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2021 中小企業の株主総会 「総会運営の流れを知ろう」

日本情報マート

2021.04.23

 2021年の株主総会(この記事では「定時株主総会」を指します)のシーズンになりました。この記事では、一目で分かる「議事進行のフロー例」や「決議の種類と概要」、採決に当たっての留意点などを紹介します。

 株主総会は法令を遵守した運営が必要なことに加えて、2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大も考慮した対策が必要です。多くの株主が集う上場会社の株主総会では、さまざまな対策が取られています。中小企業でも、マスクの着用やアルコール消毒剤の設置、座席配置などの対策が考えられます(オンラインでの開催については後述)。

 なお、以降で想定するのは、「非公開会社」で、取締役会・監査役設置会社(会計監査人非設置会社)です。非公開会社とは、定款上、発行する株式の全部に譲渡制限を設けている株式会社です。

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1 株主総会当日に懸念すべき事項

 株主総会当日は、突然、株主から予想外の提案や質問がなされるなど、思わぬ出来事が生じる場合があります。混乱の中で、うっかり説明が不足したり、慌てて審議を打ち切ったりしてしまうと、決議が取り消されてしまう可能性も否定できません。

 このような問題の発生を防ぐためには、総会当日の運営で、十分に取締役・監査役の説明義務を尽くし、かつ、株主の発言を聞いた上で決議を行うことです。

 多くの中小企業では問題は生じないものと思いますが、特に、会社の経営に反対している株主がいる場合には要注意です。

2 議事運営の準備

1)議事進行の確認

 株主総会の事前準備をするには、まず、議事進行のフローを理解しておきましょう。突然の出来事などにも慌てることがなくなります。

 特に初めての株主総会や混乱が予想される株主総会では、事前に、議事進行の手順などを整理した「株主総会のシナリオ」を作成しておくと安心です。一般的な議事進行のフロー例は次の通りです。

一般的な議事進行のフロー例を説明した画像です

 株主総会の運営方式には、一括上程方式と個別上程方式があります。図表1は一括上程方式による議事進行のフロー例です。

  • 一括上程方式:株主総会における監査報告などの報告を行い、議案を全て上程した後に質疑応答を行って採決する方式
  • 個別上程方式:議案ごとに上程、質疑応答、採決を行う方式

 法律では、いずれの運営方式を採用するかは決められていません。しかし、一括上程方式であれば、議長が全ての報告や説明を行った後、まとめて株主からの質疑応答や採決の時間を設けることになり、よりシンプルな運営となります。

2)想定問答集とは

 株主総会では、当日、株主から予想外の質問がなされることがあります。取締役・監査役には株主に対する説明義務があるため、株主からの質問を遮ったり、無視したりすることはできません。特に混乱が予想される場合など、突然の質問に焦らないように、想定問答集を準備しておくことがよいでしょう。

 また、想定問答集を作成することは、社内の問題点を洗い出す良い機会となります。ただし、あり得ないような質問のために想定問答集を作成するのではなく、メリハリを持って作成することが大切です。

3)リハーサルの要否

 初めての株主総会や混乱が予想される株主総会においては、シナリオの作成とともに、本番さながらのリハーサルを行っておくことも考えられます。

 株主総会の成否は、議長がうまく議場を混乱させずに終わらせることができるか、株主からの質問や発言、暴言などに対して、適切な対応ができるかにかかっています。一度リハーサルを行っておくことで、突然の出来事に対して焦らずに対処することができます。

3 議長の議事運営権について

1)議長の確認

 株主総会の議事運営を行う議長については、通常、会社の定款で定められています。一般的には、代表取締役(社長)を議長としている場合が多いです。

2)出席株主数等の報告・決議要件の確認

 株主総会では、出席した株主の数や保有する議決権の数を集計して報告します。これにより、株主総会で議案を審議するのに必要な定足数を満たしているかを確認します。

 なお、株主総会の決議には、普通決議、特別決議および特殊決議があります。それぞれの決議に必要な定足数、決議要件、主な決議事項は図表2の通りです。

定足数、決議要件、主な決議事項を説明した画像です

3)動議への対応

 株主総会では、出席した株主から動議が提出される可能性があります。動議とは、株主総会の目的である事項および総会の運営などに関し、株主総会の決議を求める旨の意思表示をいいます。動議には、主に議事運営に関する手続的動議と議案の修正動議があります。

 動議の中には議場に諮る必要があるものもあります。そのような動議を無視して審議を進めてしまうと、決議が取り消されてしまう可能性も否定できませんので注意しましょう。動議に関する詳細は、シリーズ第4回のQ&Aで解説しています。

4 株主総会の議案と採決に当たっての留意点

1)事業報告の報告および計算書類の承認

 株主総会では、事業報告の報告および計算書類の承認が必要です。取締役は、株主総会において、あらかじめ取締役会で承認を受けた事業報告の内容を報告し、計算書類の承認を得る必要があります。

2)取締役・監査役の選任

 取締役・監査役の選任には、株主総会の普通決議が必要です。法律では、取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年とされています。そのため、現役員の任期満了時には、株主総会において、必ず役員選任(再任を含みます)の普通決議を行う必要があります。

 ただし、この記事で対象とする非公開会社の場合、取締役・監査役ともに、定款に定めることで任期を最長10年に延長することができます。この場合は、延長した任期の満了時の株主総会において、選任・再任の普通決議を行う必要があります。

3)取締役の報酬

 取締役の報酬は、定款または株主総会の普通決議によって、次の事項を定めることが必要です。一般的には、取締役の報酬を柔軟に決定するため、株主総会で決議されることが多いです。

  • 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
  • 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法(業績連動型報酬等のように事前に額を確定できないものが該当)
  • 報酬等のうち株式や新株予約権については、その数の上限等

 全取締役の報酬総額を「取締役の報酬額を年額○○○万円以内とする」などとして株主総会で決議し、各取締役の報酬額は取締役会で決定することもできます。

 報酬に関する決議は、一度決議をした範囲内で報酬額を決定している限り、毎年行う必要はありません。一方、株主総会で決議した全取締役の報酬年額の上限を超えて報酬を支払う場合には、改めて株主総会での決議が必要になります。

 なお、監査役の報酬についても、定款ではなく株主総会で決議し、具体的な金額は監査役の協議に委ねることが多いです。

4)取締役・監査役の説明義務

 取締役・監査役は、株主から株主総会の目的事項(報告事項および決議事項)について説明を求められたときには、必要な説明をしなければなりません。ただし、取締役・監査役は、例えば次のような場合には、説明を拒絶することができます。

  • 質問が株主総会の目的事項に関しない場合
  • 説明をするために調査が必要である場合
  • 同一の事項について繰り返し説明を求められた場合

5)その他の議案

 その他によくある議案として、剰余金の配当や処分、役員の退職慰労金に関する議案などが決議されることもあります。

6)採決

 議案の説明や質疑応答が終了した後、各議案の採決を行います。法律では、採決の具体的な方法は定められておらず、決議の賛否が明らかになれば、必ずしも賛否の数を具体的に確定しなくてもよいとされています。

 一般的には、議長の合理的な判断のもとで、異議の有無を確認する、挙手、拍手、記名投票などの方法によって、採決が行われています。

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5 オンライン株主総会(テレビ会議システムの利用)の留意点

 2021年も、昨年と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響からオンラインでの株主総会を開催することも考えられます。株主総会の会場と株主との間で、双方向にかつ速やかに情報伝達ができるテレビ会議システムなどを利用して、株主総会に出席することもできます。

 しかし、テレビ会議システムなどを利用する場合であっても、実際に会場に足を運ぶ株主の存在も考えられますので、会場自体は設けなければなりません

6 決議の省略

 中小企業では、株主総会の開催を省略し、書面決議とすることもあります。書面決議とは、議決権を行使することができる株主全員が、株主総会の目的事項(報告事項および決議事項)について書面または電磁的記録で同意をした場合、可決する旨の株主総会決議があったものとみなすことができます。ただし、この場合も、株主総会の議事録は作成しなければなりません。

7 終わりに

 円滑に株主総会の議事を進行するためには、事前に総会運営の流れを理解しておく必要があります。特に、初めての株主総会の場合には、総会運営の流れを良く理解して、適法かつ適正な議事進行に慣れておく必要があります。

 次回は、株主総会が終了した後の事後処理について解説します。株主総会終了後も、さまざまな事務手続がありますので、よくご確認ください。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年4月23日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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執筆:日本情報マート
監修:三浦法律事務所 弁護士 磯田翔
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