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2018 中小企業の株主総会の実務。不備なく終える開催当日の運営

日本情報マート

2018.06.05

 2018年の株主総会(この記事では「定時株主総会」を指します)のシーズンになりました。取締役を含め、株主総会の運営を担う人は、法令に基づき、スムーズに進行したいものです。そこで、この記事では中⼩企業に多く⾒られる「非上場会社、大会社以外、非公開会社、取締役会・監査役設置会社(会計監査人非設置会社)」を例に、株主総会における当日の運営ポイントを紹介します。

 なお、「大会社」とは、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社です。また、「非公開会社」とは、定款上、発行する株式の全部に譲渡制限を設けている株式会社です。

 株主総会の事前の準備や後日の対応などは、以下の記事で紹介しているため、併せてご確認ください。

・事前の準備は何をすべき?
・後日の対応も抜かりなく

1 議事運営

1)議事進行の確認

 株主総会の運営方式には、一括上程方式と個別上程方式があります。法令上、いずれの運営方式を採用してもよいのですが、シンプルなのは一括上程方式です。

  • 一括上程方式:株主総会における監査報告などの報告を行い、議案を全て上程した後に質疑応答を行って採決する方式
  • 個別上程方式:議案ごとに上程、質疑応答、採決を行う方式

 株主総会前の準備として、基本になるのは「議事進行シナリオ」の作成です。これは、議事進行手順などを整理した「株主総会のプログラム」のようなものです。一括上程方式の場合、議事進行シナリオのフロー例は次の通りです。

開会宣言など、議事進行のシナリオについて紹介した画像です。

2)議長の確認

 株主総会の議事運営を行う議長については、通常、定款に定められています。一般的には代表取締役が議長となります。

3)決議要件の確認

 株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議があります。それぞれ必要な定足数、決議要件、決議事項が異なります。

普通決議の場合など、決議の種類別に定足数、決議要件、主な決議事項について紹介した画像です。

2 株主総会の議案と留意点

1)計算書類の承認および事業報告の報告

 株主総会では、計算書類の承認決議および事業報告が必須です。事業報告は、取締役が株主総会に報告をしなければなりません。なお、取締役会設置会社の場合、計算書類および事業報告は取締役会による承認も必要です。

2)取締役・監査役の選任

 取締役・監査役の選任には、株主総会の普通決議が必要です。取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年(原則、任期短縮不可)です。ただし、非公開会社の場合、取締役・監査役ともに、定款に定めることで任期を最長10年に延長できます。

3)取締役の報酬

 取締役の報酬は、次の事項を定款に定めるか、定款で定めないときには株主総会の普通決議が必要です。

  • 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
  • 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法(業績連動型報酬等のように事前に額を確定できないものが該当)
  • 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容(現物支給やストックオプション等が該当)

 一般的には、定款で定めるのではなく、株主総会で決議します。こちらのほうが機動的な面があるためです。また、取締役会設置会社の場合、全取締役の報酬総額を「取締役の報酬額を年額○○○万円以内とする」等として株主総会で決議し、各取締役の報酬額は取締役会で決定するケースが多くなります。

 株主総会での決議は、一度決議をした範囲で報酬額を決定している限り毎年行う必要はありません。一方、取締役の報酬額を株主総会で決議した内容と異なる報酬額とする場合は、改めて株主総会での決議が必要です(「全取締役報酬年額の上限を定めた決議を超えて報酬を支払う場合に、改めて総会決議が必要になる」ということです)。

4)取締役等の説明義務

 取締役等は、株主から株主総会の目的事項(報告事項・決議事項)について説明を求められたときには、必要な説明をしなければなりません。ただし、質問が目的事項に関しない場合、実質的に同一の事項について繰り返された質問であるときなどは、説明を拒絶することができます。

5)採決

 議案の上程や質疑応答が終了した後、各議案の採決を行います。法令では、採決の具体的な方法は定められていません。また、決議の賛否が明らかになれば、必ずしも賛否の数を具体的に確定する必要はないとされています。

 そのため、定款に特段の定めがなければ、採決方法は議長の合理的な裁量に委ねられています。従って、異議の有無を確認したり、挙手、拍手、起立、記名投票など、賛否を判定できる方法を採用したりすれば問題ありません。

6)決議の省略

 議決権を行使することができる株主全員が、株主総会の目的事項(報告事項および決議事項)について書面または電磁的記録で同意をした場合、可決する旨の株主総会決議があったものとみなし、株主総会の開催を省略することが認められています。

3 議事録の作成

1)記載事項

 株主総会を開催したときには、取締役が議事録を作成しなくてはなりません。これは株主総会決議を省略した場合であっても同様です。会社法施行規則に規定された記載事項は次の通りです。

  • 株主総会の日時および場所
  • 株主総会の議事の経過の要領およびその結果
  • 監査役等による意見または発言があるときはそれらの内容の概要
  • 株主総会に出席した取締役等の氏名または名称
  • 議長がいるときは議長の氏名
  • 議事録作成者の氏名

 法令上、議事録には出席した取締役等の氏名または名称を記載すればよいことになっています。しかし、実際は議事録の原本であることを判別しやすくするために、出席取締役等の署名または記名押印をしているケースが多くあります。

2)作成期限

 議事録の作成期限は特に定められていませんが、一般的には、株主総会後、2週間以内に作成します。これは、商業登記の添付書類として議事録が必要な場合があり、登記事項に変更があった場合には、2週間以内に変更の登記をしなければならないためです。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年6月5日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:日本情報マート
監修:TMI総合法律事務所 弁護士 池田賢生

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