全員が開催に同意して出席した場合には、株主総会の決議が有効とされる場合があります。

2 株主から「議長交代」を求められた!

●シーン2
B副社長は、昨年の株主総会において、株主Yから「来年は新型コロナウイルス感染症が怖いので、テレビ会議システムで参加したい」との申し出があったことを思い出しました。そこで、今年の株主総会ではテレビ会議システムを導入することとしました(Q5)。

テレビ会議システムの導入準備も順調に進み、株主総会の当日を迎えました。B副社長は、A社長に代わって株主総会の議長を務め、株主総会を開催しようとしました(Q6)。

ところが、株主Xが、突如として、「B副社長は株主総会の議長として不適切である。議長を交代されたい」と提案しました(Q7)。

その後も、株主Xが、「取締役報酬を減額する」ことを提案するなどしたため(Q7)、B副社長は予想外の株主Xの行動に困惑させられました。

Q5.

新型コロナウイルスの感染防止のため、テレビ会議システムによって株主総会に出席することを認めたいと思います。どうしたらよいでしょうか。

A5.

取締役や株主は、株主総会にテレビ会議システムによって出席することも可能です。

昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、テレビ会議システムを利用する「オンライン株主総会」を検討している会社も多いと思います。もし、テレビ会議システムによる出席を認めるのであれば、会社は、株主に対して、招集通知の発送と一緒にその方法を通知する必要があります。

今回の場合も、B副社長は、テレビ会議システムによる株主総会への参加方法などを通知する必要があります。

Q6.

代表取締役A社長が入院しているため、株主総会に出席できません。議長はどうしたらよいでしょうか。

A6.

今回の場合、取締役B副社長が議長となることが考えられます。

株主総会の議長の資格について、法令上の定めはありませんが、一般的には定款において、「代表取締役」や「社長」が議長と定められていることが多いです。

「代表取締役」または「社長」に事故などが起きた場合、定款や取締役会であらかじめ定められた順序により、他の取締役が議長となります。一般的には、「副社長」が代わりの議長とされていることが多いと思います。

Q7.

株主Xからの「議長交代」や「取締役報酬の減額」に関する提案に対して、当社はどのように対応したらよいでしょうか。

A7.

株主総会当日における提案の中には、議場に諮らなければならないものがあります。

これらの株主による提案は、「動議」と呼ばれ、主に、株主総会の議事進行に関わる手続的動議と議案の内容に対する修正動議の2種類があります。

手続的動議の中には、議長の議事運営を促すにすぎないものもあり、必ずしも、議場に諮る必要がないものもあります。ただし、議長の不信任動議や総会の延期・続行の動議などは、議事進行するための先決事項として直ちに採決を行わなければなりません。

また、取締役報酬の減額や会社が提案した候補者以外の者を取締役に選任することを求める動議など、議案の修正動議については、動議が適法である限り、原則として、議場に諮らなければなりません。

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3 テレビ会議システムによるトラブル。どうしたらよいのか?

●シーン3
なんとか株主総会を終えることができたB副社長ですが、株主総会が終わった後、株主Yから、テレビ会議システムの通信状態が悪く、オンラインで見ることができなかったと連絡がありました(Q8)。

また、初めてテレビ会議システムを用いた株主総会であったため、例年と議事録の作成の勝手が異なり(Q9)、うっかり取締役改選の登記手続を申請し忘れてしまいました(Q10)。

Q8.

テレビ会議システムに通信障害が生じた場合、株主総会の決議の有効性が争われてしまうのでしょうか。

A8.

テレビ会議システムに通信障害が生じたとしても、直ちに株主総会の決議が取り消されてしまうわけではありません。

会社が、通信障害のリスクを事前に株主に告知していたか、通信障害の防止のために合理的な対策をとっていたかなどによって、判断が分かれる可能性があります。そのため、一般的に利用されているライブ配信サービスやウェブ会議ツールを利用し、通信に問題がないかリハーサルや接続テストを実施するなども考えられます。また、万が一当日通信障害が発生した場合に備えて、代わりのWi-Fiや電話会議システムを用意しておくことがよいでしょう。

Q9.

テレビ会議システムを用いた場合、株主総会議事録の作成にあたって、注意すべき点はありますか。

A9.

議事録には、会場で出席していない株主の出席方法について記載する必要があります。

株主総会の議事録には開催場所に存在しない株主の出席方法を記載する必要があるとされています。そのため、株主が、テレビ会議システムを用いて株主総会に出席した場合には、その旨を議事録に記載する必要があります。この際、開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されていることが分かるよう、使用したシステム等を記載することが望ましいです。

Q10.

取締役の改選に関する登記手続の申請を忘れてしまいました。何か罰則はあるのでしょうか。

A10.

会社法では、変更登記の申請手続を失念した場合の定めとして、100万円以下の過料に処せられる可能性があります。

取締役の氏名は登記事項であり、取締役の氏名に変更があった場合には、株主総会終了後2週間以内に変更登記の申請手続を行う必要があります。手続を忘れてしまった場合には、速やかに申請手続を行うようにしましょう。

4 終わりに

 2020年に引き続き今年(2021年)も、新型コロナウイルス感染症の影響で株主総会にも様々なトラブルが生じる可能性があります。いざこのような事態になったときに慌てることがないように、今からしっかりと準備しておかなければなりません。

 特に、オンラインでの開催を検討している場合には、トラブルが発生したときなどにすぐに弁護士に相談できるようにしておくことも大切です。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年5月6日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:三浦法律事務所 弁護士 磯田翔
https://www.miura-partners.com/lawyers/00024/

<経歴>
2014年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2015年 司法試験合格(司法修習第69期)
2016年 弁護士登録(東京弁護士会)。
     三宅・今井・池田法律事務所(~2018年)
2019年 三浦法律事務所(~現在)

<取扱分野・案件等>
株主総会、取締役会をはじめとするコーポレートガバナンス関連業務、コンプライアンスその他の企業法務一般のほか、倒産・事業再生、人事労務、商事紛争を中心として、業種・分野を問わず、幅広くクライアントのニーズに応じたリーガルサービスの提供を手掛けている。

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